意外な展開
遅くなって申し訳ありません……!!
鬱にはまり、書く気力もわかず、さらに何を書けばいいのかスランプ状態に陥ってしまいました……。
実は今回の話もいい出来とは……。
それを決めるのは読者の皆様なのでどんどん批判してください!!
「本当……か?」
サリエス冒険者ギルドマスター、エネルは報告された内容が信じられなかった。
子供が、魔物を殺戮していたなどと。
それもその様子が問題であった。
「泣きながら笑っていた……?」
老いはしたが、その眼は強者のそれであり、報告に来た今回の緊急依頼のリーダーを射抜く。
「は、はい。泣きながら笑い、そして殺していました。武器は……片手剣に双剣、弓矢、斧、短剣、そして……素手です」
いくらギルドマスターをしていたって混乱する。
子供ながらにほとんどの武器を使いこなす。
本当ならば天賦の才だ。だが嘘ではないのだろう、多くの冒険者がそれを見ている。
魔人……ではない。
魔人ならば魔物を使役する立場にあり、決して殺そうなどと酔狂な真似をするはずがない。
「その子供は?」
「……抵抗もなく衛兵にとらえられました」
「ふむ……」
掛け合うか……?
はっきり言って最近魔物の数が多く、冒険者が多すぎても困ることはないのだ。
冒険者ギルドにも歴史があり、過去にもその子供並に強い者など腐るほどいた。
天賦の才は10万人に1人と言われ、今でも少年のほかに3人いる。
少年の力はすごいが人のうちにはまる力だ。
ただ武器を使い、魔物を殺したのだから。
老いた今の自分では同じことは無理だが全盛期ならばなんとかなっただろう。
その点から見れば必要以上に恐れる必要はない。
「王宮の対応次第だな……」
◇
俺は衛兵にとらえられて王宮に行った。
当たり前だと思う。
あんな場面を見られたのだから……。
そして今、身体を清められている……メイドに。
いや、待とうよ。
俺って普通に不審人物だよね?
血だらけだよね?
何で国賓みたいに丁寧に清められているの?
ていうか恥ずかしすぎるんだけど!
「あ、あの」
俺は勇気を出して言った。
「何でしょうか?」
メイドの一人が俺の身体を清めながら問う。
「な、何でこんなに待遇がいいのでしょうか……?」
「それは陛下からお話があるので私からは申し上げられません」
「えっと……自分で清められますので……」
「なりません」
笑顔で言ってくれやがりました。
気のせいか三人の美人メイドは顔が上気しています……そっち系ですか!?
こ、怖いです。
「うふふふ」
全身から汗が流れます。
どうしましょう……。
なんだか食われるような気がします……性的に。
俺の身体はそれなりに鍛えられているし、それなりだとは自負しているけど、何もこんな時に発揮しなくてもいいのに……。
食われまいと頑張って、やっと……やっと王様の前に出されました……。
もうやだ……だってメイドさんたち俺の前でむちゃくちゃ見せてくるし……刺激されるし……いくら子供でも男だからってやりすぎです……。
俺はまず断っておいた。
「陛下、申し訳ありませんが礼儀を知らぬ身ゆえ無礼な振る舞いがあるやもしれませんがお許しください」
そう言って俺は頭を下げる。
はっきり言って人間は復讐の対象でもある。
ただ……ただ母上が人間だったから、母上のような人もいるかもしれないから……まだ希望なのだろう。
「よいよい。して、おぬしをとらえた理由じゃが……森にいた魔物たちを殺し尽くした、というのは真かのう?」
「はい」
「ふむ……にわかには信じがたいが衛兵ら全員がそういうのであればそうなのだろうな……。おぬし、何か望みはあるかのう?」
「え……?」
「おぬしは森の脅威を取り除いてくれたのだからそれに報いるのは当たり前であろう?」
困った……。今ほしいものは失った武器くらいのものだけど金はあるし……力付けるためにもここにとどまるわけにはいかないので家なども却下。いらないなんてのははっきり言って失礼に値する。となれば……
「では、私を鍛えてもらえないでしょうか」
「おぬしを? 森を殺し尽くすほどの猛者を鍛えられるほどの者は……」
「いえ、鍛えるといっても武だけではございません。学も鍛えてもらいたいのです」
「そうか。じゃがそれだけでは足りない。おぬしに騎士爵の爵位を与える。むろん領地も与える」
そ、それは困る。
「へ、陛下。お言葉ですが私は武者修行の旅に出た身で……」
「わかっておる。おぬしを鍛える間だけでもよい。領地を治めてもらいたいのじゃ。むろん無理だったならばすぐに返してもよい。じゃが領地経営や民との暮らし、権力者の強さなどを知るのも鍛えることになるであろう?」
む……そうきたか……。
逃げる……無理だな。
「謹んで拝命いたします」
「うむ! 今日は宴じゃ! 新たな英雄、ナナシ騎士爵の誕生にな!!」
「オオッ!!」
皆が笑顔……じゃなかった。貴族連中があまりいい顔していない。
宴が開かれ、俺は【正常化】を発動させていた。
主役の俺が壁際でワインを飲んでいるだけなのをごまかしていた。
「……ナナシ……様?」
ネスアが俺に話しかけてきた。
俺は苦笑して、
「ナナシでいいよ。どうしたのかな?」
「……私たち……雇ってほしい」
「私たちって……セリルとアエリアも?」
「……うん」
う~ん……この近くの森では冒険者稼業ができなくなってしまったからなぁ……それに責任はとるって決めたし……
「わかった。俺と一緒においで」
そう言うとネスアは顔を赤くしてしまった……
「……必要?」
「な、何が?」
なぜかネスアが怖く見える。
「……夜伽」
「は……?」
えっと……俺の聞き間違いじゃなかったら……夜伽って聞こえたんだけど。
「えっと……俺は強要なんてしな――」
「……した方がいい」
「――いってはいぃ!?」
「……貴族だから」
「いやいやいや、貴族だからってそんなことはしないって!」
「……私じゃ嫌?」
「な、なんでそうなるの? い、いや、ネスアは美少女だし、そりゃ俺だって……じゃなくて! そういうのは好きな相手と……それに俺はまだ……してないし」
「……何?」
「……していないんだよ……精通」
「……魔術でどうにかするから大丈夫」
「魔術の無駄使いだよ!? ど、どうしてそこまで?」
「…………………………………ぅん。言わなきゃ……ダメ?」
真っ赤な顔がとっても可愛らしい……恥じているようだ。
「嫌じゃなかったら聞かせてほしいな」
「……鈍感」
「えっと……そういうこと?」
そこまで言われたら俺としても納得せざるを得ないけど……なぜ?
言ってみたら俺は8歳の子供だし……。
「……あなたは私たちのヒーローだから」
「…………」
グラリと視界が揺れた気がした。
ヒーロー?
俺が?
自己満足の復讐者でしかない俺が?
俺は、オレハ、復讐者、フクシュウシャ、
「俺は……ただの……」
なんて言う?
ただの自己満足だって言ってそれで納得する?
復讐者だって言って同情してもらう?
……お笑い種だ。
それじゃただのニンゲンだ。
俺は復讐者なんだから。
「ネスア。ここにいたか」
「ずいぶん探したよ~。ボクらでどうするか話し合わないといけないじゃん」
俺が何かを応えようとした瞬間アエリアとセリルがこちらに気づいた。
「……聞いてた?」
顔を赤くして、ネスアが聞くと、
「「ばっちり」」
声をそろえて言われましたよ、ええ。
俺とネスアは顔を真っ赤にしてうつむいた。
「むろん、私も一緒だよな?」
「ボクもボクも」
「「……え?」」
……ヒーロー……か。




