反乱
今日二話目です。ご堪能くださいませ。
ナパーム(Napalm)とはナフテン酸 (naphthenic acid) とパルミチン酸 (palmitic acid) のアルミニウム塩 (Aluminum Salts) の略語で、ガソリンやジェット燃料などの石油類と混合するとゼリー状にゲル化する性質を持った増粘剤である「ナパーム剤」のことだ。ナパーム剤というのは俗称であり、正規名称は増粘剤 (Thickener) だ。
だけど、これを使用したゲル化油脂焼夷弾の主原料がナフサとパーム油だったため、ナフサの「ナ」+パーム油の「パーム」で「ナパーム」という説が一般に信じられるようになったということです。これ調べた時はすごいものを開発するなぁとか思ったり、あと別にナパームって言ってもそれにこだわることはない。
ポリスチレン46%にベンゼンが21%、そしてガソリンが33%で疑似ナパーム弾は作れるのだ。
それを錬金、錬金、錬金!!
全部で2000発以上のナパーム弾を作り、夜に俺は単身、敵軍の野営している場所へと時速120キロで飛翔する。
前回はやむおえず全軍で行ったが本来警備などで領地には兵を置いていおくのがふつうだ。
今回は陛下にも警備はしっかりておくように言われたので全軍を置いてきた。
はっきり言って俺はイレギュラーでオーバーテクノロジーの技術さえも持っている。
俺は有利だ。
だが有利であるために狙われることを覚悟せねばならない。
幸いにして俺の私兵は全員とはいかないが忠誠を誓ってくれているので魔法の技術を盗まれる必要もない。あと盗もうとしても無駄に終わる。
なぜなら呪印を付けているからだ。俺の魔法について話せなくなるし呪印には精神攻撃耐性、身体強化などを付け加えているため魔法で脳内をのぞくことも難しい。たとえるなら人間がコンピューターだとしたら俺の呪印はセキリュティーだ。
そんな思考をしていると十分程度で帝国軍が野営している平地のところへと辿りつき、俺は――
一切の容赦なく爆破した。
小声ですら大きく響くこの夜の中、不釣り合いな爆音が鳴り響いた。
それは夜空に波紋すら残すほどにまで音と炎をまき散らした。
俺は飛翔しながら次々と爆撃をしていく。
もう地上は阿鼻叫喚の地獄絵図となっている。
爆音は王都に届かなかったものの爆撃による閃光や明かりは王都まで届いていた。
今頃陛下は民草たちに問題ないと告げているだろう……。
陛下には夜襲をすると伝えているためそうなることは必然だろう。
「お前たちには恨みしかないのでな」
人間、ニンゲン……俺の復讐する相手だ。
せめて苦しんでいけ。
「ハハハハハハハハハハハハハ!!」
そこで俺に叫び声が聞こえた。
「貴様ァアアアアアアアアアアア!! 降りてこいっ!!」
「クックック」
俺はそれを聞かずに、爆撃した。
およそ一時間にわたる爆撃により17万近くを殺し尽くした。
そのまま俺は王都へと帰り、何気ない顔で王城の一部屋で眠りについた。
翌日。
王都は騒ぎになっていた。
騒ぎと言ってもマイナスではない。プラスの意味で騒いでいたのだ。
『帝国兵惨敗』
これが今日の噂の原因だ。
俺の予想は的中し、爆裂の光やら明るい炎の色などが見えていたらしい。
それで陛下がこれ幸いにと噂を積極的に広めていった。
『ナナシ子爵が一人で帝国軍を撃退した』
まぁ一人でとかは尾ひれがついていると思われているが、中には信じている人もいる。
ちなみに俺の領地ではナナシ様ならやってくれるとなんだかむず痒い期待とともに応援のメッセージがアエリアたちから寄せられた。
……ついでに帰ったら話があるとも……。
十中八九ミルだよなぁ……。
そして俺は謁見にて敵将の首を陛下にささげた。
やけどでところどころわからなくなっているが兜が敵将の者だったので貴族どもは信じたくないけど信じるしかないといった感じだった。
「報告を聞こう、ナナシ子爵」
「っは。私、ナナシは帝国軍17万以上の損害を与え、撃退に成功しました。これが敵将の首にございます」
「うむ、これらの功績をもってナナシ子爵をナナシ侯爵へと陞爵と――」
「た、大変です陛下!」
そこに衛兵があわただしく駆け寄ってきた。
「何事か」
「っは。コルパニオン侯爵以下十数名が反乱を起こしました!!」
ざわめく貴族たち。
どうやらコルパニオン侯爵たちは仮病を使っていたらしい。
「数は?」
「25000です……」
さらにざわめく人々。
「静まれ!」
王の一言で全員が一斉に静まる。
心なしか全員が精悍な顔つきになっているように見える。
「レヴァンディ今すぐにどれだけ兵を動かせる?」
「っは。10000程度かと」
「よい。すぐに出発させ民を最優先に避難させろ。」
「っは」
「よし、ナナシ侯爵、おぬしも出てもらうがよいな?」
「っは、身命にかえましても」
「ナナシ侯爵を筆頭にこの反乱を鎮めてみせよ」
「「っは」」
俺とレヴァンディは同時に声をだし、ひそかに目を合わせる。
あぁ、こいつは俺とは違うな。
こいつの眼は綺麗でもう正に染まり切っている。
俺とは相いれない。
だって俺は復讐者。
正でも悪でもなく、ただ己が道を行く。
フクシュウシャの道だ。
俺とレヴァンディは市街地にて二人で立っている。
そこだけみれば何気ない日常一コマとして通用しそうな風景だ。
「お前は……どうしてそんなにも眼が昏い」
「どうして……ねえ。あなたには関係がないことさ」
そう関係がないんだ。
無駄な関係など築くつもりもなければ作ることもない。
ただ、殺す。
今はそれだけを考えろ。
コロシテヤル……全部、ゼンブだ!!
俺は復讐の憎悪をその眼に宿らせ、すべての負の感情を相手に向けた。
この場合の相手は――
「やあ、昨日ぶりですね反逆者様ども」
コルパニオン侯爵どもいか数名の貴族だ。
「我々は革命を行う者だ。今こそこの国に新しい風を吹き入れねばならない! おぬしらはそのための礎となれぃ!! 者どもかかれぇええええええええええええええええええ!!!」
『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
「ここから先は通さぬ。通りたくば私を倒してから行くのだな!」
そういってレヴァンディは西洋の大剣を構えた。
「…………」
「臆したか! 小僧!!」
「うるさいな」
近づいてきた相手に俺は手で銃の形を作り、言った。
「Bang!」
瞬間相手の頭が破裂した。
「止まっていいのかな?」
俺は次々と殺していく。
使うのはただ圧縮した風の球、『螺旋槍』だ。
もちろん貫通するので敵が集まっている中では無類の強さを誇る。
距離が近づいたら今度はアイテムボックスから黒い双剣を出し応戦する。
相手の唐竹割を受け流し、腹を裂き、その身体を蹴飛ばす。
横から槍で横腹を狙われるが俺は少しずれてその場で回転。俺のすぐ横を槍が通るが俺は回転の威力のままに相手の喉を切り裂く。
次は何本もの槍で突こうとして俺はバックステップでかわし、加速。
地面につこうかというくらいに姿勢を低くした状態で双剣を鋏のようにして相手の腹を切り裂き、舞を舞うように俺は鮮やかに、そして止まらず殺し続ける。
止まらない、止まらない。
加速していく。
さらに加速。
悲鳴が耳朶を打つが構わない。
そこで魔法も織り交ぜる。
さらに地獄絵図になりかわる。
『天歩』を駆使して三次元の動きも加えていく。
さらに加速、加速、加速。
もう誰も俺の眼には映らない。
止まらない、止まらない、止まらない。
筋肉が悲鳴を上げる。
これ以上は無理だと鳴き叫ぶ。
だが無視して加速。
さらに加速。
頭を切断され死ぬ。
上半身と下半身にわかれ死ぬ。
心臓をひと月にされて死ぬ。
首を刎ねられ死ぬ。
酸素を抜かれ、苦しみながら死ぬ。
逆に酸素を与えられ、血を吹き出しながら死ぬ。
体中の水分という水分を蒸発される痛みでショック死する。
サァ、モットダ。
敵ハ一杯イルンダカラ。
「喰らえ、魔霊王貴」
その瞬間俺の身体に異変が起こる。
感想待っています。




