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44話「鉱山迷宮④」

ブジュルブジュルッ


粘着音を発しながら俺達の前に姿を現す。


RPGならではの雑魚モンスター代表各であるスライムである。


「マスターお気を付けを」

「あぁ、単なる雑魚じゃないな」


【看破】

 名前:NoName

 レベル:63

 種族:スライム

 体力:2,714/2,714

 魔力:320/320

 攻撃力:381

 防御力:380

 所有スキル:物理無効、強酸、吸収、壁走り

 状態:健康


物理無効・・・勇者が魔法の一つも覚えていない状態でエンカウントしたら死亡する方のスライムだった。


「こういう場合はコアを破壊すればいいと思うが」

「スライムにコアという物はありません」


半透明のゼリー体がブヨブヨ動いているだけだ。


「ここに来て魔法が必要か」

「私は無力になります」


ファイアーボールなんかで倒れてきそうにないしな・・・幾ばくかやってみるか。


「ファイアーボール」


魔法使い初期スキルであるファイアーボールを出現させる。


「行け」


ボシュゥウ


ファイアーボールをスライムに向かってホーミングしつつ発射する。


ボンッ


ジュォオオオオオオオオオ


キュアァアアアア


高温の火はスライムの体を焼き蒸気を発する。

体を傷つけられてスライムから高い音が発せられた。


「案外ダメージが入っているな」

「スライムの体の殆どは水に近いらしいですから炎系は有効かと」

「魔力もあるしジックリと倒すか」


更にファイアーボールを10回程ぶつけると体を構成する水が蒸発しつくし戦闘は終了となった。

消費魔力も41とリーズナブルだ。あまり多く出られると困るが・・・


「俺の糸って独立してたよな?」

「はい、私との接続が1つ、後の9つは別々のスキルを発動できると記録しています」

「つまり、9つのファイアーボールが出せるよな?」

「・・・そこは盲点でしたね。何も杖などが魔法を発動する媒介ではありませんから」

「じゃ、楽に進めそうだ」

「後ろは任せてください」

「頼んだ」


スライムの出現は大体一匹か二匹で足も遅いから同時発動ファイアーボール9つの弾幕でダメージを与えて弱ったところを追撃で倒す。


遅々と進まないが、さすがレベル63のスライムだ経験値豊富で魔法の腕は徐々に上がっていく。


ピッピッピッピッピッ


「ん?」

「どうしましたか?」

「何か音が聞こえないか?」

「いえ?モンスターが近づいてきたのですか?」

「いや、なにか機械音が・・・ステータス」


ヴンッ


久しぶりに自分のステータスを開く。


「なるほど魔法のスキルが習得が可能になったのか」


ファイアーボールのレベルがMAXとなり他の魔法が取得可能になった。


・ツインファイアーボール

・ウィンドカッター

・ウォーターバレッド

・アースホール

・ライトボール


「全部取得だな」


魔法使いの項目に取得した魔法が追加された。


さすがにアナウンスは出なかった。


カタカタカタカタ


「定番のスケルトンか」


【看破】

 名前:NoName

 レベル:63

 種族:スケルトン

 体力:2,642/2,642

 魔力:318/318

 攻撃力:381(+17)

 防御力:318(+28)

 各種装備品:アイアンソード、アイアンプレート、アイアンフォール

 所有スキル:剣術、二連閃

 状態:健康


鉄系の装備持ちか。


55階層からスケルトンが数体道を塞いできた。


「ウォーターバレット」


ビシャビシャビシャッ


アイアンプレートに防がれる。


「アースホール」


ガシャァン


スケルトンの2体が落とし穴に落ちる。


「ウィンドカッター」


キィン


やはり鉄の装備に防がれる。


「ツインファイアーボール」


ドゴォオオン


ガシャァアン


前にいた2体のスケルトンを吹き飛ばして後続を巻き込んで落とし穴に落ちる。


「埓があかないな」

「魔法だけだと厳しいかと」

「頼めるか?」

「畏まりました」


サンが前に出てスケルトン達と退治する。


「ハッ!」


ズバッ


「鉄ごとか」


サンの新しい武器がスケルトンの装備する鉄防具を真っ二つに切り裂いた。


さすがダマスカスレイピアだけある。


ズバッ


ズパンッ


レイピアが振るわれる度にスケルトン達が地に沈んでいく。


「ここら辺までくれば魔石(大)が出やすくなるな」

「そうですね」


雑魚モンスターの代表格と呼ばれるモンスター達からは希少価値の高い魔石(大)のドロップ率が高い。


グォオオオオオオ


「ハインドベアーか」


【看破】

 名前:NoName

 レベル:65

 種族:ハインドベアー

 体力:4,269/4,269

 魔力:483/483

 攻撃力:771

 防御力:771

 所有スキル:引っ掻く、咆哮、突進、のし掛かり、なぎ払い、リーダーシップ

 状態:健康



58階層からハインドベアーが現れる。


「ツインファイアーボール」


ドォオン


グォオオオ


ツインファイアーボールをあてると火傷しつつも後退する。


「ハッ!」


ズバッ


グォオオオオ


一気に近づいたサンの一閃がハインドベアーの左腕を切り離す。


ビチャビチャビチャッ


左腕は瞬時に霧散したが、本体の方は出血する。


ダンジョン産であろうと死ぬまでは生身なのかもしれない。


グワッ


左腕がなくともハインドベアーは突進して来た。


「くっ!?」


ガリガリガリガリ


サンが突進を受け止めるが体重差によって俺のところまで押し戻される。


「アースホール」


タンッ


サンが後ろに飛び上がり、地面に穴が出現する。


グォオオ


勢いづいたハインドベアーが穴に落ちていった。


「ツインファイアーボール」


ドゴゴゴォン


すかさず魔法を放つ。


ガァアアアアア


至るところを火傷しながらもハインドベアーは穴から這い出てくる。


「隙だらけですよ」


ズブッ


背後にサンが忍びよりレイピアをハインドベアーの頭に突き刺す。


ガァゥ


断末魔も出せずにハインドベアーは即死して霧散する。


「その武器は強いな」

「はい」


・・・


・・・・・・


あぁ・・・だから突破出来なかったんだな


【看破】

 名前:ファング・ドレイク

 レベル:70

 種族:レッサードラゴン

 体力:6,138/6,138

 魔力:849/849

 攻撃力:2,620

 防御力:2,626

 所有スキル:飛翔、引っ掻く、咆哮、突進、のし掛かり、なぎ払い、ファイアーブレス

 状態:健康


バサッバサッ


60層ボス部屋はレッサードラゴンが空中を飛翔し待ち構えていた。


ステータスが今までと違って段違いだ。


「装備強化二段階版、魔力強化二段階斬鋼線!」


攻撃力13,178に対してボスの体力と防御力の合計は8,764だ。

オーバーキルの一撃で倒す。


「魔石(特大)か」


特大の魔石がドロップする。


「最弱とは言えドラゴン族を一撃ですか」

「スキルが異常なだけだ」

「その組み合わせを考えたマスターが異常なだけです」


そう、スキルを組み合わせて使うというのは実は難しい。


二連閃と三連閃を同時に使える剣士は居ない。正拳突きと五月雨突きを同時に使える武道家は居ない。

ヒールとハイヒールを同時に使える僧侶は居ない。ファイアーボールとウォーターバレットを同時に発動できる魔法使いは居ない。


が、糸使いのスキルは組み合わせ自由が許されている。


独立した糸が別々のスキルを発動できる要因となる。


糸へのスキル多重使用は糸使いの特性と言ってもいいのかも知れない。


「理屈は分からんが使えるものは使う主義だしな」

「この武器でも傷つけられたか分からないモンスターですよ」

「余裕で傷つけられる所か3発か4発入れば倒せる武器だぞ」

「このレイピアにそんな力が」


サンにはレイピアの能力を知る術がない。


攻撃力1,750は伊達ではなくレッサードラゴンの防御力を軽々と突破できる性能だ。


「次会ってみたら試してみるといい」

「はい」


ザッザッザッザッ


61階層への階段を降りていく。


【看破】

 名前:NoName

 レベル:71

 種族:ゴブリンロード

 体力:9,700/9,700

 魔力:1,020/1,020

 攻撃力:1,281(+23)

 防御力:1,281(+20)

 各種装備品:ロングソード、獣の毛皮、獣の腰巻

 所有スキル:一刀両断、二連閃、薙ぎ払い

 状態:健康


61層に降りて初めてであったモンスターがロード級だった。


ゴァアアアアア


「スキル有りで一撃か」


ここからは気を引き締めていかないとあっという間に死にたどり着きそうだ。


ズシズシズシズシッ


【看破】

 名前:NoName

 レベル:71

 種族:ゴブリンキング

 体力:9,700/9,700

 魔力:1,020/1,020

 攻撃力:1,281(+25)

 防御力:1,281(+20)

 各種装備品:サーベル、獣の毛皮、獣の腰巻

 所有スキル:一刀両断、王者の咆哮、薙ぎ払い

 状態:健康


キングも普通に歩いている階層かよ・・・


サンを前衛に置き、俺がサポートでロード級、キング級を倒していく。

もちろん、ドロップするのは魔石(大)がほぼ100%の確率だ。


【看破】

 名前:NoName

 レベル:74

 種族:コボルトロード

 体力:5,036/5,036

 魔力:572/572

 攻撃力:737(+27)

 防御力:694(+26)

 各種装備品:ブロードソード、ラウンドシールド、獣の腰巻

 所有スキル:鋭爪、噛み付き、剣術、シールドバッシュ

 状態:健康


【看破】

 名前:NoName

 レベル:74

 種族:コボルトキング

 体力:10,072/10,072

 魔力:1,144/1,144

 攻撃力:1,475(+30)

 防御力:1,386(+8)

 各種装備品:鉄の戦斧、獣の腰巻

 所有スキル:鋭爪、噛み付き、斧術、兜割り、王者の咆哮

 状態:健康


【看破】

 名前:NoName

 レベル:75

 種族:ワーウルフロード

 体力:5,229/5,229

 魔力:588/588

 攻撃力:1,071

 防御力:921

 所有スキル:双爪、噛み付き、剛爪、俊足、遠吠え、リーダーシップ

 状態:健康


【看破】

 名前:NoName

 レベル:75

 種族:ワーウルフキング

 体力:10,458/10,458

 魔力:1,176/1,176

 攻撃力:2,141

 防御力:1,842

 所有スキル:双爪、噛み付き、剛爪、俊足、遠吠え、王者の咆哮、リーダーシップ

 状態:健康


降りれば降りる程、モンスターの格が上がっていった。


70階層のボス部屋は無く迷宮が続くばかりであった。

恐らく75層をラスボス部屋にしているのだろう。



・・・


【看破】

 名前:NoName

 レベル:80

 種族:リッチ

 体力:12,519/12,519

 魔力:3,809/3,809

 攻撃力:2,537

 防御力:1,908

 所有スキル:物理無効、ダークボルテックス、ダークホール、ダークフレイム、ダークエグゾードフレイム

 状態:健康


最後のボスはリッチ、物理無効ではサンの出番がなくなってしまった。


「ツインファイアーボール!」

『ダークホール』

「くそっ」


俺の魔法ではリッチの闇系統のスキルに封じられている。


『ダークフレイム』


ボワッ


黒い炎が俺達に向けて放たれる。


「ウォーターウォール」


水の壁で黒い炎を防御しようと発動する。


ブシャァアアアア


触れ合った瞬間、水が瞬間的に蒸発して迫り来る。


「魔力壁」


ブゥウウウウウン


8本の糸に魔力を込めて俺の前に展開させる。


ジュォオオオオオオオ


黒い炎は魔力壁の効力で威力が減衰する。


ジョォワア


「ぐっ!」


壁を超えて来たダークフレイムは俺に当たり体力を削る。


【火傷(中)】

「マスター!?」


腕が火傷の異常状態になる。


「ここで、異常状態か・・・」

「ポーションは!?」

「異常回復系は買ってない」

「では!?」

「10分毎に689のダメージが発生するな。それまでに倒せればいいんだが」


【看破】

 名前:NoName

 レベル:80

 種族:リッチ

 体力:12,519/12,519

 魔力:3,809/3,809

 攻撃力:2,537

 防御力:1,908

 所有スキル:物理無効、ダークボルテックス、ダークホール、ダークフレイム、ダークエグゾードフレイム

 状態:健康


全然体力が減っていないし、魔力も十分に残しているな。


「マスター、私は攻撃には参加できませんが盾と使ってください。例えこの身が滅びようとも本望です」


なに、人らしい事言ってるんだか・・・ガンジお前の作り出した作品はどんどん人間臭さを出していくぞ。


「その剣は魔法武器でもあるんだ、俺の防御を突破した魔法を切り裂くことはできるだろう・・出来るか?」

「任せてください!」


俺の前に立ちサンがレイピアを構える。


「行くぞ!」


グォオオオアアアアアア


リッチが吠え、魔法を放ってくる。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


あれから3時間が経過した。


「ゼェハァゼェハァ」

「マスター・・・」


【鑑定】

 名前:アオイ

 種族:ヒューマン

 レベル:75

 職業①:傀儡師(Lv55)

 職業②:裁縫師(Lv7) 

 職業③:薬剤師(Lv2)

 職業④:木工師(Lv2)

 職業⑤:採掘師(Lv5)

 職業⑥:魔法使い(Lv45)

 体力:1,390/15,733

 魔力:570/14,033

 攻撃力:3,227(+63)(+63)

 防御力:2,611(+197)(+78)

 状態:火傷(中)

 ランク:A


【鑑定】

 名前:サン

 種族:自律型魔導人形《NALL》3号機

 攻撃力:2,000

 防御力:550

 耐久値:72/750   

 ランク:アーティファクト

 品質:5


・アダマンタイト製のペンディラムガントレット

 【アダマンタイト】によって防御力UP(中)。

 【コガネタラテクトの糸】によって魔力消費量は75%に抑えられる。

 【ミスリルの杭】で貫通力重視の攻撃が可能。

 限界距離50m。

 切り離すことは出来ない。

 糸は最大5本まで操作可能である。

 攻撃力:63

 防御力:78

 移動速度:-5%

 耐久値:27/500

装備可能職業:糸使い

 ランク:クリエイト

品質:2


俺達はリッチに苦戦を強いられて武器装備の殆どが限界に来ている。

サンも被弾が激しくダメージが蓄積し今にも崩れ落ちそうだ。

俺も状態異常ダメージを長く貰いすぎて体力の殆どが削れていった。


【看破】

  名前:NoName

  レベル:80

  種族:リッチ

  体力:2,100/12,519

  魔力:540/3,809

  攻撃力:2,537

  防御力:1,908

  所有スキル:物理無効、ダークボルテックス、ダークホール、ダークフレイム、ダークエグゾードフレイム

  状態:健康


3時間粘って2,000近くまで体力を削りきった。


魔力残量も500近くだが油断ならない。


「マスター、このままではマスターの命が・・」


ギクシャクとした動きでサンは俺に振り向く。


幾度となく浴びた闇系統の魔法で装備の大半が融解している。


「サン、魔石を喰らって俺の魔力回復に費やせ。恐らくアレが来そうだ」

「はい」


この階層にたどり着くまでに取得した魔石(大)をサンに渡して取り込む。


「マナチャージ!」


さすが、魔石(大)に内包されている魔力だけあって俺の魔力はグングン回復していく。


30秒もたたない内に魔力だけは全回復した。


「マスター、何か秘策が?」

「そろそろ、奴が最大の技で俺達を殺そうとするだろう・・・そこを狙う」


リッチの動きが鈍くなっている内に魔力を回復したが、その間リッチ自体も準備しているのだろう・・・


ピキィン


頭蓋骨の目にあたる部分がずっと暗くなっていたが、ここで紅く光った。


「怒りモードだ!来るぞ!!」

「はっ!」


カタカタカタカタカタ


上顎と下顎を鳴らしてリッチは今までに発動しなかったスキルを発動した。


『ダークエグゾードフレイム』


リッチの口から黒い光線が俺たちに向かって放たれた。


「マスター!?」

「サン!全反撃フルカウンターだ!!」

「は!全反撃フルカウンター!!!」


ブワッ


サンの持つレイピアから黒いオーラが浮かびあがる、


ギュゥウウウウウン


ソレと同時に俺の魔力が全て吸い取られていった。


バキィイインンン


黒い光線とレイピアが触れ合い、リッチの方面に向かって光線が広がりながら跳ね返される。


俺の魔力全てと引き換えに一度だけ自分に向けられた攻撃を敵側全方位に跳ね返すのが全反撃フルカウンターの能力。


コレがなかったら俺たちは死んでいただろう。


ズズズズッ


黒い光線の波に飲み込まれるリッチを見ながら俺の意識は遠ざかっていった。


・・・


・・・・・・


ズキッ


頭痛を感じ、俺の意識は浮上していく。


スゥ


「マスター、やっと目を覚ましましたか?」

「あぁ」


仰向けに倒れている所をサンが見守っていた。


「どうなった?」

「リッチは無事倒しました。魔石(特大)がアチラに落ちています」

「そうか」


チラッと見て嘆息する。


「マスターが倒れた時はどうなるかと」

「恐らく、コレが魔力欠乏症という奴だろう」


魔力が0になった時、生物は気絶をして魔力回復に努めるそうだ。


「立てますか?」

「っつ、体の節々が痛い」


上半身を起こして貰いながら俺は立ち上がる。


「階下への階段が出現しています」

「体力も多少は戻っているか・・・肩を借りるぞ」

「はい」


サンの肩を借りつつ階下へと降りていく。


全75層しかない筈の迷宮に76層目へ続く階段である。


「ここが、エルダードワーフの聖域か?」


ボス部屋の半分程度しか無い空間に一軒屋が建っているだけだ。


ビビッ


一軒屋の前にある石が反応してホログラム映像が映し出された。


『ザァアアア・・・・こそ・・・たな。ザアァアアア・・・ワーフ・・・ザァアア』


映像はガンジのアバターのままだが、経年劣化によるものか音声の殆どが聞き取れない。


「マスター、5号機の波動を建物内にて検知しました」

「つまり、ここが聖域であっているのか」

「他にも台座らしき物と球体がある事を感知しました」

「恐らくこの迷宮のダンジョンコアという奴だろう」


聖域とダンジョンマスターの部屋を一緒にしたらしいな。


「入ろう」

「はい」


ギィイイイ


扉は簡単に開き、俺たちは中へと入る。


「コレが5号機か」

「はい。自律型魔導人形《NALL》5号機です」


・自律型魔導人形《NALL》5号機

 太古の昔に作られた自律型魔導人形。

 魔力を注がなくても自立行動が可能。

 また、同型機体は世界に散らばっている。

 傀儡師でないとマスターとして認めない。

 210cm

 術者の魔力を消費して装備に合ったスキルを使うことができる。

 固有スキル【キャッスルウォール】を持っている。

 【アダマンタイトギア】

 【アダマンタイトアーマー】

 【アダマンタイトレギンス】

 【アダマンタイトブーツ】

 【アダマンタイトタワーシールド】

 攻撃力:150

 防御力:2,040

 耐久値:1,500/1,500   

 ランク:アーティファクト

品質:5


防御特化型の前衛って性能だ。


タンクとしては優秀って事だな・・・


「で、コイツはどうやって起動するんだ?」

「起動信号は送っているのですが、何かに邪魔されています。恐らくコレがロックしているのでしょう」


サンが5号機の目の前にある球体を指差す。


・ダンジョンコア

 ダンジョンの最奥に守られ、ダンジョンを維持管理するコア。

 耐久値:50/50   

 ランク:アーティファクト

品質:5


「ダンジョンコアの停止はこのダンジョンの死を意味する・・・か。斬れ」

「はっ!」


スパッ


ズズズズッ


ダンジョンコアがスッパリと斬れて斜めにズレていく。


ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン


間髪入れず、周囲にアナウンス前の音が流れた。


 ≪鉱山迷宮が攻略されました。ただいまより鉱山迷宮は閉鎖致します。攻略中の冒険者達は強制的に外へ転移します≫


アナウンスが流れて部屋全体が振動し始める。


ウィイイン


5号機から起動音が発せられ始めた。


「起動シーケンスクリア。自律型魔導人形《NALL》5号機起動する」


キヒィイン


目に当たる部分が開き魔力光が見える。


「貴殿が新たなマスターであるな」


サンと違って低い音声だ。


「自己紹介は後にする。お前は俺の物という事でいいな?」

「是」

「では、インベントリにサン共々入ってくれ。転移が始まるらしい」


振動はいよいよ俺達の所まで迫ってきていた。


シュッ


5号機とサンがインベントリに仕舞われて俺の足元に転移魔法陣が展開された。


フッ


一瞬の浮遊感と共に景色が一転する。


ザワザワザワザワ


転移先はまさに迷宮入口前の開けた場所だった。


そこに迷宮の中に入っていたであろう冒険者達が集っていた。


目視で30人位であろう。

それと数千人程のエルダードワーフ達だ。


ザッ


「アオイさん」


俺の後ろに聞き知った声が掛かる。


少年勇者ユンとガインとミシェルの3人組だ。


「先程、迷宮が攻略されたと言う声が聞こえました。僕達も攻略している途中でしたが転移されて入口に飛ばされました。アオイさんは何かご存知ですか?」

「俺も攻略中に転移された口だ」


ここで正直に攻略したことを伝えても面倒なことになりそうだ。後ろのガインの不機嫌そうな顔が物語っている。


「そう、ですか・・・つまりアオイさんより強い誰かが攻略したって事ですか」

「という事になるな。別の勇者じゃねぇのか?」

「別のと言いますと?」

「拳の勇者、賢の勇者、癒しの勇者の誰かとかな」

「確かに僕は剣の勇者ですが、他の勇者が誕生したと聞いた覚えがありません」

「秘密裏なのかも知れないだろう」

「仮に他の勇者が誕生しているのであれば僕と合わせて一緒に戦う筈だと思いませんか?」

「勇者と言っても、全員が力を合わせてという考えが無いかもしれないだろう。それこそ人知れず動く勇者だっていると思うぜ?」

「確かに・・・では、国王様に照会してみます」

「そうか、じゃぁな」

「いえ、待ってください。まだ、話は終わっていません。アオイさんは僕たちのPTに入ってくれないんですか?」

「何故?」

「何故って、Aランクに推薦したのは僕達ですよ?」

「その事に関しては感謝している・・・だが、入る条件にはならないだろう?事実俺はAランクになれるだけの実力をギルドに示した。ギルドも実力が有ると判断し承認した。それだけだろ?」

「てめぇ!いい加減にしろ!!俺達の推薦がなければAランクにはなれなかったんだろう」

「Aランクにはいづれなっていただろう。それが早まっただけの話だ」

「黙って聞いていれば屁理屈をコネやがって!何様のつもりだあぁ!!」


ガインが俺の胸ぐらを掴もうと手を伸ばしてきた。


カッ


一瞬の閃光が俺とガインの間に発生し何かが割り込む。


「我がマスターを害なす者よ。我の壁を越えてから語れ」


身長210cmある5号機が意思を持ってインベントリから現れた。


「あ?なんだテメェは!?」

「我はマスターの守護者なり」

「だから、なんだってんだよ!」

「よせ」


ガインが怒声を発する。


「シールドバッシュ」


アダマンタイト製のタワーシールドが斜め上に振るわれる。


ガッイィイイイン


当然、5号機の目の前にいるガインの防具に接触しガイン毎吹き飛ばされる。


「グハッ」


ゴロゴロゴロ


「ガイン!?」


ユウが慌ててガインに駆け寄っていく。


「だから言っただろうに」


ウォオオオオオオオオオオオ


そこで、周囲で見ていたエルダードワーフ達が怒号のような歓声を上げた。


「さすが、ガンジ様の作品だな」


三代目エルダードワーフのギースが神官長サリアと工房長ゴーガンを引き連れてやってきた。


「ガンジ様の作品である自律型魔導人形があるという事であればたどり着いたんですね」

「ギリギリだったがな。あのレイピアがなかったら俺達はここに居ないしアンタ達は今も迷宮で暮らしていただろう」

「レイピア?」

「あ!族長・・・報告が遅くなりました。封印の間の中に「憤怒のダマスカスレイピア」というレイピアがあったんですが自律型魔導人形専用武器という事で持ち出されまして」

「アソコに入れたか・・・なるほど考えた」

「問題は無かったよな?」

「あぁ。これで無事に俺達の使命も果たしたような物だ」

「アンタ達はどうする?」


レベル65以上のエルダードワーフ達であるかなりの戦力が揃っていると言える。


「俺達は各地に分散して住処を探すとするさ。これだけの戦力を一箇所に集めておくのも無理だろう」

「だろうな。隠れ家を潰して悪かったな」

「構わないさ。この数百年あの人工太陽の下で暮らし続けたんだ。これでエルダードワーフの掟で縛り上げる物もねぇ。むしろ感謝すらしている。開放してくれて助かったぜ」

「例には及ばない」

「兄ちゃんはこれからどうするんじゃ」

「他のNALLシリーズを手に入れる為、エルフの聖域を探してみる」

「そうか・・・にしてもボロボロじゃな。」


リッチ戦でアダマンタイト製の防具は融解して防具として機能していない。


「ワシの作品がここ数日でボロボロとは、激しい戦いに持ち主をよくぞ守りきったな。職人冥利につきるわい」


ボロボロとなった俺の防具を撫でながら呟く。


「すまんな」

「なぁに、ここまで使い切ってくれりゃ職人として嬉しいことじゃわい。が、防具が必要なんじゃないか?」

「それもそうなんだ。サンの奴も防具のほとんどがダメになった」

「ドラゴンスケイル装備がダメになる相手ってなんじゃ?」

「レベル80のリッチだ。闇系統の魔法で俺達は防戦一方となった」

「レベル80か、それはまた」

「たしか、レッサードラゴンでワシ等の先祖達は撤退してなかったかの?族長」

「レベル70のレッサードラゴンと伝え聞く」

「空と飛ぶ相手にエルダードワーフ族は相性が悪かっただけだろ」


近接地上戦を得意とするエルダードワーフ族では空中戦は無理な話だろう。


「ハハハッ。頭が痛い話だな」

「装備がボロボロのまま旅を続けるのは駄目じゃろう。整えてやろうぞ」

「工房はどうするんだよ?」


あの都市にそういった設備が整っていたから作れたんだろ?


「なぁに、この都市には幾つか工房があると見た。少し借りればいいじゃろう」

「なら、行き着けの工房に案内する。ドワーフ族の店主だが」

「構わん。ワシ等エルダードワーフとドワーフ族が元は同じ種族から生まれたもんじゃ。地上のドワーフ、地下のエルダードワーフと済み分かれたに過ぎんよ」

「なら、案内しよう」


「待ってください」


俺とゴーガンがこの場から去ろうとした時にユンから声を掛けられた。


「アナタは一体何者ですか?」

「俺か?っつ!」


ズキッ


右手に一瞬の痛みと熱を感じた。


ガシャッ


右手のアダマンタイト製のペンディラムガントレットが地面に落ちた。


≪自律型魔導人形を2体以上取得に成功したので職業に糸の勇者が付きます≫


ヒィイン


久しぶりに脳内にアナウンスされる声を聞く。


薄っすらとオレンジ色の紋章が浮かび上がっていた。


「それは!?勇者の証である紋章じゃないですか!?」


ユンが目を見開いて驚く。


「やはり、我等が伝え聞く糸の勇者は君であったか」

「糸の勇者・・・たしか族長がそんな事を言っていたような・・・でもアレは」


ギースの言葉にミシェルが呟く。


「剣の勇者の紋章は剣の形をしているんです」


ユンが右手の甲に光る紋章を見せる。


俺の紋章は線が乱雑に入り組み規則性もなく何かの形としても認識できない。


「なら、俺は五番目の勇者、糸の勇者って事だ。じゃぁな剣の勇者」

「まって下さい!同じ勇者であれば協力を」

「攻略しちまったから言うのもなんだが、俺と協力体制を築きたいんなら迷宮の一つでも攻略してからだ。対等な者どうしは力の均衡っていうのも必要だろ?」

「アナタのレベルは」

「レベル75、カンストしたぞ」

「たった数日で僕達を越していったのですか・・・」

「雑魚敵としてロード系やキング系が出てくる道を通ったんだ、レベルも上がり放題だったよ。じゃあな」


こうして俺は5番目の勇者、糸の勇者として目覚めたようだ。

ゴードンを連れてオーガストの店を訪れてその場にある最高の装備を俺とサンに送られた。

また、迷宮攻略という偉業を成し遂げたとしてAランクからSランクへと昇格。

更にハーフエルフのアミラに掛かっていた呪いが解けた事によって母親を通じてエルフの里へと招待を受けた。

残念な事に迷宮が無くなったとなれば鍛冶都市「ウィーリア」は近々衰退するであろう事が予想されドワーフ族も各地に散らばる事を決意する。

都市としての機能が損なわれたわけじゃない為に残り続けるのだろうが、鉱石が出てこないなら鍛冶職は終わりを告げられたものだそうだ。


数日中にエルダードワーフとドワーフの職人や武人達が数十グループに分かれて旅立っていった。


「さて、私達も行きましょうか」

「そうだな」


ハーフエルフのアミラとその母と共にエルフの里を目指す。

お疲れ様でした。

第二章はこれにて終了です。

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