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類は友を呼ぶ


「うぉい、優!!!」


授業も終わり、みんなが新しく出来たばかりの友達と話している中、俺は秋山優の机に向かった


「さっきのアレは何なんだよぉ!!血が出たし、いてぇよ!!」


「誰かさんがバカな妄想をしてるからでしょうが!!」


「バ、バカな妄想だと!?貴様、妄想をバカにしたな?」


優は付き合いが長いので、俺が三度の飯より妄想が好きなのを知っている

あまり良くは思っていないようだが………


「だってそうじゃん(笑)いつもどーーでもいい妄想してるんでしょ?」


「ふっ……なんて哀れな。そんな奴に俺の妄想が止められたとはな。さっきはあともうちょっとで君の体を食……」


「死ねぇぇぇ!!!」


「グベェ……」


優の右ストレートが俺のみぞおちにクリーンヒットした

あまりの破壊力に俺はその場に座り込んだ


「全く、相変わらず幸弘は打たれ弱いねぇ」


「い………いや……お前…の……パンチが………ハンパねぇんだ……ゴ…ゴリラ………」


「あぁ!?」


「………すいません」




優のせいで俺は休み時間の間、床に座り込んでいた

その頃優は新しく出来た友達と談笑中だった


…………放置プレーかよ!!


優だけでなく、周りの人達も2、3人のグループに分かれて談笑中だった


ま、まずい………

これはまずいぞぉぉぉ

よ、よし

俺も積極的に話しかけなくては!!


そう思っていた矢先に次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴った

それと同時に女の先生が教室に入ってきた

仕方ないので俺は腹を抱えながら席に座った




俺のクラスは男子15人、女子10人で若干男子のほうが人数が多い

教室内では1列5人の計5列で机が並んでいる

その中で俺が座っているのは3列目の前から3番目

つまり教室のど真ん中だ



………それにしてもさっきから先生とよく目があうな

今授業をしている先生は中々の美人だ

そんな先生に見られるのは悪い気分じゃないな(笑)


も、もしかして先生は俺の……………


※※あまりにも卑猥過ぎる妄想なので自粛します※※



あ、ヤバい、涎が………


楽しく妄想をしていると授業はあっという間に終わった


すると誰かが俺の右肩をトントンと叩いた

後ろの席を向くとそこには俺を見てニヤニヤしている男が座っていた


「な、何ですか……?」


「俺の名前は戸木田順次っていうんだ。よろしくな!!」


「あ…え?お、俺は田山幸弘……です。よろしく」


突然自己紹介をされた俺はキョトンとして戸木田順次を見ていた

俺の表情を見た彼はより一層ニヤニヤしていた


戸木田順次は、髪は長髪でワックスでしっかりとセットされている

どう表現したらいいのかわからないが、とりあえずオシャレだということは俺にもわかった

目はキリッとしていて鼻も高く、普通にイケメンだ


そう思っていると彼はいきなり


「ねぇ、幸弘は妄想するのが趣味なの?」

と聞いてきた


「…………は!?」


予想外の質問に俺は目が点になった


……ヤバい、さっきの俺と優の会話を聞いてたんだ

引いてるよ、絶対引いてるよ、平静を保たなければ………


「そ、そ、そ、そんなこ、こと、ことな、ない……よ!!」


………俺めっちゃ慌ててるーΣ( ̄□ ̄)ヤバいよー


「アハハ!!慌てる必要ないさ、なんたって君と僕は同類なんだからね!!」


「……なぬ??」


「なんならさっきの授業中、君が考えてたこと当ててみせようか?」


そう言うと彼は俺の耳元で囁き、さっきの授業中にしていた妄想を見事に当ててみせた


「…………」


ガシッ!!


「同志よ!!」


俺と戸木田順次は熱い握手を交わした


ここに妄想同盟が生まれた!!!


「………バカじゃないの」


一連の流れを右横の席から見ていた優がボソッと呟いたが当然スルーした


俺にとって生涯初の男友達だ!!


その後も授業の度に妄想をしては、俺と順次は妄想内容について語り合った

内容は…………とてもじゃないけど言えない(笑)

そんなやり取りを優は終始呆れた顔で見ていたが、どこか嬉しそうだった


この高校で俺の"過去"を知っているのは優だけだ

だからこそ、

今の俺がどれだけ幸せか、優には手にとるように分かっていた



そして学校初日は無事終了した

順次と優は部活の説明会に行くため、俺は一人で下校した



通学路から脇道にそれた所には桜龍街道と呼ばれる道があり、今の季節は満開の桜がまるでトンネルを作っているように見える

今朝は急いで学校に向かったので、帰りはこの満開の桜を見ながらゆっくり帰宅した


「ただいまー」


「あら、お帰り。早かったわね」


家に帰り、玄関のドアを開けるとお母さんが靴を履きながら、俺に向かってニッコリと微笑んだ


「今から仕事?」


「うん、夕飯は冷蔵庫に入ってるから。それじゃあ行ってきまーす!」


そう言うとお母さんは出掛けていった


俺のお母さんは明るくてとても優しい自慢のお母さんだ

俺が話し掛けると何時もニッコリと微笑んでくれる

その笑顔に俺はいつも癒されていた


帰宅後、特にやることもないので夕方まで昼寝をして夕飯を食べて、お風呂に入り、その後直ぐに自分の部屋に向かった



俺の部屋には机、本棚、タンス、そしてベット以外の物が無いので、とても殺伐としている


まだ10時だったが、なんだか疲れたので部屋に入るなりベットの上に転がり、眠りについた



深夜0時になるころ、ふと目が覚め、俺はいつもと同じように昔あった嫌な事を思い出していた



なんでだろう………

楽しかった事や、嬉しかった事は比較的直ぐに忘れてしまうのに

辛い事は何時まで記憶から消えずに心の中にまとわりついている


本当は直ぐにでも忘れたいはずなのに………

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