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健康法です

初めてお気に入りされました!

とてもうれしいです。

精進するのでこれからもよろしくお願いします!

 小屋に戻るとベッドに座り、『健康法』から見ていく。『初級魔法の心得』も心惹かれるけれど健康法からだ。文明は中世ヨーロッパレベルなのだ。健康には特に気をつけたほうがいいのは当たり前……だよね?

 ……

 …………

 と、とにかく読み進めていく。


 

 目次があって全部で三つあった。

『パターン1、魔力循環』

『パターン2、気力循環』

『パターン3、心力循環』



 こ、これは予想外だった。てっきり気を付けねばならない事柄とか、よくて乾布摩擦とかそんな感じかと思ったのに……でもこれは掘り出し物かもしれない。この世界では常識かもしれないけれど三つの力があることがわかったのだから。

 順番に読み進める。




『初めに:魔力・気力を感じよう! 魔力、気力はここから始めます。身体のどこか、大抵は心の臓に意識を集中させます。魔力は人によっては感じ方が違います。例としては暖かい、冷たいなど。なお、どこに集中させるかによって魔力の働きが違うという説がありますが現在は魔方陣に呪文の使い方が楽だと思われているために魔力を操作する者はほとんどいません。気力は万人が同じ感じ方です。まるで世界とつながったかのよう、ただそれは世界そのものではなく簡単に言えば大陸、自然、石、土や木などとつながった……一体感を味わったというものです。気力は長い年月をかけて精練された心身という考え方が根付いていますが私は一つの仮説を立てました』



 結構長いけど何が役に立つかはわからない。あと文字は母が読んでくれた絵本の記憶から読めるようになっていた。書くものがないので文字を書くことはできないが母に褒めてもらおうと2歳の自分は必至で文字をなぞって覚えていた。それが僕の体験として根付いているのだ。母と、幼き僕に感謝と謝罪をした。謝罪についてはもう一人の自分を殺したも同然だったから……なのだから。

 ともあれ書く方はたぶん何とかなりそうではある……が何かしらの手段で練習する必要はありそうだ。

 続きを読み進める。



『気力は自然に力を貸してもらう……つまり精霊をその身に宿らせるのではないのか? という仮説です。精霊と同調するために心身を鍛えねばならない……そう考えると納得がいきました。なおこれは仮説であり、実証も何もできないため仮説の域を出ません』



 ふむ……気力はともかくとして魔力を感じようとする。そして考える。どこに魔力をためるかである。普通に考えようものならばそこに魔力が集中するために集めやすい場所……それは利き手や利き足である。だがなぜ心臓に集中させるのか? それは動きをよくするためじゃないかと僕はにらんでいる。心臓をコントロールできれば血の巡りを早くすることも出血を抑えることもできそうなのだ。だが……一つだけ懸念がある。それは無理な動きで臓器に負荷をかけないかどうかだ。


 

 僕は少し流し読みして目的のページを見つける。

 魔力を使う人の死にやすさ、というものだ。



『魔力を使う人は特徴としてDEXやVITが低く、肌が青白い。新たに魔法を使う戦士などを作ろうとしていたが断念した。どうしても作れないのだ。魔力をどの臓器に集中させても得られる結果は同じだった、一部では肌の色は普通だったことも判明したがそれ以上はわからなくなってしまった。結局魔方陣と呪文を使うやり方が主流になってしまったことにより、研究を断念するしかなかった』



 ビンゴだ! DEXやVITが低いのは臓器に負荷をかけているからであり、青白いのはたぶん心臓の負荷による血液の少なさによるものだと思う。つまり、臓器に魔力をためるのがいけないのであり……いや、待て。



 僕は『初級魔法の心得』を流し読みしてみた。

 あった。スキルにあったからもしかしたらと思ったが、あった。



 『身体強化』:身体全体に魔力を満たすことで、底力をあげる。



 つまり……身体全体に魔力をいきわたらせる……身体を一つの臓器だと思えばいいのではないか? 魔力を心臓に集中させるとしても心臓と定義するにはどこまでが適切なのか……それこそ十人がれば十人が違うのではないか? そう考えてくると細胞一つ一つが魔力の袋だという認識になる。危険ではあるがそれを試してみる価値はある。虎穴入らずんば虎子を得ず。



「……やるか」



 禅を組む。

 身体を袋だと思え! 知覚しろ! 細胞一つ一つを感じろ!

 僕には知識がある! 細胞という存在を知っているのだ!

 

 

 皮膚から虫が這うようにして何かが包んでいく。だが僕は身じろぎひとつしない。

 集中を途切れさせると魔力暴走を起こして死ぬ可能性もあるのだ。

 集中、皮膚を虫が間断なく包み込んでいく。やがて中にも浸透していく。皮下脂肪や血管、筋肉に骨。口からも侵入される。気持ち悪い、舌や喉、胃がすべてを吐きだして楽になってしまえとささやきかける。悪魔じゃないのだ。あくまで僕の体がそうささやきかける。舌や喉、胃がひくひくと痙攣する。それでも僕は集中する。

 


 死ぬなんて嫌だ!

 その想いがさらに集中力を高める。

 約5割が30分経って満たされた。

 集中力が削れる。



「おい! お前!」


 

 くそが! タイミング悪すぎるだろうが!

 悪態もつきたくなる。もう八割なのだ。それなのにこいつはさっきからうるさいのだ。いつも昼から来てたくせに今日に限って朝早くに起きたらしい。養豚場にいっとけよこの豚兄貴が。

 そう、さっきからうるさいのは僕の4つ上の兄であるクレント・サイレストだ。外見はもう豚だ。オークの方がマシなんじゃないかってくらい醜悪なゴブリン面に似合わない銀髪。



「聞けよ!」



 殴られた。途切れそうになるぎりぎりのところで集中力をかき集めた。

【スキル:『打撃耐性』を取得しました】

 9割5分が終わった。怒りのせいでかき集めた集中力はさっきの何倍もいった。

【スキル:『集中』を取得しました】

 今はその表示すら無視だ。さらに集中力が増した。

【スキル:『並列思考』を取得しました】

 さらに集中しながら豚兄貴の攻撃を避け始める。

【スキル:『ステップ』を取得しました】

 『ステップ』を駆使しながら紙一重に避けて、足払いをかける。

 豚は思いっきり転がった。

【スキル:『見切り』を取得しました】

【スキル:『格闘技』を取得しました】

 そして魔力が身体に満ちた

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