鬼ごっこ
「さ! あそぼあそぼ!」
草原で、ライムが跳び跳ねている。
今日は、朝食をとってからこの場所まで直行してきた。
「よし、やるか!」
「はい!」
「おー!」
皆やる気満々だ。今日こそ、ライムに一泡吹かせてやる。
「よし、ライム。擬態を頼む」
「おっけー! へんっしん!」
ライムがスキルを発動し、光を発する。やがて人型になっていき、昨日と同じく、俺の姿になっていた。
「いつでもいいよー!」
「アメルが、俺の後ろに来たらスタートだぞ。と、その前に」
俺はスキルを発動する。燃費が悪いとか言ってる場合じゃない。俺も、このスキルと向き合わないとな。
「昨日が散々だったからな……本気で行くぞ」
「おー?」
アメルが後ろへ位置取る、スタートだ。
ライムはいつも通り、俺へと向かってくる。俺は、以前と同様にタックルをする構えを取り、そのままライムの懐に飛び込んだ。
「それはみたよ!」
ライムが、昨日と同じ様に下に押し込もうとする。が、俺は倒れず、ライムが驚いていた。
仮に、本人と同等の身体能力を得ているなら、スキルを使っている俺の方が、能力は高い。そのままライムを押し倒す。アメルはちゃっかりと、倒れたライムの身体に触れていた。
「……地面に押し倒すのは、昨日やられたぞ。対策はしてる」
「いいね! おもしろい!」
もう一回だ、といって、ライムが体勢を正す。構えたライムの雰囲気が、次第に変わっていくのを感じた。これは……
「ライム」
「なにー?」
「まさか、俺の個人スキルまで使える、とか……言わねぇよな?」
「みてたし、いまつかってるよ-」
……使ってるよ-、じゃあないんだよ。それが本当なら、ライムは視ただけで、個人のスキルまで真似出来ることになる。さっき押し倒したのは、正直なところ力押しだ。
ライムもスキルが使えるなら、それこそ五分。アドバンテージは無くなった。
いくよ、と言いライムが俺へと向かってくる。動きが格段に良くなってる。マジで使えてるじゃん。
となると、俺の戦闘スキルでは昨日の二の舞だ。けど、これも経験だなと思って構えていると、後ろからアメルが突っ込んできた。
「アメル!?」
「お! アメルもいっしょにやろー!」
「……っ!」
アメルは、無策で突っ込んできた訳ではなさそうだ。俺とライムが交戦に入った状態で走り込み、ライムの死角へと入り込もうとしてる。
ライムもそれを嫌がって、アメルヘ視線を向ける。
「目の前にもいるぞ!」
俺はライムへ目掛けて、何度目になるか分からないタックルを仕掛ける。
案の定ライムに押し込まれ、地面へ叩かれた。が、その隙に、アメルがライムへ触れていた。
「えへへ……タッチ」
アメルは、はにかんだ笑顔を向け、ライムも悔しがっていたが、一緒になって笑っていた。




