吸血鬼と能力
男装しようかな。
人生で一度はしてみたかったんだよ〜!
そう考え、白いTシャツと薄い水色のデニム、灰色のシンプルなカーディガン、黒い靴を手に取り着替え始める。
「やっぱ、服大きくない?」
着替え終わったはいいものの服が明らかに大きすぎる。
どうしよ。
とりあえずカイトさんに頼るか。
「...あ、あのー。カイトさん、一応着替え終わりましたー...。」
そういうと、カイトさんが現れて
「あちゃー、んーと、テェンジできます?」
「?」
ん?どういうこと?
「あの方からチェンジについて聞いてないようですね。吸血鬼には変身する力がありまして。完全に他の人に見た目を変えたり、時には性別を偽ることができるんです。変身に近い感じです。基本的に吸血鬼はなんでもできるはずなので...。そうすれば服もピッタリになるのかなと。」
なるほど。男性に変身すれば、体が大きくなり服のサイズが合うようになるのでは、ということか。
...どうやって変身するんだ泣
それを察したカイトさんは
「目を瞑って、理想を思い描いてください。吸血鬼が作り出すものは強いイメージで実現できるので。身長が大きくなり服が合う姿、体型、声の低くさ。つま先から頭まで男装した自分を想像してみてください。」
普通より少し小さな足、アキレス腱が目立つ細い脚、程よく弾力がありそうな美尻、腹はシックスパック、首は細く長く見え、顔の骨格がしっかりしていて、ウルフ髪...
そこまで想像した時、急に胸の辺りが熱くなった。
「ゔっ!!!」
苦しい。体が熱いっ。
思わず強く目を瞑った。
「っはぁ、はぁっ」
意識を繋ぎ止めるのに必死で、気づいた頃には体も通常体温だった。
苦しくもない。
目を開けてみると、カイトさんの背がさっきより低く見える。
全体的に骨が角ばって血管が浮き出てる。
「うまくいきましたね。流石、あの方が選んだ人です!」
そう言って拍手してくれた。
(あの方?)
「え、あ、あのっ」
あの方って誰?と問おうとしたが、うまく声にならない。
声変わりが起こったばかりで声が出しにくい。
「あっ!!王様との面談のお時間が迫っております。準備はこれでよろしいですか?」
「は、はい!」
「それでは今すぐ馬車に乗っていきましょう。」
メノウ(元赤谷咲)
性別:男性(男装)
身長:173cm