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大魔王の器の少女。三〇〇年後の世界で無双する  作者: 有原優


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第八話 300年後の世界

 そして彼の声が終わった後、私は暗い闇の中にいた。何もない、何も見えない、何も聞こえない。


 

 何も見えない。何も聞こえない。私の存在が何だったのか一切わからなくなる。

 存在しているけど、何も見えない。何も感じない。

 動こうにも思うように体が動かせない。というよりも体が固定されている。


 杭みたいなもので固定されているのだろうが。

 だが、痛覚も皮膚の感覚もないし、視界も閉ざされているから分からない。

 封印が苦痛というのはこういう事だったんだなと理解する。


 なんでこんな地獄にいなきゃならないのか。

 ああなんでこうなっちゃったんだろ。

 こんな地獄で、私はあと何年居たらいいのか。


 私の胸の中にあるのは、あの村への思いと、レオニスへの怒りの感情だ。

 結局あなたも私が怖かったの?

 あの笑顔は全てうそだったの?

 ああ、腹立たしい。なんで、そんなひどいこと言うの?

 何もすることのない退屈の世界だからこそ、そんな恨み言がどんどんどんどんと溢れてくる。

 結局、私は平穏に生きることなんてできないんだな。

 せっかく魔王を倒したのに。

 信頼してた人に裏切られた。

 ああ、人間って恐ろしいな。


「うわあああああああ」


 永劫にも思えるこの地獄の時間。

 もう、嫌だ嫌だ嫌だい嫌だ嫌だ。

 寝るしかやることがない。

 もう一〇〇年は経ってるよね?

 二〇〇年経っていても不思議じゃない。

 もはや、時間間隔なんて言う物は消えてしまったから棋王的観測だ。

 本当は1年経っていないのかもしれない。

 それに、数千年単位で封印されるかも、それとも永劫に封印されたままなのか。

 私は何もしていない。ただ、世界を救っただけ。

 なのに、なのに、残酷だ。残酷すぎる。


 死にたい死にたい死にたい死にたい消え去りたい。


 こんなの生きているなんて言えないでしょう。


 

 もはや、レオニスなんてどうでもいいと思ってきた。

 大魔王と会話が出来ればいいのだが、あれ以来出てくる様子すら見えない。

 目から涙がこぼれる。この退屈な時間、地獄の苦しみの涙だ。


「はあ」


 私の存在感覚が消えてきた。

 このまま悟りでも開くのだろうか。


 私はそもそも今生きてるの?

 ここは天国なのかもしれない。それとも、大魔王リスタルに巻き込まれて地獄にでも落ちたのかもしれない。


「あはははははははははは」


 今の私の心は闇を帯びている。

 こんなの、地獄に落ちるべきなのかもしれない。


 ねえ、誰か、私を助けてよ。

 ねえ、誰か。私を救ってよ。


 もう、考える気力も失ってきたよ。

 最後に時間を考えたのはいつなのだろう。

 もう、何年経ったとかどうでもよくなってきた。

 きっと私はもう永遠に開放されないのだから。


 ああ、ああ、ああ、この世界には神様なんていないわ。

 

 世界は残酷だ。


 その瞬間光が見えた。


 光が……見える。私の目に光が戻った。

 何千年ぶりの光だ。正直まぶしすぎて、思わず目をつぶってしまった。


 ……目をつぶるという行動をできる?

 行動が実感できる?

 爪で指を軽く指す。軽い痛みを感じた。

 ああ、私は開放されたんだ。


 少しずつ目を開いていく。

 十分くらいかけてようやく目を慣らした。

 体が見える。私はこんな体の形状だったんだと、理解する。

 それと同時に私は安心した。

 ちゃんと体が存在していて。


 それにしてもだ、

 でここはどこ?


 分からない。何もかも分からない。今まで知ってる景色とは大違いだ。

 あれから何年たったのだろうか。

 体感では数千年経っている気分なのだけど。


 レオニスは今どうなっているんだろうか。もう、死んでいるかそれに等しい状態という事は間違いないのだけど。

 何しろ、あのままレオニスが私が封印されていたネックレスを持っているのならば、私は解放されていないはずなんだから。

 そもそもネックレスがここにある時点で、あのままうまくいっているなんてことは無いだろうから。

 しかし、やっぱり嬉しい。


「あははははははは」


 解放されたことへの悦びが、私を襲う。

 ようやく自由だ。ようやく退屈から解放される。


 っと、周りの人が白い目で私を見ている。

 どうやら変人だと思われているようだ。

 少し抑えないと。


 しかし、周りの景色は素晴らしい。

 本当に周りの人たちの服や町が変わっていて、異世界にでも来たのかと思ってしまう。


「すみません」近くにいた人に訊く。「今は人間歴何年ですか?」


 ラスカルとは、大魔王が倒されたときに定められた暦だ。

 確か私が封印された時はラスカル歴2017年だったはずだ。


「ラスカル歴ってなんだ? 今はレオニス歴317年だが」


 レオニス歴?

 まさかあの人があの後、取ったってこと?

 という事は317年程度の年が経っているという事か。

 317年。長いのか短いのか。


 でも、精神的に辛かったからとりあえずその言葉を聞いて安心した。

 もしあれが二十年とかだったら、許せないもの。

 それでも、1000年単位で立っていると思ってたから、少しムカつくけど。


 とりあえず、この世界で生きていく力を付けなきゃいけなさそうだ。

 どうしようか。


 まず、もう私の生きてた時とは全然理がう事は確定した。

 317年という月日がたったという事は、あの村の人たちも死んでしまっているはずだ。


 つまり、私に今はよりところがない。

 さて、問題はいくつも残っているが、

 まずはこの世界のことを知らなければいけないよね……という訳で、近くの建物に行く。

 今の現状を知らなければみすみす、大魔王の器とばれ、再封印される可能性もある。

 知識が必要だ。


 建物に入ると、本がたくさんあった。

 とりあえず近くに会った歴史書を取る。


『大魔王が封印され、ラスカル暦が始まる』


 ここじゃない、もっと後だ。


『ラスカル暦2017年。大魔王の魂を宿した少女が、魔王討伐に襲撃した。そのまま英雄レオニスと共に魔王を打ち取ったが、その後、国に反逆し、レオニスによって封印される』


 なによこれ。私が悪いことになってるじゃん。

 レオニスなにしてるのよ。

 あの笑顔はやっぱり嘘だったのね。

 でも、私の名前は残っていないようね。それはよかった。

 で、問題はその後よね。えっと、


『その後、レオニスは英雄として王から贈位され、レオニスによる国家、タティンブルク王朝が誕生する。その際に魔王ラベンヌを討伐した際に要した剣が英雄ラスカルが持っていた剣と同じと分かり、それにより、レオニス・タティンブルグも英雄と称される』


 どういうこと?

 国からの依頼で私を封印したんじゃなかったの?

 ていうか、あの剣は大魔王の剣なんじゃなかったの?

 それにあの剣で魔王を討ったのも私だし。


 歴史が大きく捻じ曲げられてる。レオニスのいいように。


『その後、レオニスは…………改革を成し遂げ…………」


 そこらへんはどうでもいい。次よ。


『レオニスの死去後、七人の王による平和な時代が訪れる。この時代をパクスタティンブルクという』


 そこはどうでもいいから。

『その後、267年。国王のレオニス九世が部下のサタテュンに打たれ、一時的にサタテュン朝が誕生するが、二年で、王太子メルスンにより討たれ、平和な時代が再び戻る。だが、304年、魔王が大量に表れ、国土の半分を失う。そのため、魔王討伐のための勇者学校が建設された』


 なるほどね。

 状況は変わってるけど、大まかなことは変わってないっていう事ね。勇者が育成された。つまり今は魔王の存在が大きくなっていて人間が窮地に陥っており、なおかつ魔王との戦争は終わる気配を見せていないという事らしい。

 結局時代は繰り返す。今はまた魔王を討伐せねばならない時代になっているという事か。


 すぐに色々と動くのは危険だ。

 幸い情報はありそうだし、一先ずはここで暮らす方法を模索した方がいいのだろう。

 まずは勇者学院に入るという事。

 だが、一先ずこれは却下しよう。

 とりあえず今の私の魔力がどんな感じか分からない。

 封印されたことによって魔力が枯れてしまっている可能性もあるし、魔力が邪悪で、またあの二の舞になる可能性もある。


 ただ、恐らく魔力が邪悪でも、闇さえ使わなければ、大丈夫そうだけど。

 317年前、私の闇以外の魔力は実はそこまで邪悪な感じのオーラを感じてなかったのだから。


 そして、今のところ私が大魔王の器だとは言われてないから、とりあえず変装は必要がないかな。


 そして、次の方法。私が単騎で魔王討伐に向かう事。

 しかし、魔王というのは単騎で討伐できないという事は当たり前の事実だ。

 ラベンヌを倒せたのはあくまで英雄剣を使ったからだ。

 今はそんな事はできない。


 最後の方法として、英雄剣を奪う事だが、これも、指名手配されるというリスクを負ってまで奪い返すという事は現実的じゃない。


 大魔王の知恵を借りたいが、あれから現れてくれないし。

 とりあえず、今の実力を測りたい。という事で、一旦魔物の生息地へと出ようと思う。

 闇の魔力無しでどれくらい戦えるのか確かめたい。


「だめだ、許可のあるもの以外は、出てはならん」


 断られてしまった。

 そうか、無理なのか。そして許可を取るには勇者学校の卒業証書を取る必要があるという事らしい。


 まあ、合理的だろう。戦闘経験のない人が、郊外に出て、無駄死にするよりは。

 そう言えば、書いてあった気がする。

 さて、となれば、別の方法を考えるほかない。

 となれば、闇の力を使わないで勇者学園に通うしかなさそうだ。


 正直仕事するという方法もあるが、それも違う気がする。

 やっぱり私が生きていくには、戦うしかない気がするのだ。


 そこで、勇者学校の場所を調べそこに行くことにした。王都タティンブルグのルース街にあるという事でそこに向かう事にする。

 ルース街、少し遠そうな気がする。

 結構歩きそうだ。

 本気で走ったらすぐにたどり着きそうだ。だが、ゆっくり歩いて向かった方がいい。


 その方が今の現状を知れる。

 んるほど、周りの風景を見たら、あの頃よりは大分空気は重い

 皆の目にあの頃よりも希望を失っているようだ。

 確かにあの頃は魔王と言えばラベンヌだけだったが、今はほかにも魔王がいるみたいだし、状況は悪いという事か。


 しかし、本当に町は発展していて、私の封印前とは全然違う。

 レオニスにいたってはいまだにむかつくけど、こんなでかい街にしたという事で、そこは評価してもいいかなと思った。

 その途中武器屋さんがあった。だが、今の私にはお金がない。買うことが出来ない。我慢してそのまま進む。


 するとその途中、奴隷市場なるものがあった。手が拘束されている少女が売り物になっている。それも、魔族や亜人だ。亜人に関しては私の時代にはいなかった。

 だが、時間が経てばそう言う人種も出てくるという事だろうか。


 そこは置いといても、この感じは……人種が違うからと、迫害され、ここで奴隷となっているのだろう。

 ああ、気色が悪い、やっぱりこいつら奴隷売買人はくずだ。

 

 私はあの地獄によって少し鬱憤が溜まっている。

 少しのことでイラついてしまう。

 だけど、今問題を起こすわけには行かない。

 今はこの場を離れよう。


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