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この調子で頑張ります。

 私は気が付いたら起きていた。どうやら本当に転生したらしい……。手を見るとそこには少しだけ成長した身体があった。三歳児くらい……たぶん自我が目覚めたのだろう。そして記憶を思い出す。僕の名前はスレイス。家名はなく騎士爵の妾の子供でとても疎まれている存在なようだ。本当は家名をもらえるはずなのだが名乗ることを禁じられている。母親はもうこの世にいなくて味方は一人もいないようだ……。



 頑張ろう。せっかく転生できたんだから。どうやら剣とか魔法とかあるファンタジーな世界らしいが文明レベルは中世ヨーロッパみたいな感じかな? ここは僕の部屋である物置小屋で屋敷とは少し離れている。



 物置小屋にあるのは僕が乗るだけでギシギシと音を立てるベッドに壁に立てかけてある大きさの違う数々の木剣、そしていくらかの書物だけだった。木剣は誕生日に贈るのが面倒だからという理由で前渡しでもらっている。書物の方は結構役に立ちそうな物ばかりだった。


 あったのは、『魔物図鑑』『植物図鑑』『世界の成り立ち』『初級魔法の心得』『健康法』『冒険者のための書』などなど。たぶん一刻も早く冒険者にでもなんでもなって出ていけと言いたいのだろう。好都合だけれど、それでも心が重くなる。これは甘えだ。前世で家族に愛されていたがために感じる甘えなのだ。この世界では命は軽いと思うし、しっかりと心身を鍛えて頑張ろう。



 僕は屋敷に向かって走った。

【スキル:『ダッシュ』を取得しました】

 


 早っ!? ちょ、ちょっと!?


ステータス

 名前:スレイス

 レベル:1

 種族:人間

 年齢:3

 HP 50

 MP 30

 STR 10

 VIT 10

 DEX 10

 AGI 10

 INT 10

 ユニークスキル:アイテムボックス、ステータス表示、進化の種、ステータス偽装

 スキル:『ダッシュLv.1』

 限定スキル:子供の体

 称号:異世界からの転生者、御使いの恩人


 な、なんか増えている……。と、とりあえずは説明を見てみる。


 アイテムボックス:生物以外の物をそれぞれ×99まで収納できる。

 ステータス表示:自らを表すウィンドウを脳裏に描ける。

 進化の種:???

 ステータス偽装:ステータスを偽装できる。

 『ダッシュ』:AGIに補正。レベルに依存。

 子供の体:成長に補正がかかる12歳まで有効。魔力量もこの間に決まる。

 

 ふむ……手にこぶし大の石を持ってアイテムボックスと念じる。すると手元から消えてアイテムボックスに収まった。脳裏に何が入っているかはわかるようにできているようだ。アイテムボックスはとられる心配がないようでうれしい。

 ステータス表示はそのままだな。コチラの世界でのステータスの調べ方がこれと一緒なのか、それとも特別な手段を用いるのかはわからないので今は誰にも知らせずにいた方がいいだろう。

 進化の種は……わからないな。

 ステータス偽装は役に立ちそうだ。この称号とかは完璧アウトだ。ユニークスキルと称号は全部かくしておく。

 子供の体……か。有効活用させてもらおう!


 異世界からの転生者:成長に補正がかかる。

 御使いの恩人:???


 称号も何らかの効果があるらしい。

 井戸まで『ダッシュ』する。


 パッパッパラ~

 ファ、ファンファーレだ……。


 『ダッシュLv.1』→『ダッシュLv.2』


 さすが、子供の体だ。すぐにレベルが上がる。

 スキルを使うのに何かデメリットがあるかと思ったが、速さは『ダッシュ』の方が速いけれど普通に走る時と息切れの速度とかは同じだ。まだ確実とは言えないがスキルというものはデメリットがない、もしくは少ないのだろう。ユニークスキルに関してはないと思う。


 結局井戸につくまでに『ダッシュ』のレベルは4まで上がった。さすが子供……。驚きがいっぱいで楽しいな。


 息が上がったので深呼吸をする。ゆっくりと鼓動を落ち着かせていく。


【スキル:『呼吸法』を取得しました】


 これって試したらなんでも手に入りそうだな……。説明を見てみると、


『呼吸法』:体力に補正。


 呼吸はプロのスポーツ選手でも大切にしているものだ。詳しくは知らないけれど……。

 井戸まで来たら水をくみ上げる……けれど、お、重いんだ……。僕の行動は屋敷に入らなければほとんど自由なので井戸くらいは使えるのだが……頑張ってロープを引く。

 筋肉が悲鳴を上げる。


【スキル:『痛覚耐性』を取得しました】

【スキル:『身体能力上昇』を取得しました】

【スキル:『怪力』を取得しました】

【スキル:『熱耐性』を取得しました】


 パッパッパラ~

 うん?


 レベル1→レベル2

 HP 50→80

 MP 30→40

 STR 10→25

 VIT 10→25

 DEX 10→20

 AGI 10→30

 INT 10→25


 おお、別に敵を倒さなくてもレベルは上がるんだね。でもばらつきがあるな……たぶんレベル前に何をしていたかによって上がる比率が変わるのだろう。MPやDEXを見ると最低は10上がるみたいだ。でもこれは子供の体と異世界からの転生者があるからの上がり方であり、たぶん普通の人とは違うのだろう。


 『痛覚耐性』:痛みに強くなる。レベルに依存。

 『身体能力上昇』:各ステータスに補正。レベルに依存。

 『怪力』:STRに補正。レベルに依存。

 『熱耐性』:熱に強くなる。レベルに依存。


 『痛覚耐性』はたぶん筋肉が悲鳴を上げたからだろう。

 『身体能力上昇』はなぜ手に入れたのかはわからないがあって困るようなものじゃないし深くは考えないでおこう。

 『怪力』はたぶん重いものを持ち上げたからだろう。

 『熱耐性』は摩擦かな?


 耐性の鍛え方は怖そうだがそうもいっていられないからな……。

 水で口をゆすぎ、顔を洗う。

 そしてふと水面に映る僕を見た。整ってはいると思う。目は少し強気だが鼻は少し高いし髪は肩まで伸びているがそれなりに似合っていると思う。髪と眼の色はよくわからない。少し老けているような気がしないでもない。子供にしては……だが。将来有望そうな子供ってところかな。でも着ている服はボロボロだ。動きやすいからいいのだがとても爵位もちとは言えないな僕の父は。

 父に会ったこのあるのは母の土葬の時だけだ。

 そう……豚だった。醜い豚だった。正妻との間に僕の兄と姉が一人づついる。兄は四つ上で豚といっしょで太っており救いようのないクズだ。姉の容姿は結構なものだ。会ったら挨拶をする程度で味方ではないが敵でもない。僕に興味はあるが父に注意されているようだ。正妻は見てくれはいいが僕を見るたびに罵倒し、時には暴力まで振るう。


 この家には僕の居場所はないのだろう。

 僕は『呼吸法』を使いながら『ダッシュ』を使って小屋まで帰る。


 『呼吸法Lv.1』→『呼吸法Lv.5』

 『ダッシュLv.4』→『ダッシュLv.6』


 『ダッシュ』の速さは五十メートルを八秒台前半で走り抜けるくらい。小学校高学年くらいの速さだ。

 さて……本を読んで知識を蓄えないと……できる限りここにはいたくない。

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