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05話「セカンド-セカンドの街②」

「やぁ、アオイさん」

「ダイチ」


喫茶店でダイチとであった。


「今日はウルフ狩りをしなくていいのかい?」

「俺のことが噂になっているから掲示板を眺めていた」

「セカンドの街じゃ、有名だからね」

「賑わっていたな」

「プレイヤー名すら特定のスキルを持っていないと分からないから謎の糸使いと言うことで収まっているようだけどね」

「あまり注目されるのもな」

「多少は日の目を見たほうが良いと思うけどね。糸使い1人だけだと相談する相手なんて限られてくるしね」

「まぁな。でも一人の方が楽な場合もある」

「それは否とは言えないね。僕だってソロで狩っていたほうが楽だと感じているしね」

「話を変えるが、作って欲しいものがあるんだ」

「聞くよ」

「そろそろこの鋭角が壊れそうなんだが、鉄で代用できないだろうか?」


ズッと使ってきたホーンラビットの鋭角の耐久値が1桁となって代用品が欲しいと思い始めた所だった。


「鉄の三角錐が欲しいんだね。鉄となるとミモザさんに一任することになるね。形状は?」

「指定するなら、2種類。1つは一般的な三角錐だな。2つ目は捻った感じの鏃っぽいの」

「ふぅん。考えることは一緒だね。後者は僕が持っているから譲るよ」


カラン


ダイチはストレージから俺の求めていた鏃のついた鉄の矢を机に置いた。


「通常の矢より捻った感じの鏃を持ったほうが飛んでいる間に自立回転して貫通力が増すことに気がついたから作ってもらったんだ」

「三角錐じゃ貫けない相手対策だな?」

「勿論」


ニィッ


ダイチはニヒルに笑う。


「コレは頂くぜ」


俺も笑いトレード申請をだして捻られた鏃を受け取る。


≪LT糸のリール(鋭角(金属製))(+14)がLT糸のリール(貫通(金属製))(+18)になりました≫


「攻撃力が4も跳ね上がったんだが」

「貫通力が向上された鏃だからね。攻撃力も勿論上がるさ」

「じゃ、三角錐については頼んだ」

「出来上がったらミモザから連絡するようにするよ」

「あぁ」


喫茶店を出て冒険者ギルドへと向かう。


『草原の先は岩山になっております。出現するモンスターはワイルドドッグ、ワーウルフ、エリアボスとしてロックゴーレムがおります。グレーウルフより強いので気をつけてください。採掘する事は出来ませんが落ちている石ころの中には銅鉱石、鉄鉱石が混じっていますので

 採取クエストとし常設されています』

「わかった」


サードの街に行くには岩山のエリアボスロックゴーレムを倒す必要があるようだ。


ひとまず岩山のモンスターを倒しに行ってみるか。


新調した武器の性能を試しながら草原のウルフを狩りつつ岩山を目指す。


グルルゥ


遮蔽物のほとんど無い岩山に入るとワイルドドッグがそこかしこに徘徊している。

まずは、超遠距離での一撃必殺を試す。


ギャンッ

バリィイン


50m先にいるワイルドドッグが一撃で沈む。

攻撃力198の前ではワイルドドックも成すすべが無かったようだ。


シュルルルル

ガチンッ


巻き戻し時は隙だらけなんだよな。


それから徐々に距離を縮めながらワイルドドッグ狩りを続行する。


ヴァウヴァウ

ザシュッ


20m圏内での戦闘をしてみると厳しい戦いになった。

所詮糸使いは他に比べれば攻撃力が脆弱と言えた。


「糸拘束術一式」


ピタッ


「二連脚」


シュシュッ


バウッ


「糸防御術一式」


グルンッ

ギャウンッ


「二連脚」


シュシュッ


「糸拘束術一式」


ピタッ


「二連脚」


シュシュッ

キャウゥウン

バリィイン


拘束系と防御系のコンボは近接系で役に立つ事が分かったな。

数秒とはいえ上手く嵌れば相手の行動を封殺できるのだ。



≪アオイのレベルが18に上がりました≫

≪SPが1増えます≫

≪糸使いのレベルが10になりました≫

≪スキル:操糸が派生します≫

≪スキル:切り離しが派生します≫

≪スキル:糸防御術一式のレベルがMAXに達しました≫

≪SPが1増えます≫

≪スキル:魔力操作のレベルがMAXに達しました≫

≪SPが1増えます≫


【ステータス】

 名前:アオイ

 種族:ヒューマン

 レベル:18

 職業①:糸使い(Lv10)

 職業②:裁縫師(Lv1)

 SP:8

 体力:540/540

 魔力:231/231

 攻撃力:71(+17)(脚+3)

 防御力:54(+18)

 状態:健康

 称号:ウルフハンター

 ランク:G+


【装備】

 頭:なし

 体:LTの服(+6)

 腰:LTのズボン(+6)

 足:ラビットクローブーツ(攻+3)(防+3)

 背中:LTのマント(+3)

 右手:LT糸のリール(鋭角)(金属製)(+14)

 左手:なし



【糸使い(Lv10)】

 ・糸拘束術一式(Lv25) [魔力-1]

 ・糸防御術一式(LvMax)    [魔力-2]

 ・魔力操作(LvMax)    [魔力-1/1s]

 ・観察(LvMax)        [アクティブ]

 ・鷹の目(LvMax)    [魔力-5/1s]

 ・二連脚(LvMax)    [魔力-2]


 ・注視(Lv15)         [アクティブ]

【裁縫師スキル(Lv1)】

 ・未取得

【種族スキル】

 ・なし


SPが溜まってきたし有用そうなスキルの取得でもするか。

安全地帯らしき空間に身を潜める。


候補は・・・


・操糸

 糸に魔力を纏わせて操る事が可能。

 前提:糸使いレベル10

    魔力操作レベル5

    SP2の消費。

消費魔力:2/5m


・切り離し

 糸を途中で切り離す事が可能。

 切り離し後、重石は切り離した所へ戻る。

 前提:操糸レベル10

    SP2の消費。

消費魔力:1


・遠視

 100m範囲内の視野を拡大縮小できターゲットする。

 命中率+20%。

 前提:鷹の目レベルMAX

    SP2の消費。

 消費魔力:10/10s


操糸と魔力操作の効果が似ているんだがイマイチ良いのかが分からん。

切り離しは取るべきだな。説明文を見るに巻き戻し時間が0になりそうだ。

遠視はまさかのターゲットできる機能まで付いていた。


SPは8もあるから全て取る事は出来るがスキルリセットが出来ない以上慎重に選ぶか。


≪スキル:切り離しをSP2消費して取得いたしますか?≫


YES


≪スキル:囮糸が派生しました≫

≪スキル:落とし糸が派生しました≫

≪スキル:盗聴糸が派生しました≫


ん?


≪スキル:遠視をSP2消費して取得いたしますか?≫


YES


説明文から信用できそうな2つを選択。後は残そう。


まずは遠視。


ヴゥン


視界が青くなったと思ったら淡いピンク色に景色が変った。


鷹の目と遠視のスキルを混同しない為のようだ。


鷹の目同様に視界を遠くへと飛ばす。


ピンッ

ピンッ


確かにターゲットは出来る。

だが、リールに巻かれた糸は50mが限界で50m以上先の敵への攻撃手段が無い。

攻撃範囲を伸ばすのなら武器屋なりプレイヤーメイドで作ってもらう必要がある。

それでも50m圏内のモンスターにターゲットできるのは助かる。


遠視と魔力操作のコンボで遠くに居るモンスターにもホーミングで当てることが出来そうだ。

今までは視界を動かしながら糸を操作していたからな。


ドシュッ


遠くに居るワイルドドッグ目掛けて糸を発射させる。

ホーミング機能が働きモンスターへと糸が飛んでいく。


ザクッ


は?


糸がワイルドドッグに当たらず地面に突き刺さった。

それに驚いたワイルドドッグが周囲を警戒し始める。


まさか、ホーミングとはただの誘導されるだけで攻撃が100%当たる訳ではないのか?


糸は切り離さなずに巻き戻す。

距離もありワイルドドッグは俺をターゲットせずに通常状態に戻る。


落ち着いて次のスキルを試してみよう。


5m先の何もない地面に糸を飛ばし切り離しを発動。


ブチンッ


糸の発射口から出ていた糸全てが切り離された。


カチンッ



「シっ!」


思い通りタイムラグなしで重石が一瞬にして戻ってきた。


「ん?」


だが、リールをよく見ると普段気にしない部分に変化があった。

数字で45と表示されていたのだ。普段は50と記憶している。


「まさか?」


再度5m先まで糸を伸ばして切り離す。


40・・・


つまり、切り離せば手元の糸が減っていくシステムであった。


遠距離攻撃手段がなくなれば俺には成す術がない。

切り離しの乱用は控えたほうがいいな。


『う~ん。俺のところでは糸の取り扱いはしていないからなぁ』


武器屋に言って失った糸を付け加えられないか聞いてみたが糸が無いため出来ないようだ。


『LT糸はアレ以外入荷していないし直接行ってみるしかないな。糸さえあれば追加は可能だ』

「わかった。販売所をあたってみる」

『コレは紹介状だ。少しは聞いてくれるだろう』

「助かる」


武器屋を出ていき街の北西にあるという生産所へと向かうことにする。


「あらん、アオイちゃん。久しぶりねぇ」


日課となった市を通るとあまり姿を見かけないミカが露天をしていた。

相変わらず効果の高い衣服を売っている事だ。


「LT装備には出来たようねぇ」

「まぁな」

「これから狩り場かしらぁ?」

「いや、LT糸の生産所へ行くところだ」

「LT糸の生産所?行っても無駄よ?」

「何故だ?」

「数々の裁縫師がLT素材を求めて生産所に向かったけど門前払いされたもの。アタシもその1人よぉ?」

「理由は?」

「LT素材の布は王侯貴族御用達の物で取引はしていないって言っていたわ」

「なるほど。紹介状もあるし行ってみるだけにしとくか」

「ちょっと、待ちなさい。紹介状があるの?」

「書いてもらった」

「アタシもついて行っていいかしらぁ?」

「1人につき1つだったら無駄になるぞ?」

「それなら諦めるわよぉ。でも少しでも望みがあるならそれに賭けるわぁ」

「わかった」


ミカはテキパキと露天を片付けて身支度を整えていく。


「待たせたわねぇ」

「行くぞ」

「生産所までならアタシが案内できるわぁ」

「頼んだ」


ミカを先頭に俺達は生産所へと向かう。


ギャィン

バリィン


ミカの近接格闘技と俺の糸による援護でウルフ共はリンクしようが一方的に倒していけた。


「糸使いって不遇と言われている割にサポートに最適な職なんじゃないかしらぁ?いくらアタシでもノーダメージで草原を歩けているなんて信じられないわぁ」

「ここまで来るのに結構苦労したんだがな」

「少し前まで掲示板で凄い賑わっていたわねぇ。結局アナタについて憶測が飛ぶばかりで成果は得られなかったみたいだけどね」

「あそこが生産所か?」

「えぇ。レッサータラテクトの糸を織り込んで絹より上質な布を取り扱っている場所よ。私たちプレイヤーには一切卸してくれないから困っているのよねぇ」

「そうなのか」


生産場所をグルリと囲む白い壁が目立つ建物だった。

しばらく歩いていると門が見えた。


『なんだお前らは?』


門には筋肉隆々の男が大剣を携え仁王立ちしている。


「あらん、イケズな人ねぇ」

「LT糸の取引をしたくてきたんだが」

『ここはお前らのような者達とLT素材を取引する場所ではない。帰れ』

「武器屋の店主から紹介状を預かってきたんだが」

『なに?』


男は紹介状を手に取ると中を拝見する。


『あの店主が紹介状を書くとはにわかに信じられないが入っていいぞ』

「わかった」

「あぁ、待ちに待ったLT生産所の中が見られるのねぇ」

『お前はダメだ』

「なんでよぉ!?」

『紹介状にはお前について書かれていなかったからな。入る事は許さん』

「そんなぁ」

「仲間なんだが入ってはダメなのか?」

『規則でな。紹介状か有力貴族の紹介で名指しされていなければ入れることは出来ない』

「諦めろ」

「分かったわぁ。でもここで待っていていいわよねぇ?」

『入らなければ待っていていい』

「うふふ。待っている暇だから話し相手にはなってちょうだいねぇ」

『うっ』


ミカを置いて俺は中へと入る。


壁の中へ入ると木の柵で幅広い囲いが広がっている。

囲いの中には人の腰丈くらいありそうな蜘蛛が何匹も野を歩いていた。


『おや、お客様ですか?今日は来る予定はなかった筈ですが?』


近くの建物から麦わら帽子に肩にタオルを掛けオーバーオール姿の男が現れた。


「武器屋のオヤジから紹介状を貰ってきたんだが」

『おや、あの方が珍しいですね。冒険者の人で?』

「あぁ」

『ふむふむ、なるほど』


男は紹介状の中身を見てなにやら納得する。


『LT糸をご所望ですか。たしかにその腕に付いているのはあの人が作り上げた物に間違いないですね。土台は別の方みたいですが』


俺のリールを見て男は言う。


「リール本体はオヤジの物だ。土台は別の人に作ってもらったんだが」

『切断ですか・・・初めて聞くスキルですね。ふむ、あの方が買っていった時は50mキッカリ渡していますので間違いないでしょう。とりあえず中へどうぞ』


男に促されて俺は建物の中へと入る。


カラカラカラ

ガッタンガッタン


建物の中は布を作り上げる工場のようだ。


「ほぅ」

『驚きましたか』

「モンスターなのか?」

『いえいえ、亜人に分類される種族ですよ』


布を織っているのは人ではなく上半身が女で下半身が蜘蛛の亜人である。


『アラクネアと呼ばれる種族でしてレッサータラテクトを手懐けるのが上手な種族なんです』

「なるほど。糸は何処から?」

『更に奥の小部屋にレッサータラテクトが糸を吐き出す場所がありソレを糸状に再生成しています』

「そうか」


アラクネア達が織り機で布を作り出している横を通り過ぎて執務室へと通される。


『いま、サンプルを持ってきますね』

「あぁ」


5分くらいで手に糸を大量に持ってきた。


『これらが私たちが作り出している糸です。基本的には性能に変わりありません。染色は可能です』


色とりどりの糸の束が机に並べられる。

赤・青・緑・黄・紫の5色である。


『1束、50m分として1,500Gとなります』

「随分と安いな」


LT糸のリールの本体が2,000Gと言うことになる。


『未染色の糸としての値段です。更に200Gの追加料金を頂けましたら5色に加え可能な限り染色出来ます。ただし薄い青色に関しましては王族のシンボル色なのでおいそれと染色はできませんので注意してください』

「わかった。糸としての性能は変わらないんだな?」

『左様で御座います』

「色付きだと、視認しやすくなるというペナルティとかは?」

『ありますね。濃い色程線が見えると思います』

「白が一番無難と言うことか?」

『特殊加工すれば更に見えづらくできますが、只今専門の職人が手を痛めてまして休職中です』

「わかった。白を3束貰えるか?」

『畏まりました』


男はサンプルの染色糸を持ち奥へと消えて戻ってきた。


机には3束の糸が置かれた。


・LT糸

 レッサータラテクトから作られた糸。

 衣類に最適とされている素材。

 糸使い用の糸としても活用できる。

 耐久値:25/25

 1束50m。

 ランク:ノーマル


『3束で4,500Gとなります』


ジャラッ


「これだ」

『たしかに』


4,500Gを渡して俺はこの場を離れることにする。


『必要になりましたらまたの来店お待ちしております。こちらがこの工場の入場カードになります。毎回私が対応できるわけではありませんが従業員には伝えておきますのでカードの提示だけは忘れないでください』

「わかった」


俺は事務室を出る。


ガッタンガッタン


昔ながらの手織り機を使った布のつくり方をしている工場を通り外へと出て行く。


「お話は終わったのかしらァ?」


ミカが門前で待っていた。


チラリと門の男を見るとウンザリといった顔をしていた。


「この通り、糸は手に入った」

「プレイヤーとしては初だわぁ」

「このカードを見せれば糸を売ってくれるようになった。布は無理だろうが」

「それでも凄いことよぉ。糸だけをアタシに売ってくれる事は出来るかしらァ?」

「アイテムがプレイヤー固有の帰属アイテムに設定されているから無理だな。注釈には糸を武器や防具にする時に限り譲渡可能となるが出来上がったアイテムは自動的に持ち主に帰属状態になるそうだ」

「じゃぁ、売り物にならないわねぇ」

「そういう事だな」


うまくココとの繋がりを持てたとしても作った服やローブが制作したプレイヤーに帰属するのでは売り物にはなりやしない。


「それだけ分かったなら儲け物よ。この情報は流して良いかしらぁ?」

「重要という感じじゃないし好きにすればいい」

「ありがとうねぇ。さ、帰りましょう」

「あぁ」


俺とミカは来た道を戻りセカンドの街へと帰る。


「またねぇ」


ミカと別れてミモザの所へと向かう。リール部分について相談することが増えたからだ。

生憎、今日はログインしていないらしく後日合うことにした。


「頼まれていた物は出来たわ」

「随分早かったな」

「改良するだけだったからね」


ゴトゴトゴト


「まだ試作段階だけど、ペンディラムガントレットっていう名前にしたわ。今まで職人じゃないと取り外しが出来なかった部分をワンタッチで出来るように改良したから戦闘中に新たな糸を交換出来るようになったわ」

「態々済まないな」

「客の頼みを聞くのが生産職側だからね」


ガチャンッ

ガチャッ


簡単にLT糸が巻かれているリール部分の交換が出来る。


・ペンディラムガントレット

 重量感ある鉄のガントレット型糸使い専用武器。

 リール部分の機構を簡単に脱着することができる。

 糸使い専用武器。

 攻撃力:12

 防御力:8

 移動速度-5%

 耐久値:200/200

装備可能職業:糸使い

 ランク:クリエイト

品質:2


「防御力もあるんだが?」

「ガントレットだからよ防御もできないとね」

「移動速度も落ちるんだな」

「ガントレットが重いせいね。走るときバランスが悪いと思うから気をつけてね」

「鉄装備を付けられるんだな」

「装備は可能だけど、移動速度が落ちるというデメリットがあるのよ」

「やっぱり50mが限界か」

「それ以上巻くと取り回しづらいわよ」

「それでも基本攻撃力が上がったのはいい」

「といってもセカンドの街の中でも低い攻撃力よ?」

「そこまでか?」

「鉄製の武器は平均30以上、魔法職だって元々の高火力だしね」

「とりあえず、分銅と捻れた三角錐で攻撃力は底上げができるしな」

「それでも20は行かないわよね?」

「少しでも攻撃力が上がる分には助かってるんだぜ」

「・・・まぁ、これ以上は口出ししないわ。それがアナタのプレイスタイルだからね」

「そういえばサードの街には行けたのか?」

「えぇ。この前と一緒で召喚士3人PTを組んで突破したわよ」

「なるほど、鉄装備が充実していたのはそういう事か?」

「また必要ならPT組んで遠征してもいいわよ」

「その時はよろしく頼む」


荒野のワイルドドッグはやたらとリンクが高くてソロだと厳しい。何より道中で出てくるワーウルフはワイルドドッグ以上の強さを秘めている。

終いにエリアボスのロックゴーレムには斬撃系は効かず、打撃系とっても分銅の一撃では大したダメージは入らない。俺がサードに行くにはPTでの攻略が必須なのだ。


「そういえば、コレと同じ物はもう一つ作れるのか?」


右腕に嵌めたペンディラムガントレットを見て呟く。


「作れないことはないけど、何をする気?」

「左腕にも装着したいと思ってな」

「たしかに装着は可能よ?でも止めておいたほうがいいわ?」

「なぜ?」

「何故か2つ同時に武器を持つことにペナルティが掛かるそうなのよ」

「ペナルティ?」

「以前、剣士のプレイヤーが剣を2つ手に持ってモンスターに挑んだことがあったそうよ。結論は惨敗だそうよ。何故だが分かるかしら?」

「さぁな?」

「片手で制御できていた剣が一本多く持っただけで振り回されて戦いどころじゃなくなったそうなのよ」

「要は制御が出来ていればいい訳だな」


フワフワフワッ


ここの所、魔力操作がレベルMAXになったお陰で自分の周囲ならば糸を自由に動かすことが出来るようになった。


「わかったわ。作ってあげるわよ」

「俺も稼ぎに行ってくる」

「出来たら、コールかメールするわね」

「わかった」


草原でのグレーウルフに荒野でのワイルドドッグでの資金稼ぎをしつつ待つ事にする。


ガチャンッ


「これで二刀流ならぬ二糸流な訳か」

「それで、戦えそう?」

「ちょっと待ってろ。むぅ」


カタカタカタカタ


両方の糸を同時に操作しようとするが上手くコントロールが効かない。


「やっぱりアナタでも無理なのよ。2つのことを同時に動かすなんて」

「待ってろ。直ぐに物にしてやる」

「ハイハイ。代金は頂いたから私は戻るわよ」


ミモザは足早に去っていく。

俺は同時に糸を動かすことに夢中で見送る事しか出来ない。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


「フハハハハハハッ!」


俺は荒野の中を1人で爆笑していた。


・操糸

 糸に魔力を纏わせて操る事が可能。

 前提:糸使いレベル10

    魔力操作レベル5

    SP2の消費。

消費魔力:2/5分


糸使いならではのスキルが埋もれていた事に気がつかなかった様だ。


SP2も消費して魔力操作と変わらないような説明文だったから疑っていたが魔力操作の上位互換のようで糸の操作が容易になり2本の糸は手足のように動かせるまでに至った。

ワイルドドッグが近づこうが遠くにいようが2本の糸とガントレットの性能の前では1匹程度では遅れは取らない。リンクして新たな奴が来ようが飛距離ボーナスでの一撃で近づかせない。


【ステータス】

 名前:アオイ

 種族:ヒューマン

 レベル:20

 職業①:糸使い(Lv12)

 職業②:裁縫師(Lv1)

 SP:6

 体力:620/620

 魔力:257/257

 攻撃力:81(+18)(脚+3)

 防御力:62(+18)(+16)

 状態:健康

 称号:ウルフハンター,ドッグハンター

 ランク:G+


【装備】

 頭:なし

 体:LTの服(+6)

 腰:LTのズボン(+6)

 足:ラビットクローブーツ(攻+3)(防+3)

 背中:LTのマント(+3)

 右手:ペンディラムガントレット(+18)

 左手:ペンディラムガントレット(+18)



【糸使い(Lv12)】

 ・糸拘束術一式(Lv30) [魔力-1]

 ・糸防御術一式(LvMax)    [魔力-2]

 ・魔力操作(LvMax)    [魔力-1/1s]

 ・操糸(Lv4)       [魔力-2/1s]

 ・観察(LvMax)        [アクティブ]

 ・鷹の目(LvMax)    [魔力-5/1s]

 ・二連脚(LvMax)    [魔力-2]


 ・切り離し(Lv5)    [魔力-1]

 ・注視(Lv17)         [アクティブ]

 ・遠視(Lv10)      [魔力-10/1s]

【裁縫師スキル(Lv1)】

 ・未取得

【種族スキル】

 ・なし


「さてと、ワーウルフにはどの程度届くか試さないとな」


俺はワイルドドッグを蹴散らしながら進みワーウルフが出現するポイントへとやってくる。

岩山といえど人型で2mは超えている二足歩行の巨大な狼達が待ち構えている。


ガガンッ


長距離からの二重の先制攻撃。

元の攻撃力99×1.5で総攻撃力148.5の二連擊だ。


ギュワァアン


やはり、削りきれないか。


しかし・・・


俺にターゲットしたワーウルフがワイルドドッグ以上のスピードで接近し始める。


流血エフェクト具合からすると初撃でほとんど体力を削ったようだな。

後は近づかれる前に倒すだけだ。


ギャァアアアオォオン


危なかった・・・あと10mしかなかった。


アレから数度の攻撃を繰り返したが中々ダメージが通らず接近戦に持ち込まれる所であった。

接近戦になったら俺には勝ち目が無い程の紙装甲だからな。


≪アオイのレベルが22に上がりました≫

≪SPが1増えます≫

≪糸使いのレベルが13になりました≫



しばらくワーウルフ相手に戦っていると何度かのレベルアップアナウンスが聞こえてくる。

やはりソロ狩りだから経験値効率はいいようだ。


今日のところは帰るか。


狩りの成果をギルドで精算してログアウトする。

お疲れ様でした

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