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オーガキラー.3

 俺も気になっていた。


 皆の視線は俺達と、中央に飾られている物に注がれていた。


 ジェシカさんは、持ち主が来たからごめんなさいね、と言って人集りを散らす。そして展示してあった物を、俺達の元へと運んできた。


 何処かで見覚えがある。赤く尖った立派な……これは、角?


「ジェシカさん、これは?」


「オーガの角よ」


 あぁ、と俺は納得した。二体目の赤いオーガ。そいつに生えていた角だ。


「え、ということは、これ、ドロップしたんですか?」


「えぇ、私も初めて見たわ。……鳥肌が立ったわね」


 アミカさんが言っていた。面白いもんがある、と。これの事か。俺は気絶してしまったが、ドロップしていたんだな。


「私も勤めてから長いから、最近来た冒険者や商人なんかも見たことなくて、こぞって『欲しい! これはいくらだ! 俺、私にくれ!』って詰め寄られたわ」


 本人が来てから、と伝えてしまったのも、騒ぎの一因となっちゃったかも。ジェシカさんは苦笑しながら呟いていた。


「それで、この角、どうしようか? カイル君が持っていく。又は、売値の良い所へ売却する。このまま展示してくれるなら集客も出来るし、こちらとしては嬉しいけど。選択権はカイル君にあるわよ」


「あ」


 持って行くで思い出した。指名依頼の鉱石。俺は発見も回収も出来ていない。


「ん? どうしたの」


「そういえば、鉱石って俺は発見できなかったんですけど、どうなりました?」


「あぁ、それね。あちこちに転がっていたから、特に状態が良い物を回収したそうよ」


「カイルさん、アミカさんと職員さんに確認してもらって、私が幾つか回収しました」


 職員さんは賊を、アミカさんは俺。ライムも俺の中にいて動きにくかったと言ってるし、手が空いているとすれば、アメルか。


「そうなんだ。でも、そんなにあったの?」


「それが、あちこちに転がっていて……多分、なんですけど、壁が抉れていたので、その時の衝撃で採れたのかなと思います」


 あれか。アメルは粉々になっているのも見つけた、と言った。それは赤い方の仕業だな。青いオーガに吹き飛ばされた時の副産物。ケガの巧妙、ってのになるんだろうけど、なんだかなぁ。


「アメルちゃんが言うように、鉱石はティアジャールさんへ渡し終えているわ。それは心配しなくていいわよ」


「分かりました」


 指名依頼は達成できていたようで一安心。さて、この角をどうするか。


 売ればそこそこ高い値が付くんだと思う。展示しておいて、ここが賑わうのも良いな。……あ、良いこと思いついたぞ。


「ジェシカさん。この角なんですけど……一旦、ティアジャールさんに渡してみてくれませんか?」


「え? 彼に渡すの?」


「はい。お金にするのは何かもったいない気もして……ティアジャールさんなら、上手く使ってくれるかもですし。扱えないようなら、ここにまた展示する形でしばらく置きたいなと。用途があれば、引き取れますもんね?」


「それは勿論よ。了解したわ、こちらでティアジャールさんへ届けるわね」


「お願いします」


 ジェシカさんは、ギルドの奥へ角を運んでいった。エントランスにいる冒険者は、なんだか残念そうにしていた。


 運び終えたジェシカさんが戻ってきて、話を続けた。


「さて、私からは以上になるわね。カイル君達は、セバンタートでは有名人と言っても過言ではないわ。良くも悪くも、これから注目されると思っていた方がいいわね」


「はい、振る舞いには気をつけます」


 称号を名乗っていいからと言って、下手に横暴になっては駄目だ。今まで通りでいこう。


「もし、パーティーを組むようなら、申請はいるからね。それじゃあ、何かあれば何時でも来て頂戴」


「はい、ありがとうございました」


 俺達が帰る時、冒険者の間で話している声が聞こえた。


「【従魔士】の奴が称号持ちだってよ」


「まぁ、順当だろうな」


「でも、後ろにいるあの女の子。あの子も一緒にオーガを討伐していたみたいだぞ」


「……あの子、可愛いな?」


「あぁ、パーティーの話も聞こえたし、ダメ元で今度誘ってみるか」


「そうしようぜ」


 全部聞こえてるぞ。


 本人達はひっそり話しているつもりだったが、丸聞こえだった。称号云々より、アメルの容姿が気になったようだった。アメルは顔を赤くして、俯いている。


 ーーパーティー名、早めに考えてみるか。そう考えながら、外へと出た時、意外な人物から声を掛けられた。


「……カイルよ、少し良いか?」


 声の主は、ベラートさんだった。

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