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内政1

 今日は調子がいいのかな?

 続けて二話目です。

 微睡から目覚めると身体が重かった……これが金縛りか! と驚いていたら人為的なものだったことが判明。

 右:アエリア。

 左:セリル。

 上:ネスア。


 な、何が起こったんだ?

 なぜ俺はこんな状況に陥っているのだろう?

 昨日は何もなかった。うん。ネスアたちが裸であろうと俺は何もしていない。

 八歳だぞ? まだ精通していないんだぞ?

 やるわけねえだろうが!

 いや、そうであってくれ!

 覚えていないとか洒落にならん!

 というより頼むから俺の息子ぉお! おっきしないでくれよ!



 眼をつむる。

 声をかけることもできない。

 頼む! 誰かこの状況を打破してくれ!



「旦那様。おはようございます」



「セバスぅうううう(小声) 助けてぇえええええええええ(小声で叫ぶ)!」



「では失礼して」



 そういうとセバスは毛布を俺らにかけた。



「準備は私どもでやりますのでどうぞお楽しみください」



「ち、ちがっ――」



 バタン。



 うぉおおおおおおおおおお!



「んぁ」



 ネスアが色っぽいぃいいいい。

 アエリアが俺の腕を足に絡ませる。

 セリルがその豊満な胸を俺の腕に押し付ける。



 わざとやってんですかぁああああああああああああああああ!!??



 それから地獄が5分続いた。

 息子がおっきしてネスアがおきちゃったんだ……。

 ごめん、我慢しきれなかったよ。

 そんな声が息子から聞こえてきた気がした。



 どうにかこうにか彼女たちを宥めて、ついでに息子も宥めて仕事に取り掛かる。



 アエリアやセリル、ネスアとメイドにセバスは炊き出しや清掃業の指示などだ。

 サボる人がいないかどうかは連帯責任という制度と、街中を警備しながらサボっていないかを確認するための人たちも用意した。ごみ捨て場を土魔法で未開拓地の森のはずれに作りそこに糞尿を、その他瓦礫などは広場に集めてもらうことにした。

 鉄などがあった場合はこちらで買い取らせてもらうことにしてもらい、俺は単身未開拓の森にいった。



 俺は練技スキル水流の『円閃サークルスラッシュ壱之型いちのかた独楽こま】』を使い木々を斬っていく。

 生態系を破壊するつもりはないがここの森は大きすぎるのだ。一部だけ残し、あとは全部切ってアイテムボックスに入れた。



 魔物は執事猿モンキーバトラー女中猿モンキーメード、さらには兵猿モンキーソルジャー主猿モンキーマスターもいた。

 あとはベア赤熊レッドベア黒熊ブラックベア

 珍しいのは御霊スピリット・オブ・ザ・デッドだ。

 これはこの世界では英霊とも呼ばれ、教会まで連れて行くことが推奨されている。

 だが俺はこの御霊について俺の糧にできないかと思った。

 俺の魔神能力デビルアビリティ魔霊王貴バアル・ゼブルは魂を喰らい、糧とするのだから。



〈出てこい魔霊王貴バアル・ゼブル



 身体から黒い靄が出てきてその御霊を喰らい始めた。

 御霊は抵抗していたようだが俺が力を込めるとその魂を黒く染め上げていった。



 この魂は見たことがあった。

 迷宮ダンジョンで見た魂だ。

 あのスライムの魂ととても似ている。



荒御霊アラミタマ



【魂の根源を取得しました。これより魂の融合を行います】



 魂が修復されていく。

 餓えた魂が歓喜の叫びをあげているのがわかる。



【システムからのメッセージがあります】



 何? システムからのメッセージってなんだ?



【初めまして、私はあなたのシステムです】



 システム……?



【はい。練技スキル獲得時に流れるテロップと音声は私です】



 なるほど……でもなんで今になって俺に話しかけてきたんだ?



容量キャパが足りなかったのです。今回、あなたが荒御霊アラミタマと名付けた魂により容量キャパが上がり、私という意思をシステムに潜り込ませることができました】



 容量キャパ……ね。容量キャパとは本来何に使われているんだ?



【本来は成長のためです。練技スキル能力アビリティ、各ステータス、寿命などです。本来はレベルや本人の資質に応じて強さは決まるものではありますがあなたの大罪シリーズの【暴食ベルゼブブ】の進化形【魔霊王貴バアル・ゼブル】により魂の容量を無限に近い形で増やすことができます。成長すれば神さえ殺せるでしょう】



 そうか……神さえ殺せるか……。

 その理屈で言えばエルフやドワーフ、獣人たちは人間よりも魂の容量は大きいのか?



【いえ、エルフにもドワーフにも獣人にもメリットがあればデメリットもあります。エルフは身体能力を犠牲に器用さと魔力の高さを、ドワーフは身長を犠牲に身体能力と器用さを、獣人は寿命を犠牲に身体能力と感覚など、デメリットもあればメリットがあるのです】



 そういうことか……。生まれながらにして魂の容量はほとんど同じか……。



【はい。資質として優れているのは天才などとうたわれている方たちです。最上級が勇者と呼ばれています】



 ……

 …………

 ………………あのさ、資質って性格とか関係ないの?



【関係ないとは言えませんがナナシ様が討伐されました勇者は伸び代が期待されての勇者だったのでしょう】



 そっか……。



 時間が迫ってきたな……魔物の数は……326体も!?

 うーわーこれってどのくらいの金になるのだろうなぁ……まぁ、開拓できて魔物の素材で金ももらえるから俺にとって冒険者っておいしい仕事だな、うん。



 冒険者ギルドに入ると、少しざわついていた。



『あれがここの領主になったっていう……』

『なんかよくわかんねえことしてるみたいだぜ』

『あら、かわいいわね』



 ……やっぱり清掃業の概念はないのかな?



「すみません魔物の素材を買い取ってほしいのですが」



 俺は少し広い場所に移動してもらって魔物の死体をアイテムボックスから出した。



「え、えと、326体……す、すみませんが少しお待ちください。査定に少々お時間をとらせてしまいます、申し訳ありません!」



 やっぱり貴族って嫌なイメージしかないのかな……。



「構いませんよ」



 それから少しして、



「ナナシ様」



 なんか秘書っぽい人きたー。



「はい、なんでしょうか?」



「金額が金額なのでギルド長の部屋へとお越しいただけませんか?」



「はい、わかりました」



 ギルド長の部屋は……なんというか物々しいというかなんというか、ドラゴンの剥製があったり、大きな大剣やら全身甲冑の鎧などがあって、どう見ても狩人の部屋だろうここは。



「おう、お前さんが騎士爵になった領主様かい?」



 そこには体長2m以上はある人がいた。鍛え上げられた筋肉は華麗ともいえる芸術だった。



「ギルド長!?」



 秘書さんが悲鳴に近い声を上げる。

 まぁ、元平民とはいえ今は貴族だもんな……。



「大丈夫ですよ。あまり公の場ではその言葉づかいは改めてもらいたいけど今の私は冒険者としてここにいるのですから」



「わかってんじゃねえか! ガハハハハハ! あ~っと、俺はアルマ、ここハウンメナスの冒険者ギルドの長だ」



「私はナナシ。騎士爵とハウンメナスの領主を叙任しました。冒険者ランクはFですけど」



主猿モンキーマスターを倒すほどの男がFランクってなんかの冗談だろ? 一応Bランクまで上げといていいか? いいよな? うん決定」



 ま、マイペースというか強引というか……。まぁランクはあって困るもんじゃないしね……というよりも貴族で冒険者続けられるのがうれしいねえ。そこんところ聞いてみた。



「貴族の子供なんかがよく来るんだよ箔をつけにな。自分の力でもねえくせに威張り散らしやがる。だから貴族が冒険者をやるなんて別にいいんだよ。ギルドは基本中立だから坊ちゃんが死んでも責任なんざとらねえしな」



 その言葉に俺は苦笑するしかない。



「ああ、報酬な。白金貨1枚と金貨60枚、銀貨は39枚で銅貨が18枚っと。こんな大金一日で稼ぐなんざどうかしているなおい」



「た、高いですね……」



「そりゃな主猿マスターモンキーだけで10体だぞ? 未開地ってのは宝の山だなおい」



「そうですか……ああ、近いうちに冒険者ギルドに依頼を出すことになります」



「そうか。じゃあそん時を楽しみに待っとくぜ」



「ええ、では失礼しました」



 街は一日ではそんなにだったけれどまだまだこれからだ。

 金も手に入ったし清掃業者の次の場合も考えていかないと……。

 やることはたくさんある。

 やるだけやる。反省はするけど後悔なんて二の次!

 やらなくて後悔するよりもやって後悔するほうがいいのだから。

 さて、もう一丁頑張りますか!

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