オルトル.2
時は少し経ち。
俺達三人のお腹は、ほどほどに満たされていた。
「おいおい、まだ食えるのか……?」
アミカさんが、ライムが平らげている皿の量を見て困ったように言う。実際、ライムからは、満腹になったという言葉を聞いたことがない。
「……止めましょうか?」
「いや、いい。俺が言ったことだ。とはいえ、無銭飲食は避けんとな」
アミカさんは店員を呼び、今持っているお金を全て渡した。
「これ以上になりそうだったら、理由を付けて断ってくれ」
「かしこまりました」
アミカさんの小さな声に、しっかりと反応する店員。流石高級店だ。
ライムは、未だに食べる勢いが衰えないし、アメルも、よく噛まなきゃだめだよ、と言っている。あれ、噛んでるのか?
「カイル。オルサフォルムの団長として、改めて礼を言わせてくれ。本当に、助かった」
「いえ、頭を上げてください。アミカさんにはお世話になってるんですから」
「そう言ってくれると助かる。……そこでだ、カイル。一つ提案があるんだが」
「はい」
「こちらから追放しておいてなんだが……オルサフォルムに戻ってこないか? 勿論、嬢ちゃんも一緒でいい。メンバーとの間は取り持つし、責任も取る。どうだ?」
言われそうな気は、少なからずしていた。アミカさんは元々、俺を追放する気はなかったし、俺が戦えるようになっていることを、喜んでくれている。
例えば、アミカさんとベラートさんが前衛。ハディットさんとアメルが後衛。俺とライムで、中衛からどちらにも加勢できるようになれば、かなり安定したパーティーになると思う。思う、けど。
「嬉しい申し出、ですけど……お断りさせて下さい」
「そうか……やっぱり、追放された所に戻るのはイヤか」
「いえ、そうではなくて。これからも色んな出会いや、出来事があると思います。今は、そういう冒険を、このパーティーで楽しめたらなっていうのが、俺の気持ちです」
「……分かった」
アミカさんは少し寂しそうだったが、笑って納得してくれた。
その後、俺達は他愛ない話で盛り上がった。店員が、材料がもうありませんと言いに来たのは、それからすぐの事だった。




