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武の道は険しい……

お待たせしましたぁ!

こちらは感想などをお待ちしています!

 僕がテントに戻ったらマルクさんが口に人差し指を当てていた。

 これは『静かに』のポーズだ。



 中にそっと入ってみると、ティアさんとフルムーンが仲良く寝ていた。

 フルムーンがティアさんを中心に丸まってティアさんはそんなフルムーンにもたれかかって寝ている。

 なんともほほえましい光景ではある。

 本当はマルクさんに武術の指導の許可を頂きたかったのだが、明日にしてもいいだろう。

 それにスキルやアビリティなどの応用、または活用方法などを体にたたき込まねばならない。

 はっきり言って僕は多才ではあるがまだ浅く広くな感じでしかない。

 極めた人との差は歴然だ。3歳児が何を言っているんだと思うかもしれないが僕は本気だ。

 だからこそ己の力を見極め、確かめる。さらには応用するし、そこから派生するスキルやアビリティなどあるかもしれない。そう思うと期待や不安が渦巻いて複雑な心境に気づき苦笑した。

 あの僕がこんな風になるなんて……。

 あと、スキルとアビリティの違いだがいまいちよくわからない。だから今のところは、魔物が使う=アビリティで、人が使う=スキル、という解釈にしている。



 そんなことを考えているうちに眠気が襲いかかってきた。

 僕は大して抵抗せず、そのまま眠りに入った。



 翌朝。深夜を回っていたためか起きたのは7時を回っていた。

 これは地球人にしては少し遅いかな? と思うくらい。

 僕は毎朝5時半には起きていたのでこれは遅い部類に入るのだ。



「スレイス。起きたか」



 マルクさんが声をかけてくる。どうやら僕が起きるのを待ってくれていたようだ。

 何だろう? と思っていると、



「スレイスはどう思っているかはわからないが……昨日のあれは使い方次第では世界を支配できるほどの能力だ。もちろんスレイスがそんなことするとは思わない。お前は聡い、聡すぎる。聡すぎるがゆえに道を踏み外すこともある。そのあたりをお前に分かっていてもらいたかったんだ」



「ご教授、ありがとうございます。むろん、無責任なことはできませんがマルクさんの思いを裏切らないように精進いたします」



 そういうとマルクさんは、



「本当に子供か? お前。その歳でその言葉づかいに礼儀をわきまえているし……誰に教わったんだ?」



「はい。強いて言うならば神様に……ですかね」



 それを冗談だと思ったようでマルクさんは苦笑した。

 嘘じゃないんだけどな……。

 これは神様からもらった前世の記憶なんだし……。



「それでマルクさん、僕からお願いしたきことがあるのですが……」



「なんだ?」



「時間があるときにでも僕を鍛えてもらえないでしょうか? もちろん僕ができる範囲でのことなら何でもいたします」



 マルクさんが真剣な表情で、



「何ができる?」



 僕はなんと答えるか考える。

 生半可な答えではマルクさんは納得しないだろう。



「正直に申し上げますと……わかりません。僕のこの身体で何ができるのか、まだ何もなしえていないのです。そんな若輩者がなにかをできる、などと大言壮語いたすわけにはいきません。ですがマルクさんの下で何事にも挑戦し、学び、覚え、その恩に報いることを誓うことはできます」



「……確かに大言壮語はその身を滅ぼすだろう。だが理想を持つことは大事なことだし、それに向けて努力するのは構わない。スレイスには理想があるか? 目標があるか? そこまでたどり着く道は見えているか?」



「理想……ですか」



「そう、理想だ。人は理想があって初めて努力する。理想なき努力は時間の無駄でしかない。スレイスには時間がある、あるがそれも人の身である限りは有限でしかない。聞かせろ、お前の理想を。そしてその覚悟を」



 理想……覚悟……。



「僕は……目に見える人たちを救えるようになりたい。誰も傷つかない世界、誰もが平和を享受している世界、誰もが笑顔でいる世界。そんな理想が……あります」



 一度思い浮かべ、実現しようと努力した理想。

 僕が、僕の自己満足のために、かなえようとした願い。

 この世界でならそれが叶うかもしれない。

 この世界でなら、そのような子供の絵空事が実現するかもしれない。

 それだけでもこの身を動かす価値はある。

 神様が与えてくれたこのチャンスをつかむために。



「…………」



 僕はマルクさんと視線を交わす。

 マルクさんのその眼に真剣な思いが映っていた。

 僕はうれしかった。

 このような絵空事に無理だと叱責するでも嘲笑するでもなく真剣に聞いてくれた。

 それだけでも僕の思いを伝えた意味はあった。

 理解者がいるのといないのとでは心のありようが違うから。



「……その道が茨よりも、地獄すらもマシだと思えるところを突き進むことだとしてもか?」



「はい」



 僕は迷うことなくうなずいた。



「……わかった。ならばこれ以上は問わん。あと、私への恩返しと思うなら姫様と仲良くしてやってくれるか?」



「? そんなことでいいのですか? 僕はティアさんとは仲良くしていきたいと思っていますし、それでは恩を返したことにはならないんじゃ……?」



「いい。私の望みはそれだけだ。王都に着くのは1ヵ月くらいかかるからその間の早朝、昼、夕刻に訓練の時間を設ける。時間は一回で2時間程度を目安にやっていく。その上自己鍛錬も欠かさずにやっておかねばならん。私が指導するとなると一切の甘えは許されん。わかったな!」



「はいっ!」



 なんだかんだ言って僕は心の片隅でこの人たちを信じていることを感じていた。



 それから1ヵ月僕はただひたすらに木剣で型をなぞって足さばきを覚え、基礎訓練も欠かさず続けた。

 最初はほとんど動けないほどになっていたが流石は子供の身体だ。だんだんぎこちない動きを鋭く滑らかにできるようになっていった。それでも最終的には動けなくなるんだけどね……。

 木剣は両手剣、片手剣、双剣の使い方、型、足さばきを覚えた。

 マルクさんの流派は『水流』という名で、『流る水のごとく柔軟に、時に濁流のように果敢に』

 つまり攻めの型、待ちの型、守りの型、走の型。とあり、攻めは攻撃を重視、待ちは迎撃を重視、守りは守備を重視、走は逃げることを重視する型で、あまりに多彩なパターンなので子供の僕じゃないと覚えられないんじゃないかというくらいすごかった。

 あと、『水流』には免許皆伝などはなく、己の技をどこまで工夫し、高めるかに重きを置く。一歩間違えれば癖の強く出る、いわばある程度までは師に教えてもらい、あとは我流で極めよ、ということらしい。しかし1ヵ月だけですべてを吸収できるはずもなく、王都でもご教授願おうと考えている。



 今の僕のステータスは、


ステータス

 名前:スレイス

 レベル:10(BP:210)魂数:5

 種族:人間【下等平凡種】

 年齢:3

 HP 260

 MP 240

 STR 230

 VIT 220

 DEX 230

 AGI 230

 INT 230

 究極能力『牙狼神殺フェンリル

 特別能力『疾風怒濤しっぷうどとう

 究極技:『昇堕天地プログラム

 特別技:アイテムボックス、ステータス表示、進化の芽、ステータス偽装、魔力操作、心眼

 稀練技:『心源呼吸エンブレスLv.48』『分散集中ディスレイションLv.36』

 練技:『走駆Lv.5』『痛覚耐性Lv.11』『身体能力上昇Lv.6』『怪力Lv.4』『熱耐性Lv.1』『打撃耐性Lv.10』『足さばきLv.5』『見切りLv.8』『格闘技・柔Lv.4』『攻撃予測Lv.7』『受け流しLv.3』『狂化耐性Lv.1』『水魔法Lv2』『原子魔法Lv.2』『剣術Lv.32』『双剣術Lv.28』『思考加速Lv.10』『暗視Lv.4』『後の先Lv.1』『水流Lv.30』

 限定スキル:子供の体

 称号:『異世界からの転生者』『御使いの恩人』『悪魔と呼ばれし子』『耐える者』『神狼の友』『覚醒の施す者』『悪戯神ロキへの討伐資格を持つ者』『マルクの弟子』


 一か月でレベルは2上がった。やはり実践の方がレベルは上がるようだ。だが焦りはしない。

 各ステータスはレベルが1上がる度に15上がっていた。

 はじめは20も上がっていたから少し落ち込んだ。

 『走駆』は『ダッシュ』、『足さばき』は『ステップ』から派生した練技スキルだ。

 あと『マルクの弟子』は基礎訓練による経験値が増えるとのこと。



 これからもっと強くなる。

 もっと強くなって……もっと救いたい。

 彼女のようにならないために……もう、彼女のような人を作らないために……

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