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game start!!

またまた遅れて申し訳ありません。

もう少しで完結になると思います。

行き当たりばったりで申し訳ありません。


 ――天界――



「戦線を維持しろ!! 何としても神々の門に近づけるな!!」



 今現在、天界は三体の天終七大美徳と数万を超える欠陥天使に攻められていた。

 欠陥天使とは天終フィーニア序列一位リブエルガが神の技術を盗み創った存在。

 天使にして天使に非ず。

 意思は存在する。しかしその意思に自由はなく、ただ思考する機械と同じだった。

 しかしその欠陥天使に彼ら本当の天使はなすすべなく殺され、いや、消滅していく。

 本来、天使に死の概念はなく、消滅もしない。

 しかし欠陥天使は、その主であるリブエルガは独特の概念を持つことによりそれらを可能としていた。

 概念を創るということは神になったも等しいということに彼らは気づかない。

 いや、気づいてもなすすべなどない。

 天終――彼らは正しく天を終わらせる。



 ――魔界――



「汝が魔王か?」

「イカニモ」



 そこにいたのはナナシ……いや、今はバアル・ゼブルだ。

 彼は魔界の民を殺し、喰らい、魔王の間へと辿りついた。

 魔王は震えている。

 怖いのではない。

 武者震いであった。



「前戯ハコレマデダ。サァ、殺シ合オウゾ!! 名モナキ器ヲ持ツ魔終七大罪筆頭悪魔バアル・ゼブルヨ!!」



 それに彼は笑う、哂う、嗤う。

 やっと喰らえると、この器に入り数多の憎しみを喰らった。

 喰らったものはすべて憎しみに変換した。

 そして彼はその分だけ強くなる。

 憎しみを糧に強くなる復讐者・・・のように。

 ただ、ただ悪魔の本能、欲に従順であり、彼は【暴食】の悪魔。

 彼の本能はただ喰らうこと。

 そして彼は魔を終わらせても消えることなど微塵も考えていなかった。

 そのために憑代を選び、器を手に入れたのだから。

 彼の欲望は果てしなく暗く、深く、黒かった。

 それは……魔を喰らうだけでは足りないと思うほどに……。



「ん?」



 魔王は容赦なく的確に彼の臓腑を抉ろうと貫手を音を置き去りにするほどの速さで繰り出す。

 それは安易にバアル・ゼブルの鳩尾を抉り取った。



「ゴフッ」

「クハハハ、身体ガ人間デハソコマデ弱イカ」



 魔王は嘲笑するかのように口に笑みを浮かべる。

 その笑みは見る者が見れば恐怖に陥り、何も考えられずに精神を壊すであろう。

 しかし、



 ガシッ!



「捕まえた」

「ナニ?」



 魔王にしてみれば人間など非力でしかなくいつでも振り払える――そう思っていた。



「動カナイダト!?」

「フハハハ!! 不思議か? 我は喰らうのだ。身体も、力も、存在も、魂もな。我はいわば【喰らう】という概念そのものなのだよ。汝の【意思】は喰らった。流石は魔王であるな、動きを止めるだけとは、な。だがこれが汝を喰らう」



 バアル・ゼブルは口を開けた。

 口内が見えるはずのそれは、闇が広がっていた。

 何も感じず、何も見えず、何も触れることのない闇。

 何もなく、何者も居らず、胃のようにただただ存在を消化させられていく。

 それは恐怖を魔王にもたらした。

 バアル・ゼブルはその闇を、魔王を喰らう牙を、頭に向けた。



「ヤ、ヤメ――」



 ガキュン!!



 口は閉じられた。

 そこにあるのは頭のない魔王の死体。

 硬直した後、そのまま死体は倒れピクピクと痙攣をした後動かなくなり、一人残ったバアル・ゼブルは咀嚼するように口を動かした後、魔王の知識、力をすべて手に入れ、そして彼はそのままつぶやいた。



「面白いことを考えるじゃないか……」



 魔王はリブエルガと連絡を取り、その計画を話す。

 リブエルガの方も天終が一人消滅されたとはいえ、神々を滅ぼすことに成功したと報告した。

 そしてそのまま残ったもう一人は消滅しリブエルガは神の亡骸をバアル・ゼブルを媒介として喰らい、受肉した。

 そして彼らは舞台を整えるために人間界へと赴いた。



「どうすればいい?」



 ナナシは聞いた。

 精神は閉じ込められた。

 神でもそれを解くのは難しいとのこと。

 そして目の前の神はナナシが存在していた場所の神ではなく、他世界の神なので干渉することもできないとか。

 ただ間接的な干渉はできるので伝手で精神を融合させて疑似的な人間にすることができるという。

 これは精霊を融合させて肉体を持つ存在へと昇華させることに等しいので普通ならできないが存在進化ランクアップの概念を持つ自分ならば可能だということ。

 そして……。



「本当に……いいのか」

「ええっていうてるやろ。子は親に甘えるのがええんや。お前、結構我慢してたやろ? こうやって甘えられて、最後に残せることができて悔いなんてないわ」



 そう、精神を融合させるにも適正があって、それは血のつながりが濃いほどいいということだった。

 そこで、親父が立候補したってわけだ。

 


「そうか……じゃあ、神様、頼む」



 泣きそうになるのをこらえて彼は言う。



「じゃあ、お別れや」

「…………」

「泣くなや」

「……泣いて、ない」



 せっかくまた出会えて、また話せて、また、またぬくもりに触れることができたのに……。

 でも、まだあの世界に残したことがある。

 それをおろそかにすることなんてできそうにないこの性分を憎いが誇りでもある。

 これが俺だって、これが、あなたの息子ですって胸張れるように。

 笑顔で、笑、顔で……っ!



「お前の親父はずっとお前を見守っとる。だから安心して行って来い!」



 背中をたたかれてまた涙があふれる。



「今度こそお別れや」



 親父は光の粒子になり、そのままに吸収された。



存在進化ランクアップ

【半心半天→|異なる個《different one》】



 そして昇華される。

 神が創りたもうた異なる個。

 それが私。

 翼は不要。

 なくても飛べるから。

 五感も不要。

 なくともわかるから。

 作り出すは至高にして最悪。



「さぁ、ゲームを始めよう」



 バアル・ゼブルは言った。



「天も神も悪魔もいないこの世界で我に抗ってみせよ人間。我は最古にして最後の悪魔。暴食の悪魔、バアル・ゼブルなり!! 今ここに宣言しよう。我は人間を喰らい、犯し、滅ぼすことを。踊れ、我の掌で。跪く必要などない。我は等しく、平等に喰らい殺してみせよう。クハッ! クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」



 その狂気の笑みは人々全員の脳裏に現れ、恐怖の底へと陥れた。

 そしてさらに言葉を発する。



「手始めに一つ国を滅ぼしておいた」



 バアル・ゼブルが手を振るうと何かが映った。

 黒いなにか……その何かは煙だった。

 そしてその煙が晴れた場所……そこは――



 ――街並みがそのままで赤く彩られた国だった。

 そしてそこには血の川が幾千と流れ、何かの肉片(・・・・・)があちこちに散らばっている姿だった。



「これでお分かりいただけたかな? 愚図のニンゲンどもよ。そしてこれからがゲームだ」



 もう一度手を振るうと国が姿を変えた。

 まるで生き物のように血を吸った建物が土地が動きポツンと一つの階段ができた。

 そしてまたバアル・ゼブルは言う。



「我はこの迷宮、蠱毒の坩堝の最下層で待とうではないか。三か月だ。三か月経つごとに一つの国を滅ぼす。これが我の定めたゲームである。では待つとしようか。クックック」



 そして彼の悪意に満ちた笑い声がずっと人々の中で木霊していたという。

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