始動
も、申し訳ありません! 遅れました!
あと、今回も考察になってしまいました……魔法は使っているのですがなかなかファンタジー的なものは入らない……サバイバルも早くしたいのですが申し訳ないのですがこの話も読んでください!
どうするか?
もうこの村にはいられないだろう……。
村民は何も悪くないし、悪気がないのはわかっている。
そして僕は地理には詳しくないし、どちらに行けばいいのかわからない。
村の人たちは僕を避けているし、聞くこともできないだろう。
どうする?
どうすればいい?
痛みがだんだんなくなっていく。
成長補正のためか痛覚耐性が上がっていく。でも最初の時よりも効果が劇的ではないようだ。
成長していくほどレベルとスキルの成長率が下がるようだ。
強くなればなるほどに上げるのが難しくなる……もしくは上がったとしてもそんなに上がらない。
だがそれも納得がいく。
強くなれば雀の涙ほどの上昇でも劇的な強さなのだろう。
それは人間の限界を超えるな、ということかもしれない……。
それでもこの痛みでは体力と精神力がけた違いに摩耗していくからどうにかしたい。
そこで初めて手に入れたスキルを見てみた。
ユニークスキルの『魔力操作』は魔力を効率よく扱うことができるが使えば使うほどに熟練度というものが上がるようだ。
同じくユニークスキルの『心眼』は半径5メートル以内の情報を細かくわかるようだ。
残念なのは『心眼』には熟練度など存在せず、半径5メートルというのは変わらないのだ。つまり接近戦でしか使えないので遠距離攻撃には対処しにくいのだ。
そしてスキルは『攻撃予測』『受け流し』『狂化耐性』に『格闘技』が『格闘技・柔』に進化した。
『攻撃予測』相手の動きから攻撃軌道を割り出す。レベルに依存。
『受け流し』相手の攻撃を受け流すことができる。レベルに依存。
『狂化耐性』狂化に耐性。レベルに依存。
『格闘技・柔』相手の力を利用することに長ける格闘技。レベルに依存。
進化があるとは思っていなかったためスキルで試したいことが増えた……が、今はそんなことしている暇はないのだ。
次は称号だ。
『悪魔と呼ばれし子』相手から殺意を向けられた場合にのみ各ステータス補正。
『耐える者』状態異常になりにくくなる。
称号の方が結構強い効果があるようだ。
『悪魔と呼ばれし子』か……
僕は森に入っていく。村には入らずに近くにあった森に痛みに耐えながら入っていく。
誰もいなくなったところでアイテムボックスから『初級魔法の心得』を読む。
治癒魔法を見つけ、それを読み進める……がところどころに知らない単語や言い回しがあってわかりにくく魔法陣を描けたとしても呪文に知らない単語が混じっていて使えない。
そもそも魔法陣と呪文がなくても使えるようにするのが『魔力操作』なのだからそれを利用する。
だが、だ。はっきり言うと治癒魔法というのは危険ではないだろうか?
細胞の活性化を促すのが治癒魔法だろうと思うのだが、加減を間違えると活性化させすぎて細胞を破壊しかねないのではないか?
そう考えると、怖くておいそれと治癒魔法は使えない。
だが、魔法はもともとイメージなのでゆっくりすれば大丈夫……だと思うのだが……。
都合よく生物がこの付近にいるとは思えないし、いたとしても活性化の速度に誤差があっては目も当てられない。
やはり自分の身体で試すしかないようだ。
ゆっくりとイメージする。
『魔力操作』によりゆっくり患部に魔力を注ぎながら『並列思考』により細胞の分裂ではなく増殖をイメージする。
「痛っ!」
内部出血のこと忘れていた。
血をどうするか……。
蒸発させるわけにはいかない……皮膚を切って血を抜くのが一番なのだが切れるものは持っていないし魔法でそんなことできるはずもない。
痛みに悶えながら必死で考える。
血を血管に戻してはどうだろうか?
いや、たぶんそれは危険な行為だろう。
では血を別の物質に変えるのはどうだろう?
……『土魔法』である錬金はあったが錬金はとても難易度が高かったはずだ……。
しかし難易度が高いとはいえ少しならばできるのではないだろうか?
『初級魔法の心得』に錬金のことは書いてあったので可能だろう。それにこの本には魔法陣と呪文のやり方であり、たぶん魔力の大きさがものをいうのだろう。それならばまだ少ししかない僕の魔力でもできるだろう。
僕がやるのは細胞を変えるのではなく皮膚に穴をあけることだった。
錬金は原子を変える技だ。ならば原子、または分子を動かすのはそれよりも簡単なはずだ……と思う。
皮膚の細胞を動かして穴をあけ、中の血を抜く。そして抜いたそばから細胞を増殖する。
そこまで考えて、怖くなる。
僕はもともと怪我なんてほとんどしなかった。それは前世での話だ。
でも僕はその身体を治癒という名の修理をしている。
つまり僕は僕の身体を好きに改造できるのだ。
「ははは……悪魔と呼ばれてもおかしくない……」
僕は乾いた笑いとともに自嘲した。
でも、
「悪魔でもいいさ。人を救えるのなら……だが、だが! お前らだけは許さん! 母上の恨みだけは絶対に晴らす!」
僕は修理を終え、脳裏に描くクズを思い浮かべる。
顔にある内部出血をみるためになんら違和感を抱くことなく『水魔法』を使い、空気中の水素と酸素を結合させて水を作り、水の鏡を作った。
僕の眼は荒み、光がなくなっていた。