39話「鍛冶都市:ウィーリア」
「どうぉりゃぁ」
ブゥン
ガンドルフが戦斧を振り回し近づくローウルフに攻撃する。
タッタッ
「えぇい、ちょこまかと!」
ウルフの俊敏力にガンドルフの攻撃が避けられる。
ガンドルフの一撃は当たれば大きいダメージを見込めるが当たらなければ意味が無い。
「糸拘束術一式」
ヒュンッ
グルグルグル
「今だ」
「任された!一斧両断」
糸拘束術でローウルフの行動範囲を制限する事によってガンドルフの攻撃が生きる。
ザンッ
ギャウゥウン
身動きが取れない所をガンドルフの戦斧がローウルフを両断する。
「毛皮は使い物にならないか」
背中から上半身と下半身と両断されてウルフの毛皮は価値を失った。
「クエストでもないから気にしてられんよ」
この世界は現実だ。幾ら体力が高かろうが急所を狙われれば一撃死は免れない。
故に魔物との戦いに遠慮なんかしていられない。クエストで毛皮を取りに来たのなら話は変ってくるが移動中なら仕方がない。
「行くか」
「うむ」
ブンッ
ガンドルフが斧を一振りして武器についた血糊を吹き飛ばす。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「次の街は、まだかのぉ」
「歩いて3日掛かるんだ。1日で着く訳ないだろう」
俺の駿馬なら1日で着く距離だが、ガンドルフを乗せて行くのは無理だ。
「これでも飲んで我慢しろ」
ヒュッ
パシッ
「酒か!」
「それ一本しか無いからチマチマ飲んでろ」
「異空間持ちは便利じゃのう」
「それと、このスキルを持っている事は黙っていろよ」
「承知じゃ、主の性格からして縛られるのは嫌なんじゃろう?」
「あぁ。コレを持っていると縛られるのか?」
「前にも言ったが異空間持ちは物を運ぶのに便利なスキルじゃ。国が黙っておらんよ。ッカー、火酒を選ぶとは分かっておる」
ガンドルフがアルコール度数の強い火酒を飲み喜ぶ。
ドワーフが酒を欲するのは予想していたから前もって買っておいただけだ。地球の知識が合っていて助かった。
「国が縛ってくるのか?」
「うむ。一人分の運搬だけで、馬車数台分の物資が運べるのじゃからな。戦争時なんかで利用されるのじゃ。行動制限がある代わりに待遇は良いと聞いておる」
「国に1人以上は囲っているって事か?」
「能力によって数人から数十人って所じゃろうな」
「異空間のレベルか?」
「そういう事じゃ。主のレベルは幾つじゃ?」
「そこまで教えてやる義理はねぇよ」
「それが良いじゃろう。レベル1でも馬車二台分の容量といわれておる」
「馬車の容量が世界で統一されているのか?」
「馬で牽ける重量が馬車一台分とされている」
「馬の能力次第だろう」
俺の駿馬の馬力を考えてたら馬車1台分がこの世界だと3台分に匹敵しそうだな。
「一般的な馬と聞く」
「平均化した容量って事か・・・」
俺のは重量じゃなくて、個数制限のインベントリだからな・・・。
異空間スキルは重量制限型で馬車○○分の物資を入れるスキル。
インベントリスキル(Lv7)は個数制限型で1種類を99個までストック可能の70種類を格納可能のスキルだ。
ドチラが優秀かは運用次第だな。
インベントリは個人に向けたスキルが強い。異空間は多人数に対応したスキルの様だ。
俺とランドルフは途中で寄った街で日銭を稼ぎながら情報を収集しつつ目的地へと進む。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ガヤガヤガヤ
「ようやっと、着いたの」
「あぁ」
3ヶ月の移動を要して俺達は鍛冶都市「ウィーリア」へと到達を果たした。
その間、俺は冒険者ランクはC-に上がりレベルも30へと到達した。
【ステータス】
名前:アオイ
種族:ヒューマン
レベル:30
職業①:傀儡師(Lv12)
職業②:裁縫師(Lv7)
職業③:薬剤師(Lv2)
職業④:木工師(Lv2)
体力:7,395/7,395
魔力:5,649/5,649
攻撃力:1,241(+14)
防御力:1,144(+33)
状態:健康
ランク:C-
レベル30で冒険者ランクC-に到達する事は難しいとされている。
だが、下級職『糸使い』や上級職『人形使い』よりも最上級職『傀儡師』では成長率が全然違う。
【鑑定】
名前:ヤンマオ
レベル:57
種族:ヒューマン
職業①:拳闘士(Lv42)
体力:2,710/2,710
魔力:826/826
レベルは20以上離れている拳闘士であるヤンマオのステータスと見比べても分かる通り、前衛職よりも多い体力・魔力。
【鑑定】
名前:リンネ
レベル:53
種族:ヒューマン
職業①:司祭(Lv43)
体力:1,880/1,880
魔力:2,146/2,146
司祭であるリンネでも同じ後衛職としても魔力は軽く上回っている。
今までのステータスが蓄積して既に人の域を超えている事に驚きだ。
「さて、何処の鍛冶屋に行くべきかの?」
俺が思いふけっている内に広場まで到達した。
「今日の宿を決めてからで良いだろう」
「それも、そうじゃな」
安宿を直ぐに決めて寝る場所を確保する。
「ワシは何時もの所に寄らせてもらうワイ」
「情報収集は忘れずにな」
「分かっておるワイ」
ガンドルフはいつも通り酒場へと向かった。
俺はギルドへと向かう。
『剣の国マリスから態々来たんですか?』
「ここでは無いと駄目と聞いたからな。ここは鍛冶都市で合っているんだよな?」
ギルド嬢から此処について手っ取り早く聞く為に立ち寄った。
『癒の国ネリスにある鍛冶都市ウィーリアの冒険者ギルドで間違いありません』
「なら、この街一番の鍛冶師は誰だ?」
シィンッ
見慣れぬ俺を盗み見ていた周囲の冒険者達が一斉に静まり返る。
ワハッハハハハハハ!
そして大爆笑に変化した。
『よぉ、坊主。その質問はしちゃならんぜ』
『そうだ、そうだ。この鍛冶都市ではタブーだぜ』
『聞くってのも野暮な話だぜ。一番は誰かって?』
『知らないで来る方がどうかしているぜ!』
『違いねぇ。この都市について周辺の街で聞いているならソレ位常識よ』
「此処についての"噂"は幾つも聞いてきた。噂ばかり馬鹿正直に信用してちゃ冒険者失格だと思うぜ。だから信用ある此処に真意を聞きに来たんだがな?」
シィンッ
再び周囲が静まり返る。
『ぷっ!ガハハハハハッ』
『坊主、お前に乾杯だ!』
『お前さんの言うとおり信用できねぇ"噂"に振り回されちゃ冒険者はやってらんねぇな』
『一本取られたな。こりゃ』
『そんなお前に答えをやろう』
『『『『オーガスト!この都市一の鍛冶師だ』』』』
冒険者達が声を揃えて鍛冶師の名前を挙げる。
『だが、オーガストは気難しいドワーフの鍛冶師だ』
『名のある冒険者でも気にいらねぇ奴には何も作らないぜ』
『ここに来る輩の大半はオーガストに蹴られた連中が集まってる』
『そういう俺達もその一部分なんだがな!』
『しかし、坊主。オーガストに蹴られても他に一杯腕の良い職人は居る。諦めるかどうかはお前さん次第だが悪くは思わないでくれよ』
「情報助かった。コレで一杯飲んでくれ」
ピィン
俺は銀貨を近くの冒険者に弾き飛ばす。
パシッ
『悪いな坊主』
『これで貸し借りなしだな』
『若いのに分かってやがるぜ』
『オーガストの爺に蹴られても戻って来いよ!』
『俺たちが慰めてやるからな』
赤ら顔の冒険者達に見送られてギルドを出て行く。
ここの冒険者達は気前が良いようだ。
土地柄によっては冒険者がそこ等のゴロツキと変らない街を何度か見かけた。
道行く人に鍛冶師オーガストが居る場所を聞き目的地へと向かった。
「来ると思っておったの」
目的地であろう建物の出入り口前にはガンドルフが立っていた。
「そっちも目的地が被ったのか」
「まぁの。既に中に入って事情は話しておる・・・」
「手間が省けたな」
「じゃが、ワシの言う事が何処まで通ったかは分からん」
「そうなのか?」
「お前さんが、居ないから信憑性があまり無いからの」
「そりゃそうだな」
「明日の昼にもう一度顔を出すと伝えておる。今日は入らないほうが良い」
「分かった。場所が分かっただけでもいいか」
俺は入る事はせず、大人しく来た道を引き返す。
ガンドルフは再び酒場に向かう様だ。
ドワーフの聖地についてようやく分かる時が来た様だ。
・・・
翌日、約束の時間となり俺とガンドルフは再びオーガストの鍛冶屋へとやって来た。
ゴゴゴゴゴゴッ
鋼鉄製の観音開きの扉を押し開く。
「見かけに寄らず力持ちじゃな」
鋼鉄製の扉は一般人が開くにはかなり重い代物らしく、ガンドルフと同じ速度で俺が開いた事に少々驚いていた。
素の攻撃力1,241が腕力として現れているのだろう。
俺には重いとも感じなかった。
ムワッ
中に入ると急激に温度が上がった。
カァンカァンカァン
更に奥の方から金属を叩く音が聞こえてくる。
『いらっしゃ・・・あ、ガンドルフさん』
カウンターにはツナギを着た少女が立っていた。
ガンドルフと知り合いか?
「昨日、話した人物を連れてきたのじゃ」
『じゃあ、この人が?』
少女は俺を見上げて、右手のに視線を移した。
『初めまして、私はオーガストの孫でニーナといいます』
「アオイだ」
ペコリとオーガストの孫を名乗るニーナが頭を下げる。
俺も名前を言って頭を下げる。
「今、お爺ちゃんとお父さんが仕事をしているので会うのはもう暫く後になるよ?」
「そうなのか?」
「一度打ち始めちまったら途中で止められないからのぉ。終わるまで待つしかないの。ワシの親父も同じで昼飯時になっても止めなかったわい」
「そうか・・・見学してもいいのか?」
「お爺ちゃんとお父さんが打っている時は誰も入れるなって」
「そうか・・・ここにある武器や防具は?」
「殆どお爺ちゃんの作品、お父さんのは少しだけ」
「そうか」
・ミスリルの短剣
・ミスリルの長剣
・ミスリルの直剣
・ミスリルの槍
・ミスリルの戦斧
・ミスリルのメイス
・ミスリルの杭
・ミスリルの大盾
・ミスリルのプレスプレート
・ミスリルのレギンス
・ミスリルのアームガード
・ミスリルのフォールド
・ミスリルの大剣
「ミスリルはここで掘れるのか?」
「家はミスリル専門の鍛冶師だよ。他は鉄とか鋼鉄とかが大半なんだ。魔法銀自体が少ないから腕のいい鍛冶師に任されるの」
「杭なんて誰が使うんだ?」
「それは対吸血鬼武器だって、心臓に打ち込む武器だとか」
「吸血鬼なんているのか?」
「存在はしているけど、魔素の濃い場所でしか生きられないから深い森の奥の方に行かないと出会えないよ」
「そうなのか」
・ミスリルの杭
ミスリルで作られた杭。
魔力消費を半分に抑えられる。
耐久値:450/450
ランク:マジック
品質:3
なんとなく見てみたがミスリル製は殆どが魔力消費量半分にする性能を持ち合わせたマジックアイテムの様だ。
「ミスリルの糸は作らないのか?」
「糸?何に使うの?」
「コレ用の糸を作り出して欲しい」
カチッ
シュルッ
鋼鉄のワイヤーアンカーからアイアンタラテクトの糸を取り出す。
「アイアンタラテクトの糸」
さすがドワーフか、見ただけで素材が何なのか分かるようだ。
「そろそろ、交換時期だったからな。出来ないか?」
「相談してみないと」
ギィイ
「ニーナ、客人か?」
今まで響いていた金属を打つ音が止み、奥からガンダルフの風貌をしたドワーフが出てきた。
「ガンダルフ?」
「ワシはオーガストじゃ。失礼な小僧じゃな」
「仕事は終わったようじゃな」
横からガンドルフが話しかけてくる。
「ガンダルフの倅か。お前さんが居るという事はこの小僧が例の?」
「うむ。親父の作品を使いこなしておる」
ガンドルフは俺の右腕を持ち上げて言う。
「確かにこの紋章はガンダルフの物。奴の腕は訛っていないようじゃな。しかし使い方が荒いのぉ」
オーガストは俺のワイヤーアンカーの様子を見て呟く。
「お爺ちゃん、この人がミスリルの糸は作れないのかって?」
「糸?ミスリル製であんな細い物が作れるかい」
「作れないのか?」
「耐久値が無くて使い物にならんじゃろ?」
「そうなのか・・・」
「糸なら、エルフの里に向かうと良い。アヤツ等はいけ好かないが魔法に対する補助が得意な連中じゃ。同じミスリルでも違うものが作れる」
「ドワーフとエルフじゃ違うのか?」
「住む場所も違えば、作り出すものも違うのじゃ。ワシのミスリル製はあくまでも斬・打・防が出来る代物じゃ。が、アヤツ等の作り出す物は魔法に関する道具を作り出す」
「なるほど。話が変わるがドワーフの聖地についてガンダルフからここに来れば分かると聞いてやってきたんだが」
「小僧を見れば伝承通りの糸使いなのは分かった。が、ワシがおいソレという訳ないじゃろ」
「む」
「ワシ等ドワーフの宝が眠る場所じゃ。行くにしても資格が必要じゃ」
資格と来たか。
「ヒントをやろう。一人でココに辿り着けぃ」
コンコンッ
オーガストは壁に張ってあった迷路の様な図形が描かれた羊皮紙を叩く。
「お爺ちゃん、それは」
「この図形は?」
「この鍛冶都市を支えている鉱山迷宮地下1階の地図じゃ」
「鉱山迷宮?」
「なんじゃ、噂くらい聞いておろう。何故、ここが発展したのか」
「鉱山迷宮が出現したからじゃな。無限とも言える鉱石が発掘し続けているという噂じゃが。本当だったとは」
ガンドルフ髭を撫でながら呟く。
確かに鍛冶都市が発展できた理由は迷宮がある為と聞いていたが本気にはしていなかった。
「魔法金属の出現ポイントは地下18階層じゃ。ランクB~Aの冒険者が希に発掘してくるのをワシの店がギルドを通して買い取っておる」
「鉱山迷宮は全てが鉱山という訳か?」
「伝承には地下50階層を過ぎれば鉱石はまったく出ないと伝わっておる」
「その先は?」
「『知りたければ己の足で知れ』とガンジ様は遺した。以来、ワシ等ドワーフも聖地にも入れぬ聖域となったの」
「・・・つまり、聖地は迷宮の最奥という事か?」
「その通りじゃな」
「途中までの階層に転移する装置とかはあるのか?」
「ある訳ないじゃろう。じゃからここ数百年は誰も攻略できんのよ。持っていける物が限られておるし、出てくる魔物は死んだら魔石を残して迷宮に吸収されちまうんだからよぉ」
「食料事情・・・か」
「その点は問題無さそうじゃの」
「どういう事じゃ?」
「おい」
「秘密じゃったな」
ガンドルフが気まずそうにする。
「深くは詮索せんが、迷宮攻略は個人的には勧めはせん。言い伝え通りにワシは糸使いに情報を提供しているだけなのじゃからな」
「迷宮の最深部、そこにドワーフの聖地がある事は確実なんだな?」
「そこに偽りはないわい。ドワーフという種族の発祥地が此処じゃしな」
「分かった。杭は幾らになるんだ?」
「唐突に話を変えたのぉ。こいつの値段は金貨3枚って所じゃな」
「余裕で足りんな」
「ここに来るまでの路銀で殆ど飛びおったからな」
「まずは資金集めからだな」
「うむ」
「ガンドルフ、お前は此処に残るんじゃ」
「何故じゃ!?」
「ガンダルフの息子の腕、見させて貰うからのぉ」
「ワシは戦士で鍛冶師じゃないわい!」
「ワシの目は誤魔化せん。シッカリと鍛冶のスキルを持っておるではないか!」
ズルズルズル
ガンドルフはオーガストに引きずられて奥の工房へと連れて行かれた。
再び、店内が静まり返る。
「じゃ、俺は一旦出直す」
「はい、何時でもまっているよ。お爺ちゃんに何か注文したい事とかある?」
「値段はそのままで構わないが、この杭をもっと鋭く貫通力のある奴に変えて欲しいとだけ」
「分かったよ。ちゃんと伝えますね」
「頼んだぞ」
ガランガランッ
一旦オーガストの店を出て資金調達に向かう。
「ん?」
オーガストの店を出ると複数の視線を感じるが気にしないでおこう。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
それから1週間後、ギルドを通して鉱山迷宮のクエストをクリアして金貨3枚まで貯めた。
基本的には鉱石の採取でクエストは埋まっている。
銅や鉄の鉱石が大量に必要だそうで常設クエストになっている程だ。
鉱石を得るには迷宮の壁にピッケルで掘ると出てくる。
もちろん鉱脈をピンポイントで見つけなければならない。
更に鉱脈はすぐに枯渇して別のポイントと入れ替わるらしくランダム性だ。
銅鉱石や鉄鉱石の単価は低く高品質の鉄鉱石だったとしても銅50枚との取引額だ。
大抵の冒険者は採掘をして日々を過ごしている。迷宮攻略に動いているのはB~Aランク冒険者の一部の冒険者しかいないらしい。
で、俺の場合どうして金貨に達したのかと言うとインベントリと鑑定の乱用で大量に採掘ポイント発見し乱獲しまくった結果である。
数に物を言わせて一回の査定時には500個~700個の銅鉱石やら鉄鉱石をギルドに卸してやった。
ついでに地下1階層に出てくるモンスターの魔石も売っていた。
『採掘王だ』
『また、大量に持ってきたんだろうな』
『くそっ、なんで奴は採掘ポイントを見つけるのが上手いんだ』
1週間で金貨3枚も稼いだ流れの冒険者として俺は多い目立った。
知らぬ間に二つ名も付けられてしまった。
ステータスにもサブ職業として採掘師がいつの間にか加わっていた程だった。
ゴゴゴゴゴゴッ
鋼鉄の両扉を押し開き俺はオーガストの店へとやってくる。
「おや?」
カウンターにはオーガストの孫娘の姿はおらずオーガスト似のドワーフが立っていた。
『いらっしゃい。話は聞いているぜ』
声色からしてオーガストでも無いドワーフだ。
「オーガストの?」
『息子のラウリィってんだ』
「ニーナの?」
「父親だな」
「なぜ?」
「俺の役目をガンドルフがやっているから俺が代わりに店番って訳だな」
「あれから、ずっとなのか?」
「鍛えがいがあるってんでズッと槌を振るっているぜ。娘はその見学だな」
「そうか、杭を買いに着たんだが」
「親父が注文どおりに手直ししてくれたぜ。これで問題ないか?」
1週間前に見たミスリルの杭がカウンターに出てくる。
・ミスリルの尖杭
ミスリルで作られた貫通力重視の杭。
魔力消費を半分に抑えられる。
貫通力強化(中)
攻撃力:10
耐久値:300/300
ランク:マジック
品質:3
「攻撃力と耐久値が落ちた代わりに貫通力が上がっているらしいぜ」
「これで良いな。太さもちょうどいい」
直径10cm程だった太さも5cm程になり、鋭さが増している杭だ。
「それをどうするんだ?本来なら対吸血鬼用の武器だと聞いたんだが」
「コレをここに装着するんだ」
シュルルルッ
尖杭に鋼鉄のワイヤーアンカーの糸でグルグルに巻く。
・鋼鉄のワイヤーアンカー(尖杭)
【アイアンタラテクト】から糸が作られている
【ミスリルの尖杭】にて攻撃力が上がり貫通する杭が装着された。
重量感ある鋼鉄製のガントレット型糸使い専用武器。
糸は1本まで操作可能である。
攻撃力:24
防御力:10
移動速度-10%
耐久値:200/200
装備可能職業:糸使い
ランク:クリエイト
品質:2
ガチンッ
糸が収まり杭が固定される。
「接近されればコレで突き刺し、離れた相手ならばコレで射抜く」
バシュッ
ビィイイン
ピタッ
尖杭を糸ごと発射し、1m先まで伸びたら魔力で強制的にその場に留める。
そうしなければ店の壁に穴を開けることになるからだ。
「糸使いってのはそんな事が出来るのか・・・」
「これで攻略しに行く」
「参考になった。お前さんは直ぐにでも行くのか?」
「あぁ。代金はこれで足りるよな?」
「もちろんだ。きっかり金貨3枚受け取ったぜ」
「ガンドルフはどうなるんだ?」
「気になるのか?」
「短い間とはいえ旅の仲間だからな、挨拶位しておこうと思っただけだ」
「ここに暫くは縛り付けだろうよ。お前さんは戻ってこないつもりなら呼ぶが」
「1回は戻ってくる」
「今生の別れでもあるめぇし」
「助かったとだけ伝えてくれ」
「分かった」
「じゃぁな」
「期待して待っておるぞ」
お疲れ様でした。




