表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/73

捜索

「青い長髪と、青い眼、年齢は十五」


 俺と同じ位か、と依頼書を眺めながら呟く。金額にどうしても納得がいかないまま、依頼を受けてしまったのでどうにも身が入らない。


「ま、受けたからには頑張って探すか」


「おー!」


 ライムが肩で跳ねながら、相槌をとってくれる。それだけで、気分も少し軽くなった。


 が、肝心の少女が見つからない。


 都市内で聞き込みをしてる中、青髪の走ってる少女を見た。裸足だった。という情報は得たが、それ以降はさっぱりだ。


 中央都市セバンタートは、都市というだけあって、城を中心として城下町、商店街と、沢山の建物が建っており、その分人々の賑わいもあって、この中から一人の少女を探し出すのは骨が折れる。


 もしかしたら、都市外に出ているかもしれない。それでも、整備されてない道や、それこそ獣道を農民の少女が裸足で歩くのは大変だろう。


 まだ都市内か、外に逃げたとしても街道沿いに動いているはずだから、見かけている人もいるだろう。


 先ずは都市内だ。そう思い、商店街を中心に捜索する。


 城下町の方は貴族も住んでいるから、何かあれば、ギルド本部か騎士団の方に話がいくはずだ。


 --そして夕方。結局、少女は見つからなかった。


「歩いてみると、やっぱり広いよなぁ」


 成果は出ないがお腹は空く。俺達は近くにあった屋台で、串焼きを幾つか買った。


 空腹に、この香ばしい匂いは最高のスパイスだな、とゆっくり串焼きを咀嚼する。肉汁が口の中を満たし、満足感を感じた。


 肩に乗っているライムにも、ほれ、と串焼きを渡す。ライムは、美味しそうに身体を揺らしながら、串ごと体内に取り入れ、溶かし食べていた。ホントに何でも食べるんだな……。


「もしかすると、都市外に出たか……都市出口辺りで、聞き込みするか」


 商店街で目ぼしいところは回ったし、細い路地や、隠れやすい場所も見てみたが、少女は居なかった。


 俺達は、都市出口へ向かい歩こうとして、人影を見つけた。


 昨日、俺がライムと出会った場所。その樹の下で、人がうずくまっている。


 人影は青色の長髪で、質素な白い服装、身体は痩せぎみで、裸足である。足は傷だらけになっていて痛々しい。足首にはうっすらと、何か跡のようなものがある。


 --見つけた。依頼されていた少女だ。


 俺は、うずくまっている少女に近付いて、ゆっくりと声を掛けた。


「あの、ちょっといいかな?」


 少女は、ビクッと驚いたように顔を上げ、声を掛けた俺を見つめてきた。透き通る大きな水色の瞳が、俺の顔を捉える。とても綺麗だった。


「……っ!」


 少女は、勢いよく立ち上がったと思ったら、都市出口へ向かって駆け出した。俺より背は少し低い位か。いや、そんな事考えてる場合じゃない。俺は慌てて声を掛けた。


「ち、ちょっと待ってくれ! 依頼されたんだ、人探しの!」


「私じゃありません! 人違いです!」


 そういって、少女は更に駆ける。


「それなら逃げなくても良いじゃないか! 話を聞いてくれ!」


「お断りします!」


 埒があかない。しかも、少女が速いのか俺が遅いのか、一向に差は縮まらないどころか、どんどん広がっていく。


「マジかよ……!」


 足だって怪我してるのに、何だこのスピードは。見失うまいと必死に追いかける俺に、楽しそうな声が掛かる。


「アイツをつかまえるのー? ぼくもやってもいい?」


 ライムだ。忘れていたが、ここが僕の場所だといわんばかりに肩に常駐している。振り落とされないどころか、どこか楽しそうに身体を揺らしている。


「で、出来るのか!? 怪我を、これ以上酷く、したくないから、早く捕まえたい!」


 息が上がりながら、なんとか要望を伝える。上手く、前と後ろから挟める様に陣取れれば、話が出来るかもしれない。


「まかせてー!」


 ライムはそういうと、鬼ごっこだ! といって、肩から少女の方へ飛び跳ねた。


 一瞬だった。


 ライムは、少女の背中へ形状変化した腕を伸ばし、そのまま、背中へ貼り付くように腕を収縮する。


「えっ! なに!?」


 少女は、突然の衝撃に驚いていたが、背中に貼り付いたライムは形状変化をし、少女の足に腕を絡ませ、躓かせる。怪我はさせるなって、と俺が思ったのも束の間、ライムは、背面から地面へと滑るように降り立ち、再び形状変化をする。大人一人が寝そべっても大丈夫な、丸く平たい形になり、少女は、あっ! と言って、躓くように顔からライムへと倒れこむ。


 ぐにゅうという音が聞こえた。少女に、新しい怪我はない。


 僕の勝ちー! とライムは嬉しそうに、平らになっている身体を揺らしていた。


 少女は、訳も分からず呆然としたまま、一緒に揺られていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ