思い通り
黒崎さんは距離をとったメノウの分身に叫ぶ。
「早く死んでくれませんかー?」
そう言っても逃げるので必死に頭を回している彼女には声が届かない。
「今までは君のように断る奴なんていなかったんだよ。裏社会というものを教えたからには消えてもらわないと困る。ただでさえ闇市でも回っていない情報なんだからさ。」
今まで組織の一番上として優しかった社長は攻撃はしてこないものの、ちゃっかりと黒崎さんの味方にまわっている。
メノウは煙幕を出した。
視界が悪いうちに自分の血で分身を作る。
ほぼ自分と変わらない動きに、黒崎さんを騙せるように。
メノウは吸血鬼の能力で姿を消し_____
本物のメノウは部屋の端で身代わりと黒崎さんが戦っているのを見学している。
分身のメノウは一切喋らないが、黒崎が疑うことはない。
「死んでください」
黒崎が言った時、メノウの分身が勢いよく壁にぶっ飛んだ。
ドガン
壁が壊れ、人が通れそうなほどの穴が空いた。
崩れた壁から分身がゆっくりと起き上がる。
メノウは心の中で分身が壊れているか心配にはなったけど、耐久力の高さに感心していた。
しかし、壊れていないもの、本人ではないとバレるのは時間の問題だった。
逃げるなら激しく戦闘が行われていない今しかない。
そう思いそっと穴から外へ駆け出す。
外から入ってくる光にメノウが出ていく姿が写った。
そうしてメノウは孤独で闇社会の戸に手をかけたのであった。
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「黒崎さん逃していいんですか」
「あぁ」
「期待しているからね」




