4.初登校
翌日、僕と母は朝早くに学校へと向かった。自分の担任の先生や、他の先生方などに僕が女体化したことを伝えるためだ。
「あの、すいません、夜十神 月の母ですが、月の担任の先生はいらっしゃいますか?」
「はい、少々お待ちください」
3分ほど待ったところで僕の担任の優美先生がやってきた。
「月さんのお母さん、今日はどうしたんですか?」
「実は……――――――――」
家ではおかしな母だが、こういうところではちゃんとしてくれた。
「信じてくれますか……?」
僕は、不安になりながら先生を見上げた。
「うっ、上目遣いなんて卑怯……」
そんなつもりはなかったのに… もしかして僕、無意識のうちにやっちゃった?やだ、僕っておそろしい子!
「まぁ、原因は不明ですが、事情は分かりました。本当に月さんなんでしょう」
「ありがとうございます先生!!」
僕は嬉しかった。一つは信じてもらえたこと。二つ目は僕のことを受け入れてくれたからだ。
「先生って所をもう一度……」
「えっ?」 小さな声で聞こえなかった。母は聞こえたらしいが「あらあら」というだけで、それ以上は何も言わなかった。
「なっ、何でもありません!さぁ、教室へいきましょうか!」
まぁ、聞かないほうがいいこともあるよね。うん、これは聞かないい方がいいやつだ。
こうして僕は教室へと向かった。
トクンッ トクンッ 僕は、今まで以上に緊張していた。
「月さんは、少し待っていてくださいね。私が呼んだら入ってきてください。」
「はい……」
僕は短く言葉を返し、呼ばれるのを待った。待っているうちに中の話が気になって聞き耳を立てる。
「先生、今日は月、休みですか?」 たった2日会ってないだけなのに、なんだか懐かしく感じた。
その声は、友達の樋口 翔馬のものだった。
「はい、それを今から話すところです。いいですか?理由は分かりませんが、月さんは女の子になってしまいました。」
「せんせー、それ本当なんですかー?」
「はい、本当です。月さん入ってきてください。
来た!僕は大きく深呼吸をし、扉を開けた。
ガラガラッ
「おはよ、みんな……」
クラス全員が僕を見ていた。見られると覚悟してたけど急に怖くなった。
「あの…えっと……月です……」
泣きそうになりながらも、次の言葉を必死になって考える。どうすればいい、このままじゃ……
その時、声が上がった。翔馬だった。
「おう、おはよう月、可愛くなったな」
そこからは次々に声が上がった。
「うおぉぉ!!ルナァ!俺と付き合ってくれぇ!!」
「おはよ、夜十神くん、これからもよろしくね」
「好きだーーー!!!!!」
「可愛くなったね」
などの言葉が返ってきた。
聞いてはいけないものまで聞こえてしまったたが、そこはスルーだ。
「はい!全員そろったところでHRを始めます!」
優美先生がそう言って今日一日が始まった。
二日でいろんなことがあったが、女の子になって初めての高校生活が始まったのだ。
久しぶりに書きました。おかしなところもあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。