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Comedy…☺

【漫才】もうしょうがない

作者: よた

 新潟。地方営業。公民館。観客は数十名程度。ほとんどが老人。子供も少しいる。


二人「はいどもー」


 マイクスタンドの前に男二人組が立つ。ボケはフラフラとしている。紙袋持参。


ツッコミ「はいはい、いやーどーもです皆さーん、お元気ですかー。ねぇーそこの奥さん。お美しいですよ。ほんとに、ねぇー。そちらのお方も。ちょっと失礼。おい、おまえ、おい、聞いてっか! おい! ……えーっと」


 相方の肩を叩くツッコミ。


 気分が悪そうなボケ。


ボケ「……」


 二人、小さな声で話を始める。


ツッコミ「どうしたんやお前、本番やぞ! 本番!」


ボケ「ご、ごめん。昨日、飲み過ぎた。続けといて……」


ツッコミ「そ、そんなんあかんて! 一人で漫才なんて無理やろ!」


ボケ「うぃ……」


ツッコミ「うぃってなんじゃい! うぃって! 仕事や! 真面目にせい、真面目に!」


ボケ「わかった。頑張る」


 声大きくなる。


ツッコミ「いやーごめんなさいね、続けますわ。そうそう、僕、何を隠そう、新潟市出身なんですよー。ほんで、こいつは新潟高校で知り合ったんですー。え? なんで関西弁しゃべってるかって? 気にせんといてください。あっははははー」


ボケ「……」


 声小さくなる。


ツッコミ「頼むからなんか喋って、やっぱり一人でなんて無理やて、頼むからしゃんとせい! しゃんと!」


ボケ「そんな言ったって、立ってるのがやっとで……」


ツッコミ「わかった。何ならできそうなん?」


ボケ「喋るのキツイ、ショートコントにして」


ツッコミ「喋るのキツイて、漫才師やろおまえ! 何しに来とんや!」


ボケ「だって、無理なものは無理やて……」


ツッコミ「よし、わかった、予定とちがうけど、漏らしたおっちゃんのやつにしよ。ええか?」


ボケ「わかった」


 声大きくなる。


ツッコミ「すんませんね、ほんとに、こいつ昨日の夜ね、八海山はっかいさん、水みたいにがぶ飲みしおってね、ほんと馬鹿ですわー」


ボケ「うぅ……」


ツッコミ「どした?」


ボケ「なんでもない、ショートコントやろ、漏らしたおっちゃんのやつ」


ツッコミ「言うなああああ! ネタバレや、ネタバレ! 先に落ち言ってどうする!」


ボケ「あ、そうやった」


ツッコミ「もう、他のにするわー。冒頭しゃべるからついてきい!」


ボケ「わかった」


ツッコミ「いやこいつね、最近、許せないことがあったみたいなんですよ。言ってたよなさっき?」


ボケ「うん? そうだっけか? 痛! つねらんといて、あぁ、そやたそやた」


ツッコミ「昨日、家から山手線で上野駅まで電車に乗って、そのあと新幹線に乗って――」


ボケ「あぁ、あれか!」


ツッコミ「そんでもって――」


ボケ「あぁ、それ俺が言うわ、えっと……」


ツッコミ「……」


ボケ「そうそう、杖着いたおばあちゃんに席を譲らないやつがいてね。しょうがないからこっちきな、って言って、僕の(ひざ)の上に座らせたんですよ」


ツッコミ「お前も同じや! なんで(ひざ)の上に座らすん? どいたらええやん!」


ボケ「だって疲れるし、でもそのおばあちゃん。ありがとって言って座りましたわ」


ツッコミ「そんな訳ないやろ!」


ボケ「その後、屁こいて去っていきましたわ!」


ツッコミ「なんじゃそのばあちゃん! まぁ、嫌われたんやきっと。よし、分かったわ、俺がちゃんと教えたるわ」


ボケ「ああ、頼んます」


 ショートコントが始まる。


ツッコミ「ガタンゴトン、ガタンゴトン」


ボケ「うぅ……」


ツッコミ「なあ、そこのばあちゃん、席、座ります?」


ボケ「ち、ちがう、あかん」


ツッコミ「どうしたんや! おい!」


ボケ「こ、この電車、俺にははやすぎる!」


ツッコミ「はやすぎるってなんや、ただのショートコントやろ!」


ボケ「う、想像したら、気持ち悪い……あ、出る出る出る!」


ツッコミ「え、まさか! あかんあかんあかん!」


ボケ「ぼおええええ!!!!」


ツッコミ「もーええわああああ!!!!」


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