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18話「ファスト-師弟関係③」

「二連閃!」


ザシュザシュッ


ギャギャっ


メインターゲットを決めて防御しながらドッチが攻撃を加える。


ギャウゥ


「二連脚!」


キャウウ


ギャギャッ!


「糸拘束術一式!」


ラカンが2匹目と3匹目の牽制とサポートで攻撃をしにくくする。


「回復します!ヒール」


最後にヘイトを考えながらヤハンが回復魔法でドッチを癒す。


これが3人の考えた連携である。


「回転斬り!!」


ギャァアアア


サァアアア


「きゃぅ!」

「掛かって来い!」


ギャギャッ


挑発スキルで常にドッチに敵意を向けさせるが、攻撃がラカンへ向かってしまうのは仕方がない。


ギャアアアアア


1回の戦闘に10分程掛けて3匹のゴブリンを倒す。


「やっぱり、前衛一人だとキツイなぁ」

「ワイの防御力が紙さかい、ダメージ量が高いでホンマ」

「少しでも連携が崩れるとすぐに倒されそうでヒヤヒヤしますね」


3人が集まって戦闘について話し合う。


「やはり僕も戦闘に加わったほうが」


回復職のヤハンも戦闘に加われば手数では3対3になってバランスが取れる。


「いや、回復職のヤハンまで前衛に出てこられたら困る」

「そやそや。このPTの生命線はヤハンやで」

「ですが、どうすれば良いのですか?」

「ゴウキ師範は俺にこういった事があるぜ。フィールドを活かせと」

「フィールドを活かすってなんや?」

「さぁ?」

「フィールド・・・つまり森であるココの事を指すのでしょうね」

「森かぁ」


3人で周囲を見る。

森故に木々が等間隔に生えており視界の殆どが木が見える。遠くを見ようと思っても木が邪魔をしてそこまで範囲が広くはならない。


「木・・・か」

「何か妙案があります?」

「木をもっと使こうたらえぇんちゃう?」

「木を使うって具体的には?」

「木を盾にするんや。ワイ等だって木を意識しながら攻撃するやろ?向こうだって木を意識して立ち配置をズラしながら攻撃してくるんや」

「確かに、左右のどちらかに木を中心に戦えば1匹の攻撃は通りにくいですね」

「とりあえず、実践するか」


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・



ギャアアアアア


「「「イエェーイ」」」


パァン


3人の考え出した作戦は見事的中しバランスのとれた戦闘を実現させた。


「この調子でドンドン行くで」

「「おう/はい」」


3人は戦闘に慣れ始め次々とゴブリン達を倒していきレベルを上げていく。


「次のエリアに行くぞ」


ゴウキの指示にて森の奥へとステージを変える。


グルルルゥ


ファースト森の奥にはコボルト達が出てくる。


ガァン


「くっ!」

「糸拘束術一式や!」

「ヒール」


危ない所もあるが3人の連携もスムーズになり始めた互が何をしようとしているのか分かってきているようだ。


「レベル9到達やで」

「長かったな」

「ですねぇ」


パンパン!


ゴウキが手を叩き弟子たちの視線を集める。


「とりあえず、今日はここまでだ街に戻ったら装備の耐久値を戻すのを忘れずにな」

「明日はエリアボスに挑戦ですよ。クリアできれば私達との師弟関係もこれまでとなり一人前のプレイヤーとなれるでしょう」

「頑張れよ」


「「「はい!」」」


明日はエリアボス戦である。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


「はぁあああ!」

「糸拘束術一式!」


グルァ


「ごめん!回り込んで来たで!!」

「一撃くらい耐えてみせます。うぐっ!!」

「くそっ!二連閃!!」


ワォオン!


「二連脚!コンビネーションが崩れたで!!後退や!!」


ドドッ


ヤハンを助けようとドッチが目の前のターゲットを無視して別のコボルトにスキルを使うが、その隙をついて攻撃してこようとした所をラカンが牽制をする。


ラカンの声に一旦退いて体制を整える。


「体力回復ポーションや、使い!」

「はい!」


緊急時の体力回復ポーションを飲んでヤハンは体力の回復を促す。


「ドッチは目の前の敵に集中しぃ!」

「おうよ!」

「フォーメンションを立て直すんや」


少し後退して木を盾にした戦い方に戻り始める。


「シッ!」


ドゴッ


ピヨピヨ!


「気絶入ったで!トドメさしぃな!」


「二連閃!!」


キャウウゥン

シュォオオオオ


コボルトが倒れ霧散する。


「ドンドン行くで!」

「「おう!/はい!」」


3人はコボルトとの戦闘を続けながらウッドゴーレムが居るフィールドを目指す。


「「「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ」」」


2時間程戦闘を続けながら森を突き進み、ようやくエリアボス、ウッドゴーレムに続くゲート前へとやってきた。


3人はヘトヘトといった感じで座り込み息を整えている。


「ここまでよく頑張った。あと一戦に勝てば一人前としてゲームを続けられるだろう」

「ここは安全地帯なので気を貼らなくてもいいですよ。各々の準備が出来次第挑戦してもらいます」

「ゼェハァ、ゼェハァ。師匠達も参戦してくれるぅ話やったなぁ?ハァハァ」

「あぁ」

「ワイ等は師匠達の指示に従えばえぇん?」

「このまま、3人で続けてもらいます。私達は別PTとして動きますよ」


ソニーが杖で大きな丸を描き、離れた所に2つ小さな丸描く。


「3人のPTで1PT、それを2PT合同で攻略すると考えてください」

「つまり、師匠達とは違う場所で戦うんやな?」

「その通りだ。だが、俺達はあくまでもサブに過ぎない。頼ってはダメだからな?」

「あぁ。このゲームは少しの油断でゲームオーバーとなり現実世界へ戻っていく。俺達がクリアしない限り払い続けるという負債を背負ってな」

「それはアカンわ」

「俺は早くクリアしてこんなくだらないゲームを終わらせたいんだ」

「はい。私も同じ気持ちです!」


3人は強くそう主張する。


「その意気だ!」

「えぇ」

「そうだな。早く終わらせようぜ」


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


「準備万端さかい!行くで!!」

「「おう!/はい!」」


俺達6人はウッドゴーレムの元へ向かう。


ウボォオオオ


葉の生えていない巨木が1本鎮座している。


「あれがウッドゴーレムですよ」


久しぶりに見たが木のようにしか見えないがモンスターだ。


「動きはコボルトやゴブリンよりノロマだが、一撃は重くて後衛組の装備じゃ一撃死だから気をつけてくれ。絶対に前に出るな」

「目が赤く光ったら怒り状態で3回連続攻撃してきます。タイミングを見計らって後退してください。前衛でも大ダメージですよ!」


戦闘に入る前にゴウキから相手の情報を展開される。


「さぁ!行くぞ!!」


ゴウキの気合の入った掛け声で俺達は動き始める。


弟子組と師匠組で2手に別れる。


「初撃はワイと言いたいが!」

「俺だな!!」


ラカンではなくドッチが先制攻撃をウッドゴーレムに放つ。


ギギギギギッ


攻撃を受けてウッドゴーレムが立ち上がる。


「セリャァアア!」


更にドッチが通常攻撃で追撃を行う。


ギギギッ


枝だと思っていた部分が変化して太い丸太が腕として機能しドッチに振り下ろした。


ドスゥウウン


「あっぶなぁ!」


間一髪でドッチが後退してよける。


「背中が!ガラ空きだぜ!!」


ザシュッ


ゴウキはウッドゴーレムの背中に通常攻撃を入れる。


ギギギギッ


「おら!今のうちだ!!」


「二連閃!」

「二連脚!!」


ゴウキの一撃がドッチのヘイトを上回り、ゴウキにターゲットを写し体を回し始める。

その隙を突いてドッチとラカンが攻撃をする。


「あまり、手伝い過ぎないようにして下さいよ」

「訓練にならんだろ」


ゴウキの攻撃は弟子達にとって甘やかすようなものであると判断し俺とソニーは咎める。


「いいだろ?ここまで体が訛っていたんだからよ」


ガィインガィィン


ゴウキがウッドゴーレムの太い丸太のような腕を剣だけで受けきって防御している。

レベル30台の前衛にもなるとウッドゴーレムの攻撃は軽い物なのだろう。


「うらぁあああ」

「そいや!!」


ギギギギッ


流石に連続攻撃をされてウッドゴーレムのターゲットがドッチに戻る。


「掛かって来いや!」


パァン


更に挑発で自分にターゲットが外れないようにする。


ヒュンッ


カンッ


「あんま、効いているとは思えへんなぁ」

「それでも、攻撃し続けろ!」

「わかってるでホンマ!二連脚」


グォッ


「後退!」

「わぉ」


ドスゥン


振り下ろしにラカンとドッチが後ろに後退して避ける。


「っぶなぁ!」

「気をつけてくださいよ。ラカンさんは後衛職なんですから。一撃でも当たったら瀕死じゃ済まないですよ」

「気をつけるさかい。前は頼んだで」

「おうよ!」


ヤハンの言葉で前に出すぎていたラカンが後ろへと下がっていく。


「二連閃!っかってぇ」

「やはり、防御力は他とは段違いですね」

「ワイの攻撃力なんか雀の涙やん」

「やっぱり3人だと火力問題がありますね」

「時間が掛かろうが俺達で倒さねぇと師匠達に申し訳ねぇだろ!」

「そやな!」

「ですね!!」


戦いながらも3人は心をおられることなく長い戦いが始まった。


「おかしいですね」

「あぁ」


ソニーの疑問に俺が同意する。


「おいおい、何がだ?」

「動きが早くなっている気がする」

「ウッドゴーレムの動きじゃないですよ」

「AIか!?」

「3人の動きにウッドゴーレムが学んでるんです」

「ゲームには無かった奴か」

「嫌な予感がする。俺はすぐに動けるように待機する」

「私も3人の治療が出来る位置に移動します」

「じゃ、俺が割り込んで防御できるように近づくぜ」


3人が各々動き出す。


キュピィン


「怒りモードだ!」

「避けるで・・・え?」

「そんな!?」


ウッドゴーレムの両目が光ったと思ったら自らの巨体を3人目掛けて倒してきた。

3連続攻撃が来ると思っていた3人は一瞬動きが鈍る。


「引き寄せ!」


シュルルッ

グンッ!!


3人をワイヤーで巻きつけ、手前に引き寄せる。


「うりゃぁあああ」


チッ


前に割りこんで防御に徹したゴウキだが、ウッドゴーレムの上部分が3人に擦る。


グンッ


3人の体力が一気に削り取られた。


「グレーターヒール!!」


ソニーが3人に中位回復魔法で瞬間的に癒す。


「うあぁ」

「うぁ」

「ひぃ」


どうにか助け出せたが、ウッドゴーレムの一撃にしては高威力を誇った。


「ハイヒール!」


防御した筈のゴウキの体力2割も持っていったのがいい証拠である。


「師匠ぅ」


ラカンが両目に涙を浮かべながら俺を見た。


「悪かったな。俺達も予想外の動きだった」

「まさか、攻撃手段すら変えてくるなんて私達の落ち度ですね」

「おぅ!お前ら無事か!!」


ゴウキがウッドゴーレムの攻撃を躱しながら俺達に声を掛けてくる。


「師匠、俺ぇ。俺ぇ」

「そんな、気弱な声を出すんじゃねぇよ!男だろうが!!」

「う、うん!」

「先生、僕が回復しなくちゃならなかっのに」

「仕方がありません。予想外の攻撃でしたらからね」

「師匠ぅ~」

「泣くな!戦闘中だろうが」

「テメェら。いい加減戦闘に戻りやがれ!!」


ゴウキの一喝でラカン達は先ほどの恐怖を越えられぬまま戦線へと向かう。


「ヘイトはどう切り替えるんだ?」

「ドッチ、連続挑発して元に戻せ!ソニーにタゲが行かないように俺が挑発を連発しちまったから上回るようにしろ」

「は、はい!」

「3人とも、怒り状態になったら俺がさっきみたく引き寄せるから安心して前を見ろ」

「回復は私がいるので安心してください!」

「「「はい!」」」

「おぅし、その意気だ。前衛なら俺がいるからな。瓦解するようなら俺達が押さえ込む!後ろは任せろ」

「掛かって来い!」


ドッチが数度挑発を繰り返して戦闘状況を元に戻す。

俺たちの介入によりウッドゴーレムのAIがどう判断すれば良いのか計算をし始める。


「俺達の存在がウッドゴーレムの動きに変化を与えている。今のうちだ」

「動きが鈍くなっているのが良い証拠です」

「やっちまいな!!」

「「「はい!」」」


3人は各々の役割を全うしウッドゴーレムを徐々に圧倒し始めた。


「糸拘束術二式!」


時折、ラカンの間に合わないタイミングで俺が介入。


「ヒール」


ソニーがヤハンの代わりに回復を担ったりしている。


「しゃぁ!」


ドッチの防御が間に合わなければゴウキが間に入り防御する。

そうする事によってウッドゴーレムのAIに迷いを生じさせる。


「二連閃!!」


ギギギギギギギィ


ドスゥウウン


遂にウッドゴーレムは鈍い音を発して地面に倒れ伏した。


ガシャァアアン


≪エリアボス:ウッドゴーレムの討伐に成功しました≫

≪アオイはウッドゴーレムからウッデンコアを手に入れました≫


おっ!


レアドロップが入ったようだ。


「レベルアップしたで!」

「俺もだ」

「俺もです」


≪ラカンがアオイの弟子を卒業しました≫


ラカンのレベルが10となり俺から卒業した。


「師匠、いままで有難うございました」

「師範、ありがとうございました!」

「先生、いままで有難うございました」


各々が頭を下げ始める。


「おいおい、旅は終わってねぇぜ」

「セカンドの街へ行くまでが私達の任務です」

「レベル差があるから、一旦PTを分断するぞ」


師匠組と元弟子組の3人PTで編成し直してセカンドの街へと向かう。


アオォオオン


セカンドへ続く道にはグレーウルフ達が出迎える。


「前は任せやがれ」

「そうだな」

「やれやれ、あまり動けなかったからと言って暴れないでくださいよ」


ゴウキと俺が向かってくるグレーウルフ達を軒並み倒しながら進む。


あっという間にセカンドへ到着し3人は転移ポイントの活性化をする。


「こんな事、意味あるんかいな?」

「だな」

「復活ポイントや転移ポイントだった時はわかります」

「転移は出来る事は確かだ」

「あぁ。やっておいて損はないだろう」

「私達は転移できないだけであって、転移できる日は必ずやってきますよ」

「さて、これで。お前たちは晴れて俺達から卒業し一人前の冒険者になった。ここからはお前たちの自由だ」

「戦闘しレベルを上げるのも良いです」

「生産職となってプレイヤーをサポートするのも良いだろう」

「ここでお別れだ。俺達はフィフスを目指す」

「数日間とは言えよく耐えましたね。楽しかったですよ」

「糸使いとして全然教えられなかったが、何時でも相談には乗るぞ」

「「「はい。有難うございました!!」」」

「しみったれた話は以上だ。解散するぜ!」

「あとは自分の意思で行動しなさい。私達は止める権利はないのですから」

「またな」


俺達は3人に踵を返して広場を後にする。


「で、お前らはどうする?」

「一旦フォースの街を目指しますね」

「俺はサードの街に戻る。やり残しがあったことを思い出した」

「おいおい、やり残しってなんだよ?」

「大した事はない、インベントリ拡張クエストがまだだったんだよ。アンタ等の腰のポーチがそうなんだろ?」


サードプレイヤーの殆どが腰にポーチをつけていた事は知っていた。まさかインベントリ拡張アイテムだったなんて最近知った位だ。


「そういやしていなかったのを全然気付かなかったぜ」

「いやはや、天下の糸使い様は天然でおられるようだ」

「うっせぇ」

「旅は道連れ」

「世は情けですね。私達も付き合いましょう」

「いいのか?」

「道中、急いでいませんよ」

「寄り道位は大丈夫だろう。ギルド所属って訳じゃねぇしな」

「えぇ」

「じゃ、途中までだが、よろしく頼む」

「「あぁ/えぇ」」


ガシッ


俺達は握手を交わし、今しばらくは一緒に行動を共にする。

お疲れ様でした。

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