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「お主、まだまだ悩むつもりか?」
「まだまだ質問したいことはいくらでもある。例えば……ポテチは何味になるんだ?この味によってはこの選択の意味が大きく変わる」
「ポテチは好きな味を好きなだけ出すことができるぞ」
な、なに!?
好きな味を好きなだけ出すことができるなんて……
それを考えたらどう考えてもポテチになるような気さえしている。
「値段は関係ないのか?食べたいポテチを食べたいだけ出すことができる?」
「そうだ。のり塩もコンソメもガーリックもうすしおもとにかくどんな味だったとしても右手から無限に出すことができるのじゃ?」
「そんなバカな……もちろん、どんなタイミングでも出せるんだよな?」
「当然じゃ!」
考えろ?
もしも、この世界になにかおかしなことが起きた場合のことを考えろ。
そしたら 無限に食糧を出すことができる能力はほとんど神様だ。
もはやポテチがマナみたいな物になってしまう。
「これからの世界がどうなるのかなんて教えてくれないよな」
「その質問には当然のごとく答えられないな」
「じゃあ、ポテチとポテチじゃない物の境界線はなんだ?ポテチっていうのは元々薄いフライドポテトから始まっているはずだ。そうなるとフライドポテトすらも出せたりするのか?」
ポテチは薄いフライドポテトばかりを欲しがる客への嫌がらせから始まった。
つまりは、薄いフライドポテトもポテチみたいなものということだ。
そうすると、もしかすると厚いフライドポテトもポテチみたいなものかもしれない。
「まぁ、お主がそれを本気でポテチだと思えるのであれば出るんじゃないか?」
「つまり、俺がポテチだと認識している物は全て出てくるってこと?例えばさつまいもとかのポテチは?」
「まぁ、それもやはりお主が本気でそれを思えるのであればという話だな」
なるほど。
これは意外と大事な話かもしれない。
ポテチだけで生きていくことになった場合のことを考える。
すると、ポテト以外のポテチが出せなければ大変なのは変わらない。
死ぬことはないかもしれないが、大変なのは間違いない。
「なるほどなぁ。ポテチという認識っていうのはどういうレベルでなんだ?頭の片隅に思っていればそうなるのか?それとも心の底から思っていないと無理なのか?」
「『ポテチ買ってきて?』と言われて買ってこられてもなんとも思わないレベルのポテチじゃ」
「それは……それは難しいぞ」
そうなると野菜チップスみたいなポテチは無理ってことか?
なんか輪っかみたいになっているポテチもダメなのか?
編み編みになっているアレは?
“ザックザク”食感のアレもダメなのか?
「それは、条件が厳しくないですか?」
「ポテチを出せる能力と言っているのだからなんにも厳しくなんてないじゃろ!むしろなんで他のスナック菓子も出せると思ったんじゃ!」
「それもそうか……」
考えろ。
考える時間ならいくらでもある。
なにか見逃している点はないか?
「そうだ。そのポテチはカロリーがあるのか?」
「もちろんじゃ。いわゆる普通のポテチとなる。もっといえば、お主がポテチだと思うことができるのであればゼロカロリーのポテチだって出すこともできる」
「なるほど?つまりは実現性、非実現性は関係がない?」
「まぁ、お主がポテチだと思えばな」
もしかして、空想のポテチも出せるのか?
そうでなくても絶対にあり得ないほど贅沢なポテチを出すことだってできる。
他にもマンガに出てくるファンタジーなポテチすらも出せるかもしれない。
十億円は十億円でしかない。
しかし、ポテチには無限の可能性がある。
「これは……わかったぞ。この選択の正解が」
「な、なんじゃ?言うて見るがよい」
「今からゲームルールを変えるのはナシだぞ?いいな?」
「もちろん、そんな姑息な真似はせん」
「金箔付きのポテチを無限に出せばいいんだよ。そうしたら、俺は無限に金を手に入れることができる。そうだよな?」
これだ。
もう完全に正解を見つけてしまった。
それができるようになれば金を無限に手に入れられるようになる。
そうすれば十億円なんて安いもんだ。
「考えたなぁ。お主、ちょっとセコいぞ」
「そもそも他にも金を稼ぐ方法なんていくらでもある。その中でもっとも効率がいいのが金箔っていうだけだ」
「なら、選択は無限ポテチでいいか?無限ポテチマン」
俺は少し考え込んだ。
なにか見落としているところはないか?
なにか無限ポテチマンになることによって発生するデメリットはないのか?
「……当たり前だが、ポテチは太るよな?」
「まぁ、太るポテチを出せば太るじゃろうなぁ」
「そうだよな」
これはどちらにでも言えることだが、俺は俺をコントロールできるか?
もしも俺がポテチの欲に溺れてしまったらどうなる?
そうなったら必ず普通の人よりも早死にすることになる。
俺の感情のコントロールのことまで考えなければいけない?
そうなると、どっちの方がいい選択になるんだ?
「な、なぁ。まだか?もう決めたんじゃないのか?」
「……」
「そんなに真剣に悩むようなことか?」
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(ちゃんと書いてます!AI じゃないです!)
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