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 六人の男達が、卑しい笑みを浮かべながら、こちらへ向かってくる。


 カイルさんは、後ろから来た人に足止めされた様だ。名前を言っていることからも、知り合いみたい。


 私はクロスボウを構えながら様子を窺う。


「おーおー、怖がっちゃってまぁ。大丈夫、殺しはしないぜ」


 怖がってなんかいない。


「でもあれだろ? 生け捕りにすればいいだけだから、お楽しみはしてもいいんだろ?」


「順番だけ、ジャンケンで決めるか?」


 反吐が出る。


「私は」


「ん? なんか言ったか姉ちゃん」


「あなた達の様な人、嫌いです」


 クロスボウを構える私に、一瞬顔を見合わせた男達は、ゲラゲラと笑い合う。何がおかしい。


「そういう気の強ぇ女は嫌いじゃねぇ。でもどうする姉ちゃん、こっちは六人。姉ちゃんが、そのちっこいのに込めた弾は一発だろう? それでどうやって、俺達を倒すっていうんだ?」


「こっちには、ライムちゃんもいます」


「ライムちゃん? そのスライムの事か? 可愛い名前付けられてまちゅねー。知ってるか? ペットをこき使っちゃいけないんだぜ」


「じゃあ、あの弾とペットの攻撃に当たったヤツは、お楽しみの順番は最後の方な」


 笑いながら、訳の分からない事を話し出す男達。


「カイルー!」


 そこで、今まで静かだったライムちゃんが、大きな声でカイルさんに話し掛けた。


 カイルさんは、男と戦闘を続けており、剣と剣が激しくぶつかり合っている。男達は、ライムちゃんが喋った事に、初めて動揺を見せた。


「なんだ!? 今忙しい!」


「コイツらキライだから、ころしてもいいー?」


 平然と聞くライムちゃんに鳥肌がたった。


「殺すのは駄目だ! 全員生け捕りにしろ! ギルドに突き出してやる!」


 カイルさんも、平然と無茶を言う。恐らく、生け捕りの方が難しいというのに。わかったー、と少しつまらなそうに言うライムちゃん。


「おい……このスライム、はぐれだぞ? ヤバイんじゃね?」


「馬鹿野郎、たかがスライムだぞ。ビビってんじゃねぇ!」


「このスライムをさっさと殺せば、後はゆっくりと出来るってもんよ」


 男達が、各々の武器を構えた。私も警戒を強める。


「アメルー」


「な、何? ライムちゃん」


「アイツらのうで、うごかなくするから、にげそうだったらうってねー」


「え!? わ、分かった!」


 平淡な口調で喋るライムちゃん。正直怖い、けど。私は言われた事を守るように構えながら、様子を窺った。


 ライムちゃんが、私の前に出る。


 一人の男が、斧を持ちながら話してきた。さっきから、やたらと喋っている男だ。


「お!? ペットが騎士気取りか? 泣く前に帰った方が良いんじゃねぇの? ギャハハハハ!」


「わからないから、りょうほうやるよ」


 そう言うと、ライムちゃんは腕を伸ばし、男の両腕に絡み付く。その動きは、大きな蛇が、獲物を絞め殺す行為を連想させた。怪訝な表情で、なんだコイツと言っている内に、ゴキッと聞きなれない音がした。持っていた斧を落とし、悶絶する男。


 ライムちゃんは、男の腕を折った。ありえない角度に曲がっている。


「うがぁああ!! 俺、俺の腕がぁあああ!!」


「つぎ、いくよ」


 男達は、突然起こった出来事に驚いていたが、それでも武器を構える。


 ライムちゃんは、後ろにいた男達の間に、入るように跳び跳ねる。同士討ちを嫌った男達は、一瞬固まってしまう。その内に、構えている腕に絡み付き、聞きなれない嫌な音を出していく。


 悶絶する男が、一人、また一人と増えていった。倒れた男達の、折れてない方の腕も丁寧に折っていく。怖い。


「ぐあぁ!!」


「ヒッ! ば、化物っ!」


 最後の一人は、全力で逃走を開始した。最早、当初の目的も忘れている様だ。


 私は、逃げた男の足目掛けて、弾を発射した。弾は上手く男の足に当たり、地面を滑るように前のめりに転倒する。


「痛ってぇ!」


 背中には、いつの間にかライムちゃんが乗っていた。


「さて、これでさいごー」


「ヒッ!? や、止め--」


 男が懇願すると同時に、ライムちゃんはお構いなしに男の腕をへし折った。


「よし! おわったおわった!」


 いつもの口調に戻ったライムちゃんは、満足そうに言った。辺りには、悶絶している男達が呻き声を上げる、地獄絵図の様な光景が広がっていた。

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