表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

カクテル・酩酊初期

 謎の通知が来た翌日。今日は仕事を休んで、いつもより少し早めにバーに行く。

 

 ドアを開けると、がらんとした店内にオーナーがぽつんと立っていた。

「おや、随分とお早いですね」

 心臓の音が、やけに五月蝿い。ばくばくと波打つ心臓が、胸を突き破って出てきそうだ。

 なんとか鼓動を落ち着かせ、カウンターに座る。

「今日は何を飲まれますか?」

 きた。すぅっと息を吸って、これまでに培ってきた滑舌を活かして少し早口で言う。

 

「もしも、あなたが私のためにカクテルを作ってくれるのなら、きっと夢のような味なのでしょう」


 言えた。言えたよ。…言えちゃった。やっと人生カクテルが飲める…?ようやくここまで来れた。やった。

「…なるほど。どこで知りましたか?」

「昨日…メッセージが送られてきたんです。誰が送ったのかは分からないんですけど…」

「…そうですか。少々お待ちください」

 そう言って、オーナーは奥へ引っ込んだ。恐らく人生カクテルを作りに行ったのだろう。

 はやく飲みたい。あの頃の馬鹿な私を消しに行きたい。…もちろん、これはただの夢だと、戯言だと分かってる。でも、どうしても。あの子の未来を変えたくて。

 私が違う行動をしていたら、きっとあの子は生きていたのに。あの子の代わりに、私が死ぬべきだったのに。


「こちらが、『人生カクテル』になります」

 出されたのは、シャーリー・テンプルに似たような見た目のカクテル。普通のりんごジュースに見えるけど…

「このカクテル、ただのりんごジュースに見えるでしょう?ですが、これはあなたのために作った特別な一杯なんです。きっと、お客様は気に入られると思いますよ」

 そう言われると、気になってくる。りんごジュースみたいな赤っぽい色に見えるけど、角度を変えて見ると僅かに煌めいてみえた。

「これ…飲んだらすぐに酔うって聞いたんですけど、大丈夫なんですか…?」

「そこはご心配なさらず。酔うと言っても、倒れたり、おかしな言動をするようなことはありませんよ」

 それを聞いて安心する。「どれだけお酒に強くても酔う」と見たけど、あれは嘘だったのかな?

「えっと…じゃあ、飲んでもいいですか…?」

 カクテルを飲むのに、怖気づいて許可を取ってしまう。滑稽だな、私。

「もちろん、構いませんよ。…ただ、そのカクテルが見せてくれるのは『夢』だということを忘れずに」

 オーナーの言葉をしっかり噛み締めた後、私は恐る恐る飲んだ。追いかけていたものが目の前にあるのって、なんだか不思議な感覚だ。


 飲んだ直後は変化がなかった。でも、だんだん視界の端がぼやけてきて―

 気付いたら、懐かしい景色がそこにあった。

お酒を飲んだことがないので、カクテルの描写がおかしいかもしれません。その時はどうか笑ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ