1/2
プロローグ
辞書を引いた。
「会うは別れの始め」
この世で出会った人とは、いつか必ず別れが訪れる。
別れの悲しみや、愛のはかなさ、人生のはかなさを表すが、それは出会う喜びがあったからこそである。
始めがあれば終わりがあり、楽があれば苦があるのと同じように訪れるものなのだから、別れがくるまでの時間を、大切にすることが大事だという意が込められている。
出会いは偶然なのか?必然なのか?
それは偶然であり、必然であり、どちらでもない。
わたしは「出会い」を心から感謝し、「別れ」を心から悲しんだことは一度もない。
自分という人間を信じられない私は、
他人を信じることなんてできるはずがないのだから。
自分という人間を好きになれない私は、
他人を好きになれるはずがないのだから。
出会いに喜び……
別れに悲しみ……
愛や人生のはかなさ……
もし本当に神様が存在するのなら。
どうか教えてください。
こんな捻くれた私にも
「会うは別れの始め」の意味を。