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大魔王の器の少女。三〇〇年後の世界で無双する  作者: 有原優


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第六話 魔王ラベンヌの脅威――これ勝てるの……?

 ああ、ぞくぞくする。怖い。殺されるかもしれない。

 でも、私がやらなければならない。

 村のみんなの平和を守るためにも。

 開けドア!!

 私は部屋のドアをぐぐぐ、と、豪快に押し開けた。


「ほう、私のところまでたどり着くか」


 魔王ラベンヌの姿がある。角を二つ持つ美人さんだ。

 思ったよりも顔が整っている。だが、その裏に持つ邪悪さは消しきれてはいない。

 こいつは悪だと、私の全細胞が言っている。


「ええ。あなたを討ちにね」

「ここに人が来るのは初めてだ。よもや人がここに来るとは摸わなかった。……今なら見逃してやる。帰れ」

「余裕ぶってるの?」


 なぜここまで来て帰らなければいけない。せっかく魔王の元へとたどり着いたというのに。


「私はあなたを許す気にはならない。あなたはこの平和な世を、地獄にした」

「ほう、それはお前が言えるセリフか? 大魔王の器よ」

「っ」


 やっぱり知っていたのか。


「お前がこの世に再誕したからこそ、我もこの世に再誕したのだ」

「何を言って」

「まあ、細かいことはいい。大魔王リスタル。お前にはあの時代にお前にやられた記憶があるからな。先ほど帰れと言ったが、あれは冗談だ。私はこの場で貴様を殺す」

「そう、私も同意見。過去の因縁とかはどうでもいい。今はあなたを殺して世界を平和にするのが先決だから」

「そうか、ではいくぞ!!」


 そしてラベンヌは火の玉を三つ私の方に放ってくる。


 威力が凄まじいと見える。

 これは直撃したらかなりのダメージを負うだろう。

 だけど、簡単に喰らってあげるわけには行かない。


 すぐさま闇のオーラで盾を作り、火の玉を防ぐ。

 そしてすぐさま闇で創造した剣でラベンヌに斬りにかかる。


「中々の防御力、そして、機転だな。だが、そんな速さでは私は倒せぬ」


 ラベンヌは上に飛び跳ね、「ダークバレット!!」と言って闇の魔弾を複数個発射した。


「効かないよ」すぐに闇の波動で防御を固め、バリアによってはじく。

「今度はこっちの番だね。ダークウェイブ!」


 闇の波動を飛ばす。その攻撃がラベンヌに当たる。


「おのれ、小癪な」


 当たると同時に走り、そのまま地面を蹴り、ラベンヌに斬りかかる。

 ラベンヌは闇で強化した自分の腕で私の剣を受け止める。

 中々斬りこめない。受け止められた。


「っ硬」


「そう簡単に切れると思わないことだね」


 そうして私の剣は弾かれ、そのまま壁に叩きつけられた。


「うるさい!」


 剣の強度が重要だ。剣を強化して、あの腕を斬らないと。

 剣の強度を上げるには……剣に纏う闇の濃度をあげないと。


 でもどうやって。

 っそんなことを考えている間に闇の球が五発も飛んで来る。考えてる暇はなさそうだ。

 私が攻めていたはずなのに、いつの間にか攻守が逆転している。


「っくそ」


 その闇の球を剣で斬る。だが、闇の濃度が上がっていく。

 一撃で消滅させられない。一つ一つを斬るのに、三撃が必要だ。

 だが、ラベンヌも私が闇の球を斬るのを待ってはくれない。

 どんどんと次の魔弾が襲い掛かる。容赦なんてない、これが魔王。


(だめ、防ぎきれない)


 ついに、捌ききれなくなった闇の球当たってしまった。

 その一撃で、私は思い切り地面を転がる。


(やはり、痛い)


 でも、死ぬほどじゃない。

 私がここで諦めたらどうしようもない。

 だが、この濃度の攻撃が連続出来たら対処のしようがない。

 圧倒的な火力不足。それが今の私の弱点だ。

 私も、もっと闇の濃度をあげなければならない。でも、その方法が分からない。

 どうしたらいいの?


「何を膝をついている。まだ、本気じゃないぞ」


 そんなことを考えている間に次なる魔弾がどんどんどんどんと向かってくる。

 これ以上来たら対処のしようがない。

 しかも、これが本気じゃないって?

 それじゃあ、本当に化け物じゃん。


「大魔王の魂をその身に宿す少女とは言っても、所詮その程度の実力か。実に残念よ。さあ、我が檻で永久に苦しむがいい」


 そう言って、魔弾を処理している私に向かって魔王が突撃してくる。

 っ、まずい。魔弾の処理だけで精一杯だというのに。

 この攻撃は……避けられない。この強さは私の理解を追い越してる。


「きゃああ」


 私の胸は、魔王の手によって突き破られる。

 胸がらどくどくと血が出てくる。

 痛い痛い痛い痛い。


 こんなのもとから無理だったんだ。

 なんだよ、この絶望的な強さ。

 これじゃあ、ただ遊ばれてるだけじゃん。

 レオニスさんが戻ってくるまでの間に私に勝つ方法があるの?

 ああ、ああ、ダメだ。膝が動かない。

 早く動かないと、次の攻撃が来て、私は死ぬ。

 でも、体が動かない。

 もともと無理だったんだ、

 実践経験のない私に、魔王討伐なんて……


(お前は諦めるのか? のう? 余を身に宿いし少女よ)


 その瞬間心に声が聞こえる。まさかこれって、大魔王?


(余は、お前と道連れになるなんて嫌じゃ、自分で何とかこの危機を脱しろ)


 そうは言われても……

 ちょっと待って?

 今道連れって行った?


(ああ、そうじゃ)


 私が死ねばあなたが解放されるんじゃないの?


(そんなのデマじゃ。きっと何者かがお主と余を守るために着いた嘘じゃろな)


 何だ、嘘か。って、そうじゃない。早くこの状況を脱しないと。大魔王、何か方法とかない?


(方法ならある。余の力を引き出すのじゃ。だが、それには余は干渉できん。自分で何とかするんじゃ)


 そっか。ヒントは?


(無い。自分で考えろ)


 無いか、酷いな。でも。


「まだ終わっていない」


 私は自分の体に着き刺さったらラベンヌの爪を無理やり引き抜き、後ろに下がる。

 くそ、死ぬほど痛い。でも、


「第二ラウンドを始めようじゃない」


 自分の体を何とか回復させながら言った。

  大魔王が干渉してくれている今。私には覚醒するチャンスがあるってことだ。

 そうだよ、諦めてなんか行けない。勝率が三パーセントでもあるのなら、その三パーセントを引き立出せるしかない。


 あの村の人々の笑顔を守るために。私があの村に戻れるように。

 やっぱり覚醒するヒントはしっかりとあるんだ。

 それをわたしが引き出せてないだけ。

 よくあるパターンだと、ピンチに覚醒とか、絶望の末に覚醒とか?

 いや、考えたって仕方がない。


「うおおおおお!!」


 私は自分の体に、魔力ではなく瘴気を身にまとう。

 そう、所謂魔素だ。

 体に瘴気を纏う事で、自分の力をあげる。

 自分の体の瘴気の濃度をあげる。


「それがどうした? そんな無駄な使い方をして」


 無駄なのは分かっている。効率的な方法じゃないのは分かっている。これじゃあ、魔力を無駄に消費してしまうという事も。でも、今は耐えるんだ。

 私は器用じゃない。魔王ラベンヌみたいな魔素の使い方なんてできない。でも。今の私にはこれしかない。


 とりあえず今は防御中心。

 魔王の攻撃が来そうな場所に魔素を集中させ、攻撃を防ぐ。

 これがいつまでも持つとは思わない。思えない。だからこそ早くこの状況を打破する手掛かりを見つけないと。

 覚醒を。

 考えろ、考えるんだ。

 さっき大魔王は何て言ってた?

 コツがあると言ってた。ならやっぱり守りを固めるよりも攻めたほうがいいの?


「何をしている。戦いの途中だぞ」


 そう聴こえた時にはもう目先に爪が伸びてきていた。しまった、これじゃあ、間に合……


「ふん!」


 目の前にいたのはレオニスさんだった。その手には英雄剣を持っている。という事は、見事に取ってきたという事か。


「ありがとう」

「どういたしましてだ!」


 正直戦いに必死で普通に存在を忘れかけていた。

 だけど、来てくれて安心した。

 これでまだ戦える。


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