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悪? 正義?

な、長かった……。

まだまだぁああ!

 僕が目覚めるともう夜になっていた。

 どうやら疲れすぎて寝すぎていた。不寝番を残してみんな寝付いてしまったらしい。

 僕は昼食も夕食も食べていないのでおなかがすいて起きたみたいだ。

 馬車から出て、不寝番の人に食料はどこか聞いた。



「起こさなくてすまねえ。姫様とお前さんが気持ちよさそうに寝ているから起こしづらくてな」



 そう彼は罰が悪そうな顔して携帯食料を出してくれた。



「いえ、おかげでゆっくり眠れました。携帯食料ありがとうございます。すみませんが散策していいでしょうか? すっかり目が覚めてしまって夜風に当たりたいので」



「ん~いいけど遠くにはいかないようにな? 索敵スキルを使っているとはいえ、魔物の中には隠密スキルを得意とする奴らもいるからな」



「わかりました。では行ってまいります」



 頭を下げて、散策に行った。



 五分ほど歩いたところで立ち止まる。

 ステータスを表示する。


ステータス

 名前:スレイス

 レベル:6(BP:10)

 種族:人間【下等平凡種】

 年齢:3

 HP 190

 MP 180

 STR 170

 VIT 170

 DEX 180

 AGI 170

 INT 180

 ユニークスキル:アイテムボックス、ステータス表示、進化の種、ステータス偽装、魔力操作、心眼

 スキル:『ダッシュLv.6』『呼吸法Lv.MAX』『痛覚耐性Lv.10』『身体能力上昇Lv.3』『怪力Lv.1』『熱耐性Lv.1』『打撃耐性Lv.10』『集中Lv.MAX』『並列思考Lv.13』『ステップLv.7』『見切りLv.5』『格闘技・柔Lv.1』『攻撃予測Lv.3』『受け流しLv.1』『狂化耐性Lv.1』『水魔法Lv2』『原子魔法Lv.2』

 限定スキル:子供の体

 称号:異世界からの転生者、御使いの恩人、『悪魔と呼ばれし子』、『耐える者』


 BPの使い道はまだおいておくとして、緋色に輝く『進化の種』とLv.MAXの二つを意識する。



特別技ユニークスキル:『進化の種』が芽吹きます……成功。芽の種類【昇堕天地プログラム】。身体に定着させます……成功。次の進化の条件『BPによるステータス変化、スキル取得、スキルレベル上昇のどれか一つ+自分以外の生物を進化させる』の二つです。芽吹いた葉の数は二つです】



特別技ユニークスキル:『進化の種』→『進化の芽』に進化しました】 

究極技アルティメットスキル:『昇堕天地プログラム』を取得しました】



 『進化の芽』:『進化の種』が芽吹いたもの。

 『昇堕天地』:条件を満たす生物に対して生体情報を書き換える。書き換えは自動で行われる。



 ……うん。なんかヤヴァイ……これがばれたら絶対僕は狙われるよね?

 でも、たぶんこれを使えば魔物も進化させることができるから魔物を従えることができたらそれもできるってことだし……悪いことばかりじゃない。それに人間よりか魔物の方が信じられると思う。ティアさんやマルクさん、そしてレギサ姉さまや兵士の方々まであのクズどもと同じなんて思わないけど人間なんて心境がコロコロ変わるものだし……魔物は従えた場合は絶対に裏切らない。裏切らせたいのならその魔物の長を屈服させねばならない……と『健康法』に書いてあった。

 いや、おかしいだろ!? なんで『健康法』って書いてあるのに健康のことじゃなくて魔物のことなんだよ! 絶対おかしいってこの本! 役に立っているからいいけどさ……



 次はLv.MAXを見てみた。

練技スキル:『呼吸法』がLv.MAXに達しました。進化しますか? Yes/No】

練技スキル:『集中』がLv.MAXに達しました。『並列思考』と統合しますか? Yes/No】



 進化に……統合って……

 とりあえずYesにした。



稀練技レアスキル:『心源呼吸エンブレス』に進化しました】

稀練技レアスキル:『分散集中ディスレイション』に統合しました】



 『心源呼吸エンブレス』体力、魔力、気力の回復速度が50%UPする。

 『分散集中ディスレイション』複数の物事に複数点集中できる。



 うん……少し自分が怖くなってきたよ……



心源呼吸エンブレス』は常時発動させて『分散集中ディスレイション』は『心眼』と合わせて本とか一気に三つくらいは読めそうだ。これなら二刀流とか長さの違う武器……右手に槍で左手に剣とかいろいろできそうだ。



 今僕がしたいのは魔力による気配察知だ。

 魔力は魔素という素粒子の濃度が濃くなるとできる。つまりもとは魔素という素粒子で魔力循環には魔素を取り込み、魔力とする方法がある。だけど逆もできるのではないかと思う。つまり、魔力を魔素に。



 これはほかの人から見たらほとんど意味がない行為だろう……。だが魔力はイメージするだけで火や水などいろいろなことができる。つまり性質変化というべきものが備わっている。だとしたら魔素にもそれができるかもしれない。そしてその魔素にある性質を付加する。



 それは『波』だ。

 音の波、風の波など、もしかしたらそれだけで映像化できるかもしれない。そうすれば『心眼』ほど情報は多くないがそれなりにクオリティの高い索敵ができるようになるだろう。



 まずは魔力から魔素に変える作業。これはうまくいった。魔力を分子と同じ要領で分解させればよかったからだ。

 そしてその魔素に役割を与える。これがまた難しい。波をどう観測させるかが問題だ。波によって動くようになってしまってはそこにあった時の情報と動いた時の情報に誤差が出る。

 ならば吸収してみてはどうかと魔素に新たな性質を加えた。

 それが上手くいったようで音や風、そしてなぜか匂いや光まで吸収してしまったため本当に映像化してしまった。

 だがこれはとても燃費が悪い。

 ということで永続性という性質も持たせる。

 それにより、魔素は目に見えるほどまで大きくなりそれが僕の周りに1億ほど……作りすぎてしまった。

 目に見えるといっても1ミリにも満たないの小さな存在だ。自由に動かすことはできないのでそれをプログラム化する。

 一番わかりやすいのは天体の円運動のためそれを利用。

 いつでもプログラムを起動できるように起動語トリガーを決めておく。



索敵サーチ



 この言葉によって僕の魔力から約5%ほど放出して星となる魔素――言いにくいので魔球――を何万セットと作り出し、僕を中心として一億もの魔球が円運動するために出現。

 これにより半径500mまで索敵可能となった。増やしたり間をもっと開けたら情報量は多くなるが精度が劣るようになる。増やせば『分散集中ディスレイション』のレベル不足で頭が痛くなるし、間をあけると吸収量を多くしないといけないため、これまた頭が痛くなる。

 つまり今の僕では500mが限界。



 そして索敵に追われている一匹の子犬のような存在と追っている緑色の……たぶんゴブリンが三匹いりる。

 僕はゴブリンを見て殺気立った。

 あの醜悪な顔を見てある人物を思い出す……忌々しい屑のクレイルを思い出したからだ。



 僕は殺気を隠そうともせずそちらに向けて『ダッシュ』する。

 身体が軽い……。

 進化の恩恵はここにも表れていたようだ。



 ゴブリンたちを見つけた時、子犬はもう追いつかれそうになっていたところだった。

 ゴブリンの上には緑色のバーが出ている。

 なんだこれは?



 どうでもいい。まずあいつらは生かして帰さない。

 僕は子犬を追いかけるのに夢中になっているゴブリンに横から突撃をかける。

 右手に僕の身長くらいの木剣、そして左手にはナイフ並みの大きさの木剣を持ちまずは上から頭を打つ。

 ゴブリンの頭蓋骨が割れた音がした。そのまま一匹は倒れる。緑色のバーが一気になくなり、ゴブリンは光の球となり僕に吸収される。たぶんこれが魂なのだろう。



練技スキル:『剣術』を取得しました】



 驚いて硬直してしまったもう一匹の首に左手の木剣で喉に突きを入れる。

 そこから連撃で右手の木剣を裏拳の要領で横なぎに振るう。



練技スキル:『双剣術』を取得しました】



 僕の身長が小さいために入ったのは胴だった。

 それで腹を抑えてうずくまるゴブリンにダメ押しとばかりに頭に木剣を叩き込もうとしたらもう一体のゴブリンにタックルを受けてしまう。

 そこは腐っても魔物らしく3歳児にしてはVITが高いはずの僕を軽々と吹き飛ばす。

 アタックされたのはあまり痛くない。痛くないが地面と激突して息が詰まる。

 ゴブリンは僕にとどめを入れようとナイフを僕の首に向かって勢いよくおろす。

 


 思考が加速される。

 ナイフの動きがスローモーションになる。

 初めて殺気を受けたからか身体が硬直する。



 ここで死ぬのか?

 嫌だ、いやだいやだいやだ!



練技スキル:『思考加速』を取得しました】

【称号:『悪魔と呼ばれし子』を発動します】



 ナイフの動きが迫ってくる。

 僕は『格闘術・柔』を使い、相手のこぶしに手を当て、力を入れて横にずらす。

 首の右の地面に刺さるナイフ。

 そして僕は首を起こして相手の腕に密着させて左側を固定し、右手にある木剣を離したこぶしでゴブリンの肘を打ち抜いた。



 ボキッ!



 上手く折れてくれた。

 叫んでいるゴブリンをどかして喉に木剣を両手で叩き込む。

 それで首の骨が折れて光の球となり僕の中に消える。

 もう一体は腹を抑えながら逃げようとしているが逃がすつもりはない。

 僕は後ろから勢いをつけた木刀で殴り殺しす。

 緑色の血が生臭く、生理的嫌悪により顔をしかめる。



 そして最後の一匹が終わって僕はへたりこむ。

 こんなんじゃだめだ。

 弱い。弱すぎる。

 ゴブリンにてこずるなんて僕が弱い証拠だ。

 魔法を使うほどの余裕があったわけじゃない。

 本当に運が良かっただけだ。



 生きていることにすごくうれしくなる。

 そして帰ろうと思い、後ろを見ると子犬が僕を警戒しているようだ。

 クルルルとかわいいうなり声をあげて僕が敵か味方か判断し損ねているようだ。

 この子をどうしようか迷った末に鶏の骨があったのを思い出し、それを投げてみたところ、警戒しながらもガシガシとかじる。

 僕はそっと子犬に触れる。

 子犬はびくっとしたがガシガシとかじるのをやめない。

 なでるとふつうにさらさらしていた。

 かわいい……。

 だが、子犬を見ると……そこには、



 フォレストウルフ(幼獣)



 と書かれていた。

 え? 魔物なの?

 いやいや、確かにフォレストウルフらしき面影はあるよ? うん。

 でも……幼獣ってどうなの?



 答え:すっごくかわいいじゃねえかぁあああああああああ!



 僕はゴブリンの戦利品であるナイフをアイテムボックスに入れてフォレストウルフを抱いて馬車に戻る道を歩いていった。

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