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名もなき人間、どの道を歩む?

 うぅ……遅れてすみません……。

 まったく情けない限りです……。

 タイトルを変えたいと思っていますが……大丈夫でしょうか?

 一応、後書きにこんな名前に変えたい! と告げます。

 問題なければそのまま。

 問題ありだ! とおっしゃる方はどうかご一報を。


 俺は身を起こした。



「……転生じゃない……?」



 その姿は前世の俺だった。

 まだ五歳程度の容姿ではあるがそれでも黒い髪に黒い目、そして……



「俺の……傷」



 そこには傷があった。胸にナイフで刺されたような傷が。



「……親は……いない。この世界では正真正銘の天涯孤独……か」



 周りは森だった。

 鬱蒼と生えた木々の隙間から光が差し込み、まだ薄暗い森の中、幻想的な光景を生み出している。

 僕はステータスと念じてみた。



 レベル:1

 種族:人間【進化の可能性】

 年齢:5

 HP 50

 MP 30

 STR 9

 VIT 6

 DEX 10

 AGI 11

 INT 30



 とだけあった。

 【進化の可能性】……進化……できるとして……なにか違うのかな?



 俺は……どうあるべきなのか……。

 神との記憶は残っている。

 そして、二重人格のことも……。



 俺には、善の魂と邪の魂があるという。

 そしてそれは二重人格なのだという。

 今の俺はどっちだ?

 どうしたらいい?

 俺は人間が好きだ、大好きだ。

 そして俺は人間が憎い、憎悪している。



 どうしたらいい?

 俺は、善人も悪人でさえも殺してしまいそうで怖い。

 そしてそんなことを考えている自分に愉悦を感じている。

 狂っている。

 壊れているけど、人間をやめたいわけじゃない。

 


「まず、はこの森から出るか否か」



 俺はまず魔力を感じられるかどうかを確認した。

 問題なく感じられた。

 だが、どうも変な感じがする。

 やはり初期化の影響か……。

 


「とりあえず【索敵サーチ】ができたほうがいい」



 安全を確保するために木の上に上った。

 さすが5歳の体。手の皮がすりむけた。

 木の幹に腰掛け、前と同じく、【索敵サーチ】を発動させた。

 ただ、永続性は持たせられず、前と違って常に魔力が食われるようになってしまった。

 そこで俺は【索敵サーチ】と【探知ソナー】を使い分けるようにした。

 【探知ソナー】は魔素に波の性質を加えその揺れにより動いているものとそうでないものを使い分けるようにできる。

 ただ、これには十分な修練が必要であることを認識する。

 音波の揺れがわかっても反射したりするから揺れが一定ではない。そこらも演算していないといけないが流石に一日でものにしろなどとはできない。

 【原子魔法】は使えなかった。

 何が原因かもわからない。

 ただ、使えないものは使えないと割り切ることにした。

 【探知ソナー】はまだ使えないので魔力は食うけど【索敵サーチ】を使った。

 すると、川が流れているところに家を発見した。



「……誰もいない」



 【索敵サーチ】を使っても中には誰もいない……が、白骨はあった。



 その家を持ち主には悪いと思いながらもあさる。

 そこにあったのはアイテムボックスの代わりになりそうなマジックポーチがあった。

 中身は、



 ・金貨×3 銀貨×18 純銅貨×1 銅貨×30 鉄貨×5

 ・初級ポーション×1 初級マナポーション×1

 ・長剣×3 槍×2 双剣×2セット バトルアックス×5 棍×3 籠手×2セット 魔杖×1 長弓×1 短弓×1 鉄の弓矢×999 石の弓矢×999 木の弓矢×999 メイス×4 大剣×2 短剣×4 スローイングナイフ×10 剥ぎ取り用ナイフ×1 etc.



 残念ながら本の類はなかったが武器がこれでもかというくらいあった。

 全部鉄製だけど切れ味は悪くない。

 ただ……子供の筋力では重い。

 しばらくは短弓と短剣、それに魔杖くらいしか使えないな……。



 そこで暮らして3年経った。

 俺にとってはここは失敗の連続だった。

 短弓は筋力が少ないとは言え初めは弦を引けず、指を切ってばかりいた。

 短剣も片手ならばまだなんとかなるけど両手となると難しくなった。

 魔法は川が近くにあるときだけ水を使い、あとは土と風を使っていた。

 魔物は幸いにも出なかったが逆に野生の動物の狩りが難しく感じた。

 スレイスだったらもっと順応できたのだろうけれど、今は、違う。



 罠を張ることを覚え、相手の弱点などを見抜く目を鍛えた。

 動きにも最初のころの名残は消え、狩人として生活できるほどにまでなっていた。

 火がなくて、肉は生だった。

 初めは体調を崩したりしていた。

 だけど抗体ができたのか今では生で食っても体長は崩さず逆に身体ががっしりとしてきた。典型的な細マッチョである。

 武器も練度に差はあれど――重い武器ほど後になったため――1流とはいかなくとも2流くらいは自負できている。特に短剣と短弓と投擲に関しては1流と言っても過言ではないと思っている。

 


 そして今日、俺は森の主と相対した。



「初めまして、森の主どの。今日はお日柄もよく――」



「グォオオオオオオオ!!」



 あれ? おかしいな……腕が4本に増えている?

 えっと確か普通の2本腕の熊だったはずなんだけど……それになぜか魔力まで発生してますが……?

 表示を見た。



【ワイルドベアー】



 ……

 …………

 勝てる……よね?



 ちなみに今の僕のステータスは、



レベル:5

 種族:人間【進化の可能性】

 年齢:8

 HP 121

 MP 132

 STR 28

 VIT 27

 DEX 38

 AGI 23

 INT 59



 だ。スキルの表示は、



 片手剣術Lv.3(74/100)  投擲Lv.4(24/150)

 短剣術Lv.4(1/150)    気配察知

 大剣術Lv.3(34/100)   弱眼

 双剣術Lv.3(86/100)   隠行

 槍術Lv.3(90/100)    高速演算

 斧術Lv.3(28/100)    水魔法RANK.2

 棒術Lv.4(3/150)     土魔法RANK.3

 弓術L.4(5/150)     風魔法RANK.3

 打術Lv.3(49/100)

 闘術Lv.3(89/100)



 だ。普通がどれだけかわからないがそれなりに強いと自負しているが今の【俺】でどれだけ戦えるかが問題だ。剣術と言っても型とかわからないし水流の型はスキルだったためか覚えていない。できれば誰かに型をご教授願いたいのだが……。

 今は目の前の現実だ。

 相手の体長は目測2.5mでこちらに走ってきている。その速さは大きさに反しとても素早い……動物の中では、だが。魔物の中じゃそれほど速い部類には入らない。

 かといって油断は大敵だ。



 ドクンッ!



「ぐぁ」 



 ああ、くそ!

 魂が暴れている。

 早く喰らえと、魂がほしいと、



「喰らう、から、待て」



 やはり動物よりも魔物の魂の方がいいようだ。

 魂が餓えと歓喜でさらに急かしてくる。



 耐え切れず、俺は走り出した。

 一匹と一人距離はすぐさま縮まり、ワイルドベアーは体当たりをしてきた。

 衝撃を殺すために敵が首を捻り、タイミングよく俺に全体重をかけようとする。

 俺は左手にナイフをもち、小さく地面を蹴った。

 俺の足は上を向き、右手は敵の首を毛皮ごとつかむ。後転と前に突進していく敵の勢いでワイルドベアーの背中にかかと落としがまず入る。

 そのあとに続いて左のひじ打ちがワイルドベアーの首に吸い込まれた。



骨衝点ボル



 首の骨の一つを外すという技を出した。

 これは浸透頸技を使った応用技で相手の鎧などを無視し、なおかつ骨や関節に干渉する技だ。

 むろん骨衝点ボルの強さによりただ揺らすだけや砕くこともできる。

 今回は練度を高めるために外すことに重きをおいた。



【『魂の祝福』が発動しました】



 ずらっと脳裏に表示される。



【ポイント獲得数:3】

【魂による経験値、および解析を行います】

【解析中……解析結果:ワイルドベアーLv18 所持スキル:突進 所持スキル取得可能 Yes/No】



 ……ふむ。今回は実験の意味を込めてYesを意識した。



練技スキル:『突進』を取得しました】



 さっそく試してみた。

 ……まぁ、ないよりましかな?

 ステータスはLv.8になっていた。



 まず前回みたいに勝手に解体されるわけがなく、自分でさばいていく。

 毛皮や、爪などはマジックポーチに入れる。

 肉はもちろん喰らう……っ!



「な、なんだこの味は……!」



 舌に転がした瞬間に臭みのない強い肉の味がして、かみごたえはもちろん食べやすさも追求された一品!! ……まぁ、そんな大層なもんじゃなくてただたんに美味いと言いたかっただけだったりする。



 俺は森の主を倒したらすることを決めていた。

 人里に下りる、と。

 正直、人と会えばどんな気持ちになるか、どんな行動をとるかわからない。

 でも気持ちは一つなのだ。

 会いたい。

 人に会いたい。

 ぬくもりを味わいたい。

 復讐を果たしたい。

 己のエゴだとしても、

 お母さんやフェリが望んでいないのだとしても、

 俺は、気持ちを魂を抑えつけられはしない。

 ただ、会えばわかる。



 その時、女性の悲鳴がした。

 ああ、俺の獲物となるか、それともぬくもりとなるか……相反する魂は混じることなく俺を高みへと押し上げる。



 休むことは許されぬ。

 止まる時、死すものと心得よ。

 慄け! 平伏せ!

 我歩むは覇道か外道か。

 それとも……人間道、か。



 名もなき人間がまた一つ成長していく。

 感情の発露が始まるのはいつか。

 彼は……空っぽだ。

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