ふらり、たちより、いのり、しり
ときどき訪れる駅の近くに、神社がある。
薄い石段に、大きな石鳥居。
石畳の参道に百度石があって、いつかのだれかの祈りをおもう。
狛犬の台座のへこみは、空襲のあとだという。
春は枝垂れ桜が美事で、それとは裏腹に、ぽんぽんした花たちは、さくらんぼのようにかわいい。
初夏から、鎮守の森は、みどり深まる。何気なく見上げると、頭上高く、太い枝が方々へひろがっている。枝のゆくえをよくみようとして、気づけば首がいたくなっていた。
今年初めての夏のにおいがここにあって、ふしぎにうれしかった。
お参りして祈るのは、いつも同じことだ。同じことを、ときに違う順番で。
そしてまた、いまの自分を知る。
特別な信仰もなく足が向くのは、ほんの少し、何かと向き合えるからだろう。