第53話 真実
真っ白い空間。
そこにわたしは来た。
なんとなくあの封印されていた時を思い出す。
何もない空間に一人。あの時は発狂しそうになった。いや、発狂していた。
わたしは歩いていく。
もし、彼女、レイアに実は封印されていたらどうしよう、なんて思ってしまう。
でも、たぶん大丈夫だ。そんな感じがした。
そして、歩いていくと、
目の前に、少女がいた。
真っ白い長髪、そして、すらりと長い手足。
それを見ると、私はドキリとする。
可愛らしい美少女だ。
「あなたは」
私が訊く。
「我は大魔王リスタルだ」
その言葉を聞いた瞬間、驚いた。
大魔王リスタルはもっと威圧的な見た目だとばかり思っていたのだ。
「ふっ」
そして笑う。
「我の真姿を見るとは、幸運よな」
「意外だわ」
「意外だろ、我がこんな見た目だという事に」
私は頷く。
「リスリィ、我の宿主よ。お主はなぜここに来た。元の世界に変えれ」
威圧的な視線だ。
「我はここでは魔法は使えん。だから対話しかできぬ。しかし、お主と話すことなど、何もない。帰れ」
「帰らない」
私はそう告げた。
「私は貴方が嫌い」
「知っておる」
「でも、貴方には疑問に思う事がある」
リスタル。ずっと、分からないことがある。
「あなたはなぜ人間を憎むの」
私の言葉にリスタルは、
「むしろなぜ恨まぬかが分からぬ」
と返した。
「人間を信じるな。奴らは総じて心がない。我はあの日を忘れぬ。あの日をな」
「あの日に」
「そうだ、あの日だ」
あの人は、大魔王リスタルが猛威を振るうきっかけの日だろう。
わたし自身、色々と調べてきた。しかし、大魔王リスタルが猛威を振るう前の事は何も書いてなかった。むしろ、人間側がリスタルという悪意に脅かされ続けていた。そうとしか書いていない。
要するにリスタル側が理不尽な悪だと断定していた。
その時は何も疑問には思わなかった。
その時の私は人間を信じていたから。
だけど、今のわたしは人を本当に信用していいのかが分からなくなった。
「貴様の迷いも分かる。人と魔族二つの懸け橋になろう貴様が人間を信じたいのは分かる。しかし、人間はすぐさま裏切る生き物だ」
そして、私の元に歩み寄る。
それに私は警戒を示す。
「大丈夫だ。我は貴様を害することなどせん。ただ、真実を歩むだけだ。貴様に2000年前の真実をな」
その言葉にわたしは頷く。
リスタルを信用するべきではない。しかし、私は人間側の戦力として、魔王を打倒した。それにもかかわらず二度もやられかけた。
それならば人を信用するべきではないかもしれない。
実は、リスタルの方が善な可能性もある。
「心は決まったな。今から伝えるぞ」
私は頷いた。
★
大魔王リスタルは一国の王女として生を受けた。
彼女の国は魔族の国だ。
魔物と共存する王国だ。
面積はそこまででかくはなかった。
そもそも魔族は寿命が長い。数百年、数千ねんも生きるのだ。
その中で、野望という物はないのだ。
リスタルは、王国を維持しようと必死に努力した。若き頃から必死に培ってきた知識を生かし、国をどんどんと豊かにしていった。
いつしかリスタルは国民から、愛される存在であった。
ある時までは。
「ふう、今日も頑張ったわね」
リスタルはそう呟き、ベッドに寝転がる。
今日は農地の視察に出向いた。
その日年不作だという農作物。その対策を打つために現地に赴いたのだ。
農地の魔族には感謝をされた。わざわざ現地まで見に行って対策を考えるものなど中々いないと。
その言葉に、リスタルは何となくムズ痒さを覚えた。
しかし、自分が期待されているその気持ちを抱いた。
その時のリスタルはまだ女王になってから20年ほどしかたっておらず、まだまだ新米だった。
そのため、
一人になりたい時間もあった。
ぬいぐるみを抱きかかえる。
(私だってまだ子供なんだもん)
まだ子供。
親の早死ににより早期に王位にはついたが、まだまだ子供のままで射たかった。
「本当の私を知っている人はどれだけいるんだろ」
この国のトップに立つ者が、実は夜ぬいぐるみも抱かなければ眠れない少女だという事を。
「まあ、そんな事どうでもいいよね」
そう言って小さな笑みを浮かべた。
「私が頑張ればいいんだから」
そして笑った。
その頃だった。
人間側に動きがあった。
「勇者よ、魔王を討伐してくれんか」
そう言われた少年がいた。
その少年はリスタルを封印した勇者、ラスカルではない。
ただの勇者だ。
王国には魔物の被害は会った。しかし、それ等はリスタルら魔王のせいではない。
しかし人間は魔王の責任ととらえていたのだ。
そして、少年は静かにうなずいて見せる。
「分かりました」
と、
そしてしょうねんは仲間を募異、どんどんと野良の魔物を倒していき、そして、大魔王の元へと近づいていく。
リスタルの国へと。しかし、その時リスタルはそんなこと何も知らなかった。国が脅かされそうになっているという事に。




