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令和の亡霊  作者: 津田晃
プロローグ
1/9

60年前の親友

「今日、この良き日に、私達は卒業します」


卒業生代表のスピーチと卒業証書の授与を終え、左胸に造花のブローチをつけた卒業生たちは涙したり笑いあったり、抱きしめ合っている。

浩一も釣られて涙目になり、慌てて鼻を啜った。誰もからかう者はいないと分かっていても、泣くのはなんとなく気恥ずかしかった。


「よ、浩一。スピーチお疲れ」

「いやマジ恥ずいわ、膝震えてたし」

「いんや、さすが代表って感じだったわ」

「サンキュ。勇はこの後どうすんの」

「決まってんだろ、卒業アルバムにメッセージ書いてもらうんだよ。クラス全員制覇すっから」


サインペンを片手に、卒業アルバムをもう片手に、勇はクラスメイトたちのところへ駆けていった。

浩一はそれを見送って、教師たちのところへ挨拶へ向かった。人望の厚い浩一は教師たちにも気に入られており、担任は号泣しながら浩一の頭を掻き回した。

無造作な髪のまま挨拶を続け、後輩の女子に第2ボタンをねだられ、ようやく用事を全て終えた浩一の前に、勇が駆けてきた。


「はい、最後はお前な」

「はいはい」


浩一がアルバムにメッセージを書いて渡すと、勇は照れ臭そうに笑って少し涙ぐんだ。


「浩一お前絶対連絡しろよ! 親友だかんな!」

「分かってるって、大袈裟だなお前!」


涙と笑顔で中学校生活を締めくくり、クラスメイトたちは各々選んだ高校に進学していく。4月からは新しい制服に身を包み、新たな場所で新たな生活を送るのだ。大きな期待と小さな不安を胸に、浩一は校門をくぐった。


浩一が、勇が自殺したという知らせを聞いたのはその半年後だった。


平成の終わりを知った時、ラストシーンが思い浮かび、ラストシーンを書くために執筆しました。

是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。

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