序章
大体の世界観の紹介です。
物語本編は次話からです。
ここが一番読んでて苦しいところだと思うのですがぜひ御一読をお願いいたします。
――オールト叙事詩
――"僭王の章"より――
ティアマト海に浮かぶジグラト諸島――
この地では古代、数多の国々が乱立し、覇を争った時代があった。
しかし、その全てが南部のジグラト王国により滅ぼされ、帝国暦1580(王国暦元)年にジグラトは統一された。
………………
ジグラト統一から約100年後、王国暦107年。
西部のファブニル地方でファブニル人による大規模な反乱が発生。
「ファブニルの乱」である。
反乱軍は王国の追討軍を打ち破り、ファブニル地方に「ファブニル国」を樹立すると宣言。
王国軍による数度の征伐は全て失敗に終わり、手に余った王国はファブニル地方の入り口であるラズの地に城砦都市を築き、ファブニルを封じ込めた。
しかし、度重なるファブニル征伐は王国に疲弊と混乱をもたらした。
――王国暦142年。
ジグラト王国内で、新王都レーベンへの遷都に反対した貴族たちが遷都推進派の有力貴族らと対立。
その結果、レーベンの地で貴族の私兵たちによる小競り合いなどが頻発した。
「レーベン事変」である。
激しい政争の末、その多数が推進派に粛清された反対派の貴族らは旧王都である水都ガイウスで蜂起。
「ガイウス共和国」の樹立を宣言した。
ジグラト王国(以下ガイウスとの区別のためレーベン政権と呼称)はこの2つの大規模反乱により大いに疲弊しており、もはやそれらを追討する力は残されていなかった――
………………
――王国暦186年。
独立後一度も外征を行なっていなかったファブニル軍が、突如として城砦都市ラズに侵攻。
ラズは僅かに1週間で陥落し、ファブニル軍はその勢いのままにその周辺地域に侵入。
南は中部ロードス盆地、西はラズ平原まで進出したものの、ロードス盆地で「鎮西将軍」バーナード・ワーグナーの率いるレーベン政権の軍に破れ、そこで進軍は停止した。
しかし、「ラズ紛争」と呼ばれるこの一連の事件で、それまで取るに足らない小国、蛮族の国だと思われていたファブニルが、今やレーベン政権と並ぶ軍事力を持っていた、という事実が知られることになり、ジグラト中を震撼・驚愕させ、レーベン政権の地盤が揺らぐ一因ともなった。
………………
――王国暦201年、帝国暦(O.C.)1780年。
ジグラトから遙か東方、オルビス大陸、オルビス帝国領レーベ山が噴火する。
噴出された火山灰は世界のほぼ全域を覆い、有史以来最悪の冷夏をもたらした。
それは海を挟んだジグラトも例外ではなく、王国暦201年から翌202年、レーベ山の噴出を由来とする異常気象、そして凶作と飢饉がジグラトを襲った。
………………
――王国暦203年8月。
一昨年から続く異常気象は収まりを見せたものの、異常気象で打撃を受けたファブニルは、農産物の刈り入れ前の時期を狙ってレーベン領に侵攻。
――後に「統一戦争」と呼ばれる戦争が始まった――
レーベン軍は各地で敗北を繰り返し瞬く間に北陸道を喪失。
それと時を同じくして、南部ガイウスもこの機に乗じてレーベン領に侵攻。
レーベン軍は各戦線で敗退を繰り返し、開戦から2か月で北部の領土のほぼ全てを喪失し、南部の領土も中部トイル城までを制圧された。
――ファブニルはこの勢いのままに王都レーベンまで一気に制圧しようと北部ニブルス地方から南下。
それに対して、レーベン勢は王国騎士団の本営があるオルギンの街を最終防衛点と定め、全兵力をオルギンに集結させた――
こんにちは、筆者の昆布です。
初っ端から専門用語のオンパレードで申し訳ないですが、次話からはしっかりと本編をしていきたいと思うのでどうかよろしくお願いします。