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魔物使い……? テイマー……? 違います、友達です

今日3度目の投稿!

 僕が戻ると騒然としていた。



「みなさん?」



「スレイス!?」



 レギサ姉さまが素早く駆けつけて僕の身体を調べ始めた。



「ど、どうなさったんですか?」



「これは……ゴブリンの血?」



 ようやく状況が呑み込めたのかレギサ姉さまはホッと息をついた。

 そのあとキッと目を鋭くした。



「なぜ危ない真似をした!?」



 怒鳴られた。

 ……確かに僕のような子供が魔物と戦うなんて危ない真似をしたら心配する……子供という認識がまだ僕の心に根付いていないのが原因だろうが根付いたとしても今更子供のふりなんてできないし……



「ごめんなさい」



 僕は素直に謝った。

 どちらにしても心配させて起こしたのは僕が原因なのだから悪いのは僕だ。



「今度から散策に出る時は私も連れて行くこと! わかったな!」



「で、でもレギサ姉さまの睡眠時間を――」



「そんなものとスレイスを秤にかけられるか! お前はもっと私たちを頼れ! 私を姉というなら姉の言うことには従え! わかったなスレイス!」



 言葉は荒いが心配する気持ちがとても強く伝わった。

 涙目のレギサ姉さまを見て、



「わかりました。ごめんなさいレギサ姉さま」



 僕はレギサ姉さまに抱きしめられた。

 昨日と今日とで二度目……か。ティアさんとレギサ姉さまという違いはあるけれど。どちらも暖かくて僕にないぬくもりを持っている。



「レギサ姉さま、汚れてしまいます」



「構わない。それより戻るぞ」



「くぅん」



 そこでフォレストウルフが鳴いたことでやっとレギサ姉さまがこの子に気づいた。



「この子は……フォレストウルフ!?」



「レギサ姉さま! この子は大丈夫です! 襲いかかったりしませんから!」



 僕がフォレストウルフを抱いているのが証拠となる。



「し、しかし……」



 困惑しているけれどよかった。

 とりあえず殺す前に話は聞いてくれそうだ……。



「この子はゴブリンたちに襲われていたのを助けたんです。そしたら懐いてくれました。レギサ姉さまはこんな力も害もない幼獣を殺すんですか?」



 僕とフォレストウルフは上目使いでレギサ姉さまを見つめる。

 さらに、



「くぅ~ん?」



 この甘えたような声! 満点だ! よくやった!



「うっ! と、とりあえず父様に許可を取らねばダメだ!」



 くっ! ここで確約しておけば少しは有利にことが運べたものを……!

 僕が戻るとゴブリンの血に驚いていたようだけどみんな心配していたようだ。

 一人一人に謝りながらマルクさんのテントまで歩いていく。

 そこにはティアさんとマルクさんが座っていた。

 マルクさんが口を開く。



「まずは戻ってきてくれてよかった。だがなぜそんな危ない真似をした?」



「申し訳ありません。何も申し開きはいたしません。すべて僕の未熟さが招いた結果です」



 そう言って僕は頭を下げた。



「そうじゃない。私はなぜゴブリンと戦ったのかと聞いているんだ」



「一番の理由はむかついたからです」



 それにティアさんもマルクさんもレギサ姉さまも驚愕に顔をゆがめていた。むかついたという言葉が出てきたのがそれほどおかしいかな? まぁ普段から丁寧な言葉を使っていたけれど……。



「第一に、弱者をいたぶる真似をすることに。第二に僕の私怨により。第三にこんなかわいい子を見殺しになんてできません」



 そういうと、マルクさんはため息を吐いた。



「その幼獣は危険ではないか?」



「ありません。もし、迷惑をかけるようでしたら僕ともども罰してもかまいません。この子の食事は僕が用意しますし、ちゃんと世話を見ます」



 そこまで言われてマルクは真剣な表情になり、



「その言葉に偽りはないな?」



「ありません」



「わかった」



 ティアさんがマルクさんの顔を見て、もういい? もういい? と目で問いかけています。

 それにマルクさんは苦笑してうなずく。

 その瞬間、ティアさんは僕の方に勢いよく駆け出して、フォレストウルフを奪い取った。

 ここ重要。貸してもらった、ではなく奪い取った、である。



「可愛い~!!」



「わふっ!?」



 それはもうぎゅっと抱きしめているわけでして……僕は友達を奪われた気分になってしまった。



「スレイス君! この子ちょうだい!」



「ダメです」



 即答で断った。

 ティアさんはガーンと音がしそうなほどに落ち込んでいる。



「あげませんけれど貸すくらいならばいいです。まずは何か食べ物を狩ってくるので、遊ぶなり、寝かすなりなんなりとしてあげてください。あぁ、名前がないと不便ですね……」



 僕はオオカミについて何か連想していく。

 そして思い浮かべたのはオオカミ男で満月だ。



「フルムーン。そうですね、あなたはフルムーンと名付けましょう」



【『昇堕天地プログラム』の条件を満たしました。条件:魂が1つ以上あること、信頼されていること、名前を付けること。今から魔力供給と魂の結合路を築きます】

【魂の数を決めてください】



 僕は少し急すぎるだろうと思ったがまずはみんなに説明せねばならない。



「えっとみなさん……少しいいでしょうか?」



「なんだ?」



「えっと……その……フルムーンを進化させますのでご容赦ください!」



 そして僕はゴブリンの魂の数である3を入力。



【警告:魔力を与えてください。与える量によって魂の器が決まります】



 僕は硬直しているみんなを置いてフルムーンの頭に手を置いた。

 そして魔力を流す。

 すると吸収されていく。

 それがだんだん早くなっていく。



「す、スレイス!? 何を……!?」



 魔力循環で魔素を取り入れてMPを回復させ、さらに『心源呼吸』によりMP回復を増加させる。

 魔力密度から少量ずつ渡しても、だんだん吸収する速度が速くなっていく。

 そして魔力が尽きかけて、意識が遠くなり始めてやっと魔力供給が止まった。



 僕は荒い息を吐きながらフルムーンの進化の行く末を見届ける。

 フルムーンは少しの間は何かうなっていたけれどひときわ大きく高く鳴くと光り輝き始める。

 光が収まった時そこにいたのは美しき白い絹のような毛を持つ存在、気高き王の目、体長は二回りも大きくなり、ドーベルマンと同じくらいには大きくなった。



【進化成功しました。種族名:フェンリル。魂の器:∞ 吸魂数:3 魂結合路形成完了いたしました。フェンリルの 究極能力アルティメットアビリティ 『牙狼神殺フェンリル』 特別能力ユニークアビリティ 『疾風怒濤しっぷうどとう』 を取得しました】



 え?



【『進化の芽』の条件を1つ達成しました】

【称号:『神狼の友』を取得しました】

【称号:『覚醒の施す者』を取得しました】

【称号:『悪戯神ロキへの討伐資格を持つ者』を取得しました】



 ええぇえええええええええええええ!!??

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