訓練.3
アメルが、俺の真後ろへ来たと同時に、ライムはアメルヘ向かって直線的に走っていく。俺の事は見てない、お構い無しってか。
俺の姿になっているライムへ、タックルをかます。ライムは、うわぁ! と言いながら尻もちをついた。
俺の後ろにいたアメルは、集中を切らしていなかったようだ。倒れているライムへ、優しく触れる。
「一点。先ずは、俺を何とかしてからな」
「くそー! もういっかい!」
起き上がったライムは悔しそうだ。悔しいのは分かるが、俺の姿で地団駄を踏むな。
だが、点を取れたのはこの一点だけだった。
二度目。今度は走ってアメルヘ向かわず、俺にしっかりと視線を向けてきた。
俺は、武器を構えている時と同じ体勢をとる。ライムも同じ構えをした。鏡の様に向かい合う。
「様になってるな」
「みてたからね!」
アメルは後方で、何時でも動けるように出方を窺っている。
「いくよー!」
ライムは、俺に向かうと思いきや、またアメルヘ向かって走り出した。
またもや無視されたと思った俺は、舐めやがってと思いながら、ライムの胴目掛けてタックルをする。
「それは、さっきみたよ!」
ライムは走るのを止め、俺のタックルを受け止めた。そのまま、地面に押し倒される。
(……誘導された!)
うつ伏せの状態で、倒れてしまう。
ライムは、そのままアメルと対峙する。勝負は、俺が起き上がる前に決まっていた。
先に手を出したのはライムだった。眼が良いアメルは、その動きに合わせるように、身体に触れようとしたライムの腕を、側面から触ろうとする。が、瞬間ライムの手が引っ込み、伸ばしたアメルの手を、逆に掴まれてしまっていた。
「こんどは、ぼくのかちー!」
そう言ったライムは、楽しそうに笑っていた。俺達は、その後も楽しそうなライムに、どんどん点を取られていくだけだった。




