なんか強かった
死んだはずだった。
あの夜、私の世界は炎に包まれ、すべてが終わったはずだった。
けれど――目覚めた私は、猫になっていた。
ふわふわの毛並み、小さな体、そして人間のときよりもはるかに強い魔力。
最初は混乱した。でも、すぐに思い出した。
母の仇。
私からすべてを奪ったあの存在――**喋る杖、大地**のことを。
私はもう、普通の少女じゃない。
名前も、姿も変わったけれど……この心だけは忘れない。
これは、私と、心優しい少女**夏歩**の物語。
そして、復讐を越えて、本当に大切なものを見つける旅の始まり。
「にゃ……ここどこ……?」
目が覚めたら、猫になっていた。
小さな体、もふもふの毛、抜群のバランス感覚。そして――ありえないほどの魔力。
名前はみつか。かつて冒険者として名を馳せたが、死後、なぜか最強クラスの魔力を持つ猫に転生していた。
拾ってくれたのは、泣き虫な少女・夏歩。心が優しく、けれど戦う力はほとんどない。
そんな彼女の母――あやは、かつて“最強の杖”に殺されたという。
その杖の名は――大地。
「ふざけるな。今度こそ、決着をつけてやるにゃ」
みつかは、夏歩を守るため、そして母の仇を討つために、猫の姿のまま大地を追い始めた。
ダンジョン、街、戦場。どこに行っても無双する猫一匹。
みつかは夏歩と共に成長しながら、ついに大地――あの喋る杖と再会する。
「やはり来たか、みつか……」
「言い訳は聞かにゃい。これは、お前の罪を終わらせるための戦いにゃ!」
炎と氷、雷と闇が交錯する大決戦。
だが最後、夏歩が涙ながらに叫ぶ。
「お願い、もう終わりにして……! もう誰も失いたくないの!」
その声に、みつかも大地も手を止める。
戦いの果てに残ったのは――和解でも復讐でもない、「許し」だった。
「……にゃんだか、肩の荷が下りた気がするにゃ」
――こうして、私の復讐は終わった。
だけど、ただ「仇を討つ」だけがすべてじゃなかったことに、私は気づかされた。
夏歩と出会い、笑って、怒って、泣いて……
猫になって、すべてを壊すつもりだった私が、誰かを守るようになっていた。
かつて母を殺した杖・大地。
その真実と向き合ったとき、私はようやく「前を向く」という選択ができたのだと思う。
今も私は猫のままだ。
だけど、ただの“復讐者”じゃない。
大切なものを守るため、今日も私はこの小さな体で――にゃっと鳴く。
世界はまだ広い。
そして、私の物語も、きっとまだ終わらない。
ご愛読、ありがとうございました。