第一章 異世界追放系ざまあを書いていたら「遠山の金さん」になった件、これアカンやつだ。
『絵本大賞への野望と不純な下心』
Q.なんで、異世界追放系ざまあを書こうと思ったか。
A.アルファポリス「第16回絵本大賞」に向けて、抱き合わせ戦略として異世界追放ざまあを投下すれば、人気ジャンルの集客力で多くの目に触れるだろう。要するに、客寄せパンダ作戦である。
そんなわけで異世界追放系ざまあを書こうと思った。ちまたで人気のジャンルだが、ありふれた「追放される側」の物語では芸がない。逆張りで「追放する側」から描けば差別化できるはずだ。
『主人公・職業選定』
王様?国政で忙しすぎて無理がある。法律関係者がベストだろう。執行官か裁判官。権力もあるし、悪を成敗する大義名分も立つ。
『ギャップ萌え戦略』
ただの堅物役人ではあまりに人情がなくて共感が生まれにくい、少し不良っぽい存在がいい。普段は街でダラダラしているニートとみんなから思われている。…だが、いざという時に圧倒的実力=俺TUEEEを発揮する。このギャップが読者の心を掴むはずだ。見た目は金髪でキメる。
『バックストーリー』
背景がないキャラに魅力は生まれない…
戦争の英雄でありながら同時に罪人という矛盾した過去がある設定はどうだろう。罪の証として特徴的な入れ墨が刻まれている。不良っぽいのも自然。めちゃ優秀すぎて処刑を免れ役人になった…説得力がある。完璧な設定だ。
『悪役・舞台設定:ナーロッパ回避術』
悪役は定番の腹黒商人。主人公に同情が集まるよう、徹底的に悪党にする。
舞台は「ナーロッパ(笑)」と揶揄されないよう、とりあえず資料の豊富な江戸時代日本にする。識字率も高く、最適だ。
ここまで考えて、少し雲行きが怪しくなってきた。既視感がある。いわゆる勧善懲悪系だな。だがよくあることだ。
『勧善懲悪の王道を行く展開』
舞台は江戸時代の日本。主人公の名前は「金」。金髪だから金。シンプルでわかりやすい。
いや待て、江戸時代に金髪は不自然すぎる。黒髪に変更だ。
『第一幕:事件発覚』
街をぶらつく金が農民や貧乏旅人の相談を受ける。悪徳商人が弱者を食い物にしている模様。
『第二幕:潜入調査と戦闘』
金が秘密調査を開始。しかし商人側に発見され戦闘に。ここで全滅させてはストーリーが終わるので、適度に撃退。
『第三幕:法廷劇と逆転』
商人が「不審者に襲われた」と奉行所に訴え出る。事情聴取する奉行が実は金本人。しらを切る商人を問い詰め、ついに切れた金が自らの入れ墨を見せて正体を明かし──
「この入れ墨が目に入らぬか!」
...あれ? これ、遠山の金さんじゃん。
桜吹雪の刺青、奉行でありながら普段は町人として市井に紛れ込み、最後に正体を明かして悪を成敗する…完全一致。
気になる方はWikipediaで「遠山の金さん」を見ることをオススメします。