【閑話】頑張れ、自衛隊1
政府side
「いったい、どういうことだね。復興は、順調に進んでいるんじゃないのかね」
「はい、ですが謎の電磁波のために電子部品の変調により、通信、物流、ライフラインにも影響が出ているため‥」
「言い訳はいい、だいたい、謎の電磁波とは、なんだね。まだ原因は、わからないのかね。地震から、もう三週間にもなるんだぞ。」
と、職員が一人の閣僚のもとに、書類を持って駆け寄る。
「なんだ、これは、本当なのか」
「なんだね、どうしたのかね」
「はっ、総理、実は今連絡がありまして、地震後の原子力発電所についての調査で、トラブルがあり、負傷者が出たと」
「なんだと!」
閣議で、もたらされた報告には、すぐに正確な調査が命じられた。
自衛隊side
東京近郊から、静岡、茨城の原子力発電所、全国各地の核施設の調査に、専門家を含む自衛隊が、出動した。
「なんだこれは」
私は、調査のために派遣された隊の隊長をしている。目の前の原子力発電所のあった場所に、穴が空いている。
具体的には真ん中に小山があり、周りに掘りがあり、その掘りを突っ切るように土手のがあり、土手の上に小山に続く道が、小山に空いた洞窟に続いている。
道の手前には北欧の古くて大きな門と石造りの建物がある。
不思議な眺めだ。そして不自然眺めがある。
「あれはなんだ?」
何台かのトラックやダンプカーが、瓦礫やゴミを端の方で、捨てている?
同行した市の職員に聞いたところ、地震で出た瓦礫やゴミを穴に捨てているとのこと。
なぜ、ここに捨てるのかは、どこからか、許可が、出ていることと、ゴミや瓦礫が一晩で消え失せてしまうのだと。信じられない。報告は上がっているのだろうか?
まずは、専門家に放射線の有無を確認してもらってから、テントを張り、拠点をつくる。
副長に拠点を任せ、部隊を整え、門の側の建物調べてみる。
建物には、いくつかの部屋があったが、一つの部屋に1メートル程の高さの台に、バランスボールくらいの玉が置いてあった。
この玉についても調べてもらうことにする。
改めて小山の洞窟へ、周囲を警戒しながら進む。
洞窟の前で銃に着剣する。
「いいか、未確認情報だが、謎の生物らしきものによって、負傷者が出ている。周囲に気をつけて進め、だが、命令があるまで、発砲はするな、では入るぞ」
ライトをつけて洞窟に入る。奥に入ると意外に明るい、壁や天井付近に、光っている部分がある。コケや鉱石が、うっすら光っているようだ。
何ごともなく進むが、それは突然やってきた。
「うわ!」「なんだ!」「ゴ○ブリッこの」
モンスターが、襲いかかってきた。
「落ち着け!冷静に対処っ、ゴキ○リ!」
想定外の予想外だった。さすがに、発砲は、なかったがパニックなった隊員も、少なくなかった、それでもケガらしいケガをせずに、洞窟、の外に撤退出来たのは、普段の訓練の賜物だろうか。
このとき、誰もモンスターに止めを刺していなかったのは、偶然か必然か。
私は、一回目の探索の反省を踏まえ、ナイフ、シャベルの近接装備の少人数で、後衛が銃を持って、援護の形をとる。
シャベルを持つ私を先頭に洞窟を進む、現れるモンスター、普通より大きな虫を殴り、蹴り、倒していく。
洞窟は迷路のように先が見えない、地図を作りながら進むが、戦闘が続くと肉体的疲労も、だが精神的な疲労が、たまっていき、1時間ほどで戻るが、入ってきたときに倒したモンスターの死骸が、ひとつとして残っていなかった。
「この道で、合っているのか?」
「はい、合っています。地図とも違いありません」
「そうか」
たまに、モンスターも現れるが、入ってくるときより、やはり少ない。
やがて外の光が見えてきて、皆、ほっと息をついている隊員も多い。
洞窟を出て掘りの外まで戻り一息ついていると、石造りの建物の玉が淡く光っていると報告がきた。
調査していた者に、いつ頃から光り出したのか聞いたが、気がついたら光り出したと話している。
皆周りで見ている。無意識に、近づき玉に手をつくと、カードが出てきた。
「「「うわ!」」」
周りが、どよめく、カードは、スマホより、ちょっと大きいくらいか、私は、「カード?」と、呟き
【カードの呪文を覚えますか? はい/いいえ】
「なんだこれは」 「どうしました?」
カードに文字が出る、周りにカードを見せるが、文字が見えないらしく、不思議そうにしている。
他にも玉をさわり、カードを出す者が出てくる。
問いただすと、カードを出した者は無意識にオブジェに触り、カードを手にしているようだ。
やはりカードに文字が出ているらしい。
覚悟を決めて、(はい)をタッチすると、【覚えました】と、表示され、カードは、光の粒になり消え失せる。
「カードが」と、慌てると、またカードが手に収まる。
どうやら、カードは、出し入れ可能らしく、カードを取れた者は、皆同じらしい。
その後聞き取り調査をしたところ、どうやら、洞窟内でモンスターを倒した者が、カードを手にしたようだ。誰が、言ったか
「ダンジョンかよ」という言葉が妙にしっくりくる。
とにかく、調査は、まだ、はじまったばかりだ。
明日の調査は副長に、任せ、報告書を書くことにしよう。