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06話「セカンド-サードへ」

「さて、準備は整ったか?」

「オッケェヨぉ」

「準備万全だよ」

「ん」

「呼んでくれて嬉しいわ」


セカンドの街からサードの街へ移動する事を視野に入れた俺は以前のメンバーを呼び出した。


「ロックゴーレムとの近接戦闘ねぇ。久々に燃えるわぁ」

「前と一緒でクマ吉に前衛に出て貰うわ」

「回復は任せて」

「牽制や注意逸らし位には任せて」

「ファーストアタックは俺に任せてくれ」

「あの掲示板の事は本当の様ねぇ」

「掲示板?」

「謎の糸使い。超アウトレンジ攻撃でのモブ狩りといえば巷では有名よぉ」

「あぁ、そういう事か。否定はしないが」

「んふ!素敵よぉ。FAは任せたわぁ」


こうして俺達はサードの街へ続く荒野へと出かける。


ワォオン

クゥゥン


グレーウルフやワイルドドッグに近づかれる前に先制攻撃で一撃で沈めながら進んでいく。


「本当に反則よねぇ」

「私たちはついて行くだけみたいだし」

「出番・・ない」

「楽でいいんだけどねぇ」


後ろの4人がそう会話しながら着いてくる。


「アレだけの距離を正確に当てられるには数種の並列スキルが必要な筈だよね?」

「まぁな」

「それでも腑に落ちないのが攻撃力なんだ。ミモザさんから20にも満たないと言われたけど明らかにオーバーキルなんだよね?」

「ダイチなら分かるんじゃないか?」

「もしかして、クリティカルヒットボーナス?」

「クリティカルヒットボーナスって?」

「相手に気づかれずに攻撃を成功させるとクリティカルヒット判定になるんだよ。たしか倍率は1.5倍だったね。僕もたまにしか出したことないけど」

「その時、敵の背後からか?」

「うん。隠蔽や消音スキルなんか使って後ろから射ったりしているよ」

「その話しぶりからしてもう一つの方は分かっていないみたいだな」

「まだ秘密があるのかい?」

「ダイチの攻撃範囲内は?」

「以前と変わらない魔法職と同じ17m前後」

「弓使いの中では20m射程のプレイヤーがいそうなものなんだが」

「武器が長弓ならね。でも扱いが難しいから殆どは短弓か狩弓が殆どだよ」

「その短弓と狩弓の違いは?」

「取り回しやすさか攻撃力の違い位かな。長弓は距離と攻撃力どちらとも備えているよ」

「なるほど。鷹の目は持っているか?」

「持っているけど?」

「前方のワイルドドッグを射って見てくれ。普通に打つんじゃなくて放物線を描くように20m以上飛ぶようにだ」

「え?それじゃ当たらないけど」

「サポートはする」

「わかったよ?」


ダイチは首を傾げていつもより天に向かって矢を放つ。綺麗に放物線を描くがどう見てもワイルドドッグには届かない位置に落ちると誰もが予想した。


シュルルル


落下する直前に横合いから右の糸を矢に巻き付けてワイルドドッグに向けて方向修正をする。


ドスッ


ギャゥウウン


矢は20m先のワイルドドッグの背中に突き刺さる。


ガッ

ドタンっ


近づいてきたワイルドドッグを左の糸でコケさせる。


「後は頼んだ」


後ろに控えていたミカとクマ吉がボコボコにして戦闘は終了となった。


≪スキル:誘導が会得されました≫


お、なんか発生した。


「アオイさん、今のは?」

「それより戦闘ログを見ろ。ボーナスがついている筈だぞ?」

「え?あ、飛距離ボーナス?」


ダイチは戦闘ログを確認して自分が飛距離ボーナスを出していることに気づく。


「20mで1.5倍・・・クリティカルダメージと合わせて攻撃力の2倍以上入っているんだけど」


「それがもう一つのダメージボーナスだ。飛距離に合わせてダメージ量が変動する。より遠距離にいるモンスターには大きく入る」

「50mで3倍って!?」

「これが俺の秘密ってわけだ。ただ当てなきゃ意味がないけどな」

「わかりました」

「で、どういう事かしらぁ?」

「つまり、アオイさんがこれまでソロで戦えていた理由に飛距離ボーナスがあったわけですね。総攻撃力×(20mなら1.5。30mなら2.0。40mなら2.5。50mなら3.0)と説明に書いてあります」

「なるほど。糸使いがなんで不遇とされていたのはコレが合ったからね」

「今でも長距離攻撃にはどの様なスキル構成なのか解明されていないんですけどね。鷹の目だってターゲッティングはできますけどホーミング性能は落ちますから中々当たりませんし」

「そこは企業秘密だ。1つは種明かししたんだ後は自分で考えな」

「わかりました」

「うふふ」

「ほのぼのしている所悪いんだけどココカラは連戦道中よ。引き締めて行きましょう」


ワーウルフの活動領域内に入り雰囲気はガラリと変わる。


視界のそこかしこでワーウルフ達がテリトリー内を歩み冒険者たちを待ち構えているのであった。


「ファーストアタックとサポートは任せろ。前衛崩すなよ」

「まっかせてぇ!」

「グルルルゥ」

「行くわよ!」

「はい!」

「ん」


こうして俺達はワーウルフの巣窟へと足を踏み入れた。


アオォオオオン


「右手からリンク発生!来るよ!」

「まだ、こっちが片付いてないわぁ!!」

「グルァアアアア」

「残り体力2割り切ったわ。もう少し頑張って」

「・・あと2秒」

「牽制は任せろ!ダイチ!!」

「あいよ!」


新手が近づく前に俺がファーストアタック。距離が近く飛距離ボーナスやクリティカルヒットは発生しないが注意をそらす事はできる。

後ろでダイチが鉄の矢を顔目掛けて射って仰け反らせて接近を遅らせる。


「糸拘束術一式」


ビィン


ドダァアン


グルゥウウ


足を糸で絡めとりコケさせる。


「ツインファイアーボール」


ゴォオ


2つの火球が前衛で相手取っていたワーウルフに炸裂残りの体力を削り取り霧散する。


「こっちは片付いたわぁ!」

「クマ吉!!」

「グルァアアアア!!」


ドスドスドスッ


クマ吉が前線に出て威嚇の咆哮を発動しワーウルフのターゲットを俺から引き剥がす。


「体力回復ポーション!」


パリンッ


イロハがクマ吉とミカの体力の回復を図る。


「ありがとうねぇ!」

「ん!」

「周囲警戒怠らないで!」

「オッケー!」


戦いつつも俺達はワーウルフの連戦をくぐり抜けてエリアボスがいるフィールドへと向かう。


ゼェハァゼェハァ


2時間にも及ぶ戦闘の末に安全地帯を見つけ休憩を取る。


「まだまだ続くわよ。幸い回復役がいてくれるから損害は軽微の様ね」


この中でサードの街までの道中を進んだことのあるミモザが呟く。


「消費が激しい」

「素材は足りそうか?」


休憩中もイロハがゴリゴリと調薬して体力回復ポーションを制作している。


半分程度で用意していた体力回復ポーションが底が見えている様だ。


「持っていたら欲しい」

「おう」

「僕も持っているからあげるね」

「私も」

「アタシもよぉ」


どうやら全員がある程度の材料を持っていたようだ。


「これだけアレば足りそう」


イロハは集まった素材を見て続けて体力・魔力回復ポーションを制作する。


「前もこんな感じだったのか?」

「えぇ。召喚術師で最も硬い召喚獣を召喚して前衛を張ってもらっている隙を突いて私たちが横合いから攻撃しながらの攻略だったわ。その時は持てるだけの体力・魔力回復ポーションを持って全部使い切ってロックゴーレムを倒したわ。手に入った素材とか売ったけど赤字が出たのは苦い思い出ね」

「ともかくワーウルフのリンク率が高くてバランスが良くないと攻略は困難の筈よ。最後のロックゴーレムが最難関で斬撃なんか効きやしないからクマ吉の鉤爪が殆どダメージにならなかったわ」

「ミカは?」


かなり前にはサードの街に言っていたミカにも聞いてみる。


「ん~、アタシの時はぁバランスのいいPTだったから順調に進んで行けたけど、やっぱりロックゴーレムは強かったわぁ」


難関はロックゴーレムか・・・


「ロックゴーレム前にも準備用の安全地帯があるからそこまで頑張りましょう」

「そうだな。イロハ、準備できたか?」


俺たちが話し合っている間イロハは黙々と調合をしていた。


「ん」


イロハはサムズアップして答えてくれる。


「行くか」


再びワーウルフが闊歩する空間へと突入する。


戦闘に戦闘を重ねて俺達はボロボロになりながらもロックゴーレム前の安全地帯へとたどり着いた。


カンカンカンカンッ


「PTに鍛冶師がいると助かるな」

「私は調薬師がいる方が助かっているわ」


ゴリゴリゴリゴリ


ミモザは簡易携帯炉や小型金床やハンマーを使ってPT全体の武器屋防具の耐久値を戻してくれている。


「あらあら、裁縫師のアタシだけのけ者なんて悲しいわぁ」


同じく布系を身にまとっている俺とイロハの防具であるローブやマントはミカの手によって耐久値を取り戻している。


「助かっているさ。LT糸が役に立ってよかった」

「えぇ。所有者が承認さえしていれば他者の装備への修復素材になるとは思わなかったわぁ」


LT糸自体は所有者帰属のアイテムだったが所有者の承認しだいで使い方に変化があった。


「今回僕の出番は無いようだね」

「奇遇だな、俺もだ」


基本生産職プレイヤーとしての集まりだから休憩の合間に各々ができるのは良い事だ。

戦闘職バリバリのプレイヤーだけのPTだったらこうは行かない。


「さてと行くか」


装備の修復や回復薬の生産を終えて俺達はエリアボスに挑む準備が整う。


「前のウッドゴーレムと違い防御力は格段に上がっているわ。おそらく斬撃無効のアビリティ持ち。体力も他の魔物と比べて全然違うから長期戦になるわよ」


ミモザが簡単にロックゴーレムの事について教えてくれる。


「弱点らしき物は見当たらなかったから、属性ダメージとか衝撃ダメージで押し通すしかなさそうよ」

「わかった。俺やダイチは牽制やフォローに回る」

「クマ吉も防御に徹してタゲを維持させるわ。私も短剣をメイン武器にしているから遊撃が限度」

「アタシの拳だと大したダメージは入らないけれども打撃系だからダメージソースになるわぁ」

「隙あれば魔法を撃つから、合図したら避けて」

「よし、行くか」


ザッ


俺達がエリアボスの領域に足を踏み入れる。


ゴゴゴゴゴゴッ


広場中央に鎮座していた大岩が一人手に動き出す。

アレがロックゴーレムの様だ。


「俺とダイチで先制攻撃を仕掛ける。その後クマ吉にタゲを奪って貰う」

「「OK」」


この中で長距離攻撃手段を持つ俺とダイチで攻撃を放つ。

少しコツを教えただけでダイチは弓で飛距離25m先の敵に当てられるようになり飛距離ボーナスを稼げるようになったからだ。


ガツンッ

ゴツンッ


俺の分銅糸とダイチの分銅矢が動き出しているロックゴーレムにヒットしターゲットが俺に入る。

どの位のダメージが入ったかは分からない。


「グォオオオオオオオオオ」


クマ吉が全面に立ってロックゴーレムの動きを阻止しにかかる。


「オラオラオラ!五月雨突き!!」


ミカが気合の入った五連続正拳突きを放って俺に写ったタゲを奪い去っていく。


ギャォオオオン


鈍い動きだったロックゴーレムから震えるような音が発せられて顔にあたる部分に2つの光点が灯った。


「本格的に動き出すわよぉ!」


どうやらロックゴーレムが動き出すまで時間が掛かっている様だ。


「グォオオオオ!」


クマ吉が防御姿勢のままロックゴーレムの初撃を防ぐ。


ジジっ


PT状態ならばメンバーの体力が見れるのは有難い。

一撃で総体力の0.5割削り取られた。防御していなかったらもっとダメージを貰っていただろう。


「ソラソラソラ!」


防御に徹するクマ吉に攻撃に徹するミカ、周囲を走り回る遊撃のミモザ。

一歩離れたところで攻撃支援するイロハ、ダイチ、俺が連携を取り少しづつダメージをあげる。

PTの高火力は魔法使いであるイロハの魔法攻撃である。

その一撃が入ったとたんにタゲが切り替わりロックゴーレムが後衛に向かって突き進んでくる。

その時はクマ吉とミカが全力で動きを阻止するがタゲを奪い返すには時間が必要となってくる。

俺も糸拘束術や糸防御術を駆使してロックゴーレムの動きを阻害しようとサポートに徹する。

その間、ダイチやミモザはガラ空きの背後に攻撃を加えて少しでもダメージを稼ぐ。


この繰り返しする事1時間程、明らかにロックゴーレムの動きが鈍くなったと感じた頃にボス特有の無差別攻撃モーションが始まった。

前衛の2人を吹き飛ばし体力を半分以上持っていく。やはり今回も高火力のイロハへと3回目の攻撃ターゲットとして選んできた。


「糸拘束術一式」


ガガッ


2本の糸で移動を阻害し合計4秒を稼ぎ出す。


ブチブチッ


直ぐに糸が切れて再び動き出すが、その間にミモザとダイチがミカとクマ吉の体力を回復させ戦線復帰させる。


ギャォオオオオン


ロックゴーレムの攻撃モーションは止まらず両の岩でできた腕は振り上げられイロハに下ろされる。


「糸防御術一式!」


シュルッ


振り下ろされた一瞬で糸を巻きつけて攻撃軌道をズラす。

イロハもそれに合わせて状態を逸らして避ける。


「ナイス、連携よぉ!」

「グォオオオオオ!!」


ミカとクマ吉がロックゴーレムとイロハの間に割り込み元の状態連携形態へと戻る。


ピキィンッ


ロックゴーレムの両眼が一瞬煌めいた。


「ミカ!クマ吉!避けろ!!」


1歩後ろで見ていた俺はその異変に気がついた。


「え?」


ブォオオン


振り下ろされた両腕が再度振り上げられてミカとクマ吉が吹き飛ばされる。

今度は防御姿勢もない不意打ちだったらしく総体力の8割削られてしまった。


慌ててミモザとダイチが2人の体力回復に動き出すがPTとしての連携が崩れた。


「イロハ!」


ロックゴーレムの動きはまだ止まらない。三連撃だと思っていたが五連撃であった。

糸拘束術と糸防御術はクールタイムに入っていて阻害ができない。


「おぉおおおおおお!」


咄嗟に糸をイロハの体に巻きつけて俺の方に引き寄せる。


ブチィッ

ガシッ


ドゴォオオオオオオオオン


怒り状態の一撃はイロハの居た地面を陥没させて振り下ろされた。

間一髪でイロハの救出に成功する。引き寄せた勢いで糸が引きちぎれたが構わないだろう。


「ありがと・・・」


俺の腕の中でうつ向きながらイロハが小さな声でいう。


「間に合ってよかった。そっちは大丈夫か?」

「えぇ。五連撃なんて知らなかったわぁ」

「私の時も無かったわよ」


体力の回復をしてミカ達が戦線復帰してくる。


「さ、大詰めだ!」


怒り状態が解かれロックゴーレムの動きにキレが無くなっていた。


後はラッシュを掛けて一気に畳み掛けた。


「避けて。ツインファイアーボール」


ボボッ


2つの火炎球がイロハの頭上に出現し動き出す。


ササッ


タイミングを見計らってミカとクマ吉がロックゴーレムへの射線を開く。


「あ・・」


ファイアーボールの1つがロックゴーレムではなくミカへと起動を変えてイロハの顔色が変わる。


「えっ!?ちょっ!!」


避けたと思っていたファイアーボールが自分に向かってくることに気づきミカは狼狽えだした。


「誘導」


バシッ


が、俺はファイアーボールの軌道をスキルで修正する。


ドガァアアアアアアアアン


2つのファイアーボールは着弾し爆炎を上げる。


「ちょっとイロハちゃん!ヒヤッとさせないで!」


ミカは顔を青ざめながら近づいてくる。


「ゴメン・・・制御が甘かった」

「まぁ、そう怒るな。距離が20mオーバーだったんだから甘くなっちまっても仕方ないだろ」


イロハとロックゴーレムの距離は20m以上離れている。その際ターゲット機能は失われ、ホーミング機能も極端に命中率を下げる。


「次から気をつけなさいよぉ。アナタの魔法攻撃が一番火力があって体力の削れているアタシじゃ耐え切れないのよ」

「次から気をつける・・・」

「アオイ、アナタの機転で助かったわぁ。スキルで魔法の軌道を変えるなんて早々出来たものじゃないわぁ」

「俺の糸は魔力が通っているからな。魔法に対しても効果はある」

「そういう物なのねぇ」

「ミカさん、戦闘中におしゃべりしてて大丈夫なんですか?」

「大丈夫よぉ。アタシ鑑定スキル持ちで体力がゼロになった所は確認済みなのよぉ」


まさかの鑑定スキルを所持していた。


「最初から言ってくれよ」

「相手の体力の状況を教えたら楽しくないじゃなぁい。緊張感が違うでしょぅ?」


ミカはワザとロックゴーレムの状態を俺たちに教えず緊張感のある戦闘を強いていたらしい。


「俺は構わねぇけどな」


ゴドォッ


爆煙の中から岩の塊がボロボロとこぼれ落ちてきた。

ロックゴーレムの成れの果てであろう。


≪エリアボス:ロックゴーレムの討伐に成功しました。サードの街へ行ける様になりました≫

≪アオイはレベル25になりました≫

≪糸使いのレベルが15になりました≫

≪SPが1増えます≫

≪スキル:糸拘束術一式のレベルがMaxになりました≫

≪SPが1増えます≫

≪スキル:多重操糸術が獲得可能となりました≫

≪スキル:引き寄せが会得されました≫

≪アオイはロックゴーレムからロックコアを手に入れました≫


・ロックコア

 エリアボス:ロックゴーレムのレアドロップ

 ランク:ユニーク

 品質:4


【ステータス】

 名前:アオイ

 種族:ヒューマン

 レベル:25

 職業①:糸使い(Lv15)

 職業②:裁縫師(Lv1)

 SP:7

 体力:420/760

 魔力: 30/312

 攻撃力:102(+18)(脚+15)

 防御力:78(+18)(+16)

 状態:健康

 称号:ウルフハンター,ドッグハンター

 ランク:F-


此処までの戦いでレベルが5も上がったのか。


「さ、サードの街へいきましょぉ。皆疲れてるしねぇ」


ミカがそう言って全員が動き出す。


「ドロップ品はなんだったのかしらぁ?アタシはまた石版だったわぁ」

「「「同じく」」」

「ロックコアだな」

「あら、ラッキーねぇ。レア素材よぉ」

「前のウッデンコアとロックコアって何の強化に使えるんだ?」

「まだ、取っておいたのねぇ」

「まぁな。ウッデンは強化した物の耐久値の増大よぉ。ただし木製の物に限るわぁ。ロックコアは防御力の増大ねぇ。コレも鉄製限定よ」

「ロックコアはペンディラムガントレットの強化に使えそうだな」


唯一鉄製の装備であるガントレットを見る。


「まだ、取っておいたほうがいいわぁ。その装備は改良中の物なんでしょぉ?」

「えぇ。試作段階なのよ。ダイチさんと話し合って改良したりしてるわ」

「なら、見送りだな。さっきの戦闘後のレベルアップで多重操糸術が獲得可能になった。詳しくは後で見るとして字面からして多数の糸を操れると思うからもっと本数を増やせないか試してくれないか?」

「本数を増やすにはその大きいリール部分が邪魔なのよ。飛距離を削ればリール部分の小型化が可能かもしれないわね」

「うっ」


リール部分は50m分の糸を格納している。

俺に飛距離ボーナスを奪われると極端に弱くなりそうだ。


「覚悟が決まったら言いに行く」

「分かったわ。本数が増えればそれだけ手数が増えるのだから便利じゃないかしら?」

「それはそうだが、ソロプレイヤーの糸使いにとって飛距離ボーナスが無いのは辛い」

「ソロに拘らなくても良いんじゃない?前衛としては動けないけれど後衛サポート職として強いじゃない?」

「僕もソレは思ったよ。2本の糸で敵の行動阻害から僕たちの攻撃サポート、回復ポーションを遠くへ糸で投げられる。下手な後衛より強いと思うよ?」

「アオイは強い。それは確か」

「組む相手が居ないぞ」


俺の知り合いといえばこのPTメンバだけだ。


「大丈夫よ。アナタならぁ有名だから一人くらいは組んでくれる人は居る筈よぉ。この前もノーダメージで糸工房に行けたんですものぉ」

「糸工房に行く道ってグレーウルフ祭りって聞いたけど」

「アオイのお陰で近づくウルフは瞬殺か近づかれてもサポート付きで倒せたわぁ」

「それは凄いですね」

「っと、次の街が見えたわぁ」


荒野を抜けると草原が広がり遠めに街が見える。


「ここら辺はワーウルフの領域だから気をつけてねぇ。でも個体の行動範囲が広大で早々リンクはしてこないけどねぇ」


そう言っている間に早速ワーウルフが襲いかかってきた。

何度も戦闘してきたばかりの俺達にとって難なく倒しきる。

街へ到着するまでに数度程度の戦闘を経る。


「到着よぉ」

「雰囲気はファストやセカンドと変わらないな」

「また屋根の色が違うだけですかね」

「家の配置が同じだからね」

「街の構造をコピーしてるわけか」


各々がマップを広げて3つの街を見比べて唸っている。


「さて活性化させて解散しましょう」

「だな」


俺達は復活ポイントの活性化を済ませて解散となった。



≪転移可能の街:≫

 ファスト:1,000G

 セカンド: 500G


どうやら転移する際に距離によって金額が変動しそうだな。

お疲れ様でした。

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