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大魔王の器の少女。三〇〇年後の世界で無双する  作者: 有原優


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第九話 学院生活

 中に入ると、まず入り口で止められた。


「すみません。ここには何用で来られましたか?」


 そう、受付のお姉さんに言われた。

 雰囲気的にも、ここでも私が大魔王の魂を宿している少女だという事には気づかれていないようだった。正直これが懸念点でもあったので良かった。

 この時代。ちゃんとした機関に闇の魔力の探知機なんて置いてあったらすべてが終わるからね。

 とはいえそこに関してはまだまだ予断を許さないと思う。


「すみません。この勇者学院にはいりたいのですけど」


 正直に来た理由を話す。今の状況的に、国としては戦力が欲しいだろう。

 そう考えたら通してくれるはず。


「そうですか、ならこちらに」


 あれ、思ったよりあっさりと通されてしまった。逆にあっさり過ぎて怖い、

 何か裏があるのではないかと。

 もしかしたら、私の正体に気付いており、あえて泳がせているのかと。

 だって、私は今どういった立場なのかもわからない。

 今の今まで封印されていて、この現世には存在してないはずの人なのだから。


 300年前にはそういう身分を管理する制度なんてなかった。

 だけど、今がどうなっているのかは分からない。


 ただ、疑いすぎていてもそれはいけないだろう。

 今は私の信ずる道を進むだけだ。

 いざとなれば大暴れしてやったらいいし。封印されそうになったら自害したらいい。


 そして手続きの際に詳細な話を聞いた。

 ここでの学費は、ここで魔物を倒したりして手に入るお金で賄われるらしい。

 そしてこの学校は主に魔物との実践訓練を重んじているみたいで、その実力によってEランクからSランクまであるらしい。

 学校でもあり、実践組織でもあるという複数の実態を兼ねている。


 だが、あくまでも学校は学校であり、Eランクは先生たちに守られながら戦ったり、生徒たちの能力を見て適材適所を見極めながら戦ったりするらしい。

 そしてFランクは昇格試験でしか魔物と戦わない。


 なるほど、上手くできている。


 あの時もこういうシステムがあったら二人きりで敵地に向かう事なんてなかったのに。


 ……いや、あの場合国王が私を消そうとしていたが。


 まあ、そんなことはどうでもいい。レオニスさんには恨みこそあれ、もう過ぎたことだ、今更考えたところで何かが起きる訳でもあるまい。


 そして手続きが済んだ後、制服を渡された。青色を基調として作られている制服で可愛らしい。

 そして動きやすいようにするからか、スカート状にしてある。

 しかも服に魔力がこもっているように見える。

 戦闘服としての役割も果たすという事か。


「これは脆そうに思うかもしれませんが、これには魔力耐性があり、さらに破れにくいという特質があるので安心してください」


 

 やはり、戦闘服としての効力も持っているのか。


 さて、制服に着替えて中に進んでいく。



 授業はどれでも好きなものをうけられるらしい。例えば初級剣術指南だとか、初級魔術指南みたいなものだ。

 私は、学院で学ぶことが出来なかったから三〇〇年越しに学べるという点は素晴らしい。

 仲にはやたら複雑そうなことが書いてある授業もあるが、とりあえず十単位取らないといけないみたいなので、初級剣術指南を受けることにした。


 時間は今から二十分後との事だ。


 ちなみに寮も与えられ、そこで寝ることもできる。

 流石にこんなにも至れり尽くせりじゃあずるできるんじゃないかと思ったが、魔物討伐数と、授業料でポイントが与えられ、-100になった時点で追い出されるらしい。

 後は何年以内にEランクとかと言った才能のない物を切り捨てるという制度もあるみたいだ。サボってたら首になり、しかも借金まで背負うことになるのだから恐ろしい事だ。


 要するに金の問題だ。


 でもそれは当たり前の話だ。学費が払えなくなったら、そりゃ追い出されるのは時間の問題だろう。


 だけど私が追い出されることはないだろう。大魔王の魂を宿しているのだし。

 流石に一介の魔物達を倒せないなんてことは無いと思う。

 時間までぶらぶらと学院内を歩く。中々豪勢な建物だ。

 豪華なのは外だけじゃなかったのか。


 そして、私と同じ制服を着ている人が沢山いる。

 当たり前の話だが、この人たちは戦えるのだろう。

 ただ、あまり多くを望みすぎてもいけない。

 レオニスレベルで戦えるのは、Sランクでも、数少ないだろう。


 ただ、友達になれそうな人がいた方がいいけれど、私は大魔王の魔力の邪悪さがなかったとしても、私は人と喋った経験がなかった。


 結構気になる人もいる。

 けれど私には話しかける勇気なんてなかった。


 そもそも私なんて、新米中の新米。話しかけるなんておこがましいにもほどがある。

 そんなことを考えているうちに、時間になった。


 『今から4時間目の授業が始まります。受講する方は指定の教室に移動してください。初級魔法学は3の5教室、初級剣術指南は、3ノ4教室、また魔物討伐論を受ける方は皇帝集合してください』


 そう言われた。

 初級者に向けて迷わないように教えてくれているのだろう。そして、中級以降は言わないというのもそう言う事だろうか。

 私は早速教室に行く。そこには五名の生徒がいた。人数はどうやらそこまで多くないみたいだ。

 そりゃ、危険を冒して魔物討伐しに行くなんて人はそうそういないよな。

 周りの人は皆真剣な顔をしている。

 これは私が一人変な気持ちで受講していることが申し訳なくなる。

 私はしょせん生きるためなのだ。それと、青春を取り戻すため?


「こんにちは。よろしく」


 私はそう、隣にいた男子に話しかける。


「どうも」


 え? 一言だけ?

 もしかして、話しかけないでってこと?

 私だって、勇気出して話しかけたのに。

 しかし、彼は眼鏡をかけていて、いかにもっていう感じの見た目だ。

 どちらかと言えば魔法使いタイプなのに、どうしてこれを受けているのだろうか。

 そう言えば、ランクアップの試験、それを受講するにはどちらかをマスターしたらいいだけのはずなのに。

 まあでも、私もどっちも受けるつもりだし、そう言う人もいるよね。


 とりあえず、私は私のやれることを。

 そして、授業が始まった。

 あれ? 思ってたのと違うな。

 だって、授業内容は剣の型とか、相手の剣にどうやって対応したらいいかという事だった。個人的には、もっと、実践訓練を「するんだと思っていたから。


 でも、私の知らなかったことを知れるって楽しい。

 こんな世界があるんだって、知るのが楽しい。

 なるほど、なるほど、あるほど。こうやってやるのか。

 ただ、


「リスリィ、それは違う。もっと隙のないように、こうやるんだ」


 怒られたばっかりだ。しかも、私ばっかり。

 なんで……って言いたいけど、当たり前の話だ。

 だって、私が一番できないんだから。


「そんなんだと、魔物にやられるぞ」

「魔物を討伐するんだろ? もっと工夫しろ」

「女だから優遇荒れると思ってるのか? 魔物の前だったら男女平等だ。言い訳なんてできないぞ」


 すぐに怒られる。

 隣にいたメガネの彼は、「お前のせいで授業が遅れてるんだよ」などと、ぐちぐちと言われる。

 うぅ、私だって、怒られたくて怒られてるわけじゃないんだよ。


 でも、なんだか、迷惑をかけているみたいな気持ちになって(実際かけているし)居たたまれない気持ちになってしまう。

 ただ、やっぱり、怒られながらでも、しっか学ぶのは楽しい事だ。

 そうして、大変な授業がようやく終わった。


「ふう」


 お腹が減った。食堂に行こう。


「なあ」


 眼鏡に話しかけられる。


「貴方ふざけてますよね。才能ないですよ。あなたはさっさとマイナス一〇〇点取る前に学院から去った方が良いですよ。へなへなして、気持ち悪いですし。僕たちは皆真剣に魔王を倒そうと、がんばっているんだ。なのに、そんな気持ちのやつがいる、それだけで雰囲気が崩れるんです。……あなたは何のためにここに通っているんですか?」

「私は、生きるため、生活するためにここに居る。私は魔王を倒して、世界を平和にするためにここに居る」

「生活するためという理由が一つ目に入る時点でダメなんですよ。僕たちはみんな命を懸けるべきなんだ。現に!! 僕の両親は魔物に殺された。その復讐のためにここに居るんだ。あなたはなんですか? 家族を殺されましたか? 親友を殺されましたか? 聞いてくださいよ!!!」


 流石にイラっとした。

 私は怒りのあまり彼の襟元を掴んだ。



「じゃあ、力なきものは、学ぶ権利もないんですか? 才能ある人しか育てないつもりですか? 正直それは無駄。私だって、一から学びなおすためにここに居るんだ。それを、馬鹿にしないでよ!!」


 私は確かに今まで戦い方を学んだことは無い。

 でも今から学んで、さらに強くなる。

 その権利を馬鹿にされる謂れはない。


「私は、必ず強くなって魔王を滅ぼすから」

 だって、もう滅ぼしたことがあるし。

 そして私は食堂へと向かった。

 食堂、そこにはいろいろな料理があった。これは、私の時代の給食よりもマシかな。

 だって、あの時は、ろくなものを食べてなかったし。

 その中から、肉を取って、食べる。


「いただきまーす」


 肉は、重厚な味がしておいしい。

 まずい魔物の肉ではなさそうだ。

 もしかしたらこれは、ただ狩っただけの魔物じゃなく、ちゃんと加工したりしているのかな。


 少なくとも、あの魔王討伐の日々に食べた魔物の肉はまずかったから。

 そしてご飯を食べていると、一人だなと感じる。

 周りの人は皆一緒に話しながらご飯を食べている。

 まだ初日なんだから仕方ないのかもしれないけど、誰かと話したい。


「そう言えば、私ってご飯を人と食べたの、村の人たちと、レオニスしかいなかったわね」


 あまり経験がない。


「早く友達を作りたいなあ」


 そして一日の終わりに、部屋でごろごろする。

 寮の部屋は小さいながらもベッドや、トイレなど最低限の設備がある。

 中々悪くない。

 それに、ランクが上がるたびに、部屋のランクも上がるみたいだし。


 ごろごろしながらふと今日という日を思い返す。


「今日長かった」


 今日は本当に色々と頑張った。

 何とか自分で生活基盤を手に入れたし、授業も頑張って受けた。

 このまま大魔王の器という事を隠しながら、この学院で生活する。

 何とかできそうだ。


 後は、友達だよね。

 それさえできたらここでの生活は完璧なものになるだろう。

 



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