第46話 メドリア
「ほう、よくぞ、ここ舞たどり着いた」
メドリアと思わしき人物がそう言った。
「だが、貴様らの死はもはや決定事項、このメドリア様の前ではな」
そして立ち上がる。
「来るぞ」
レアネスさんが叫ぶ。
「行きます」
そう言ったミドレムは一気に火炎球を飛ばす。その威力にメドリアはたじろぐ。
「なるほどなあ」
だが、怯んだのは一瞬。一気に私の方へと向かってくる。
「援護……します」
そう言ったオルフィが私にバフをかける。そして魔法を飛ばした。
「魔王……メドリア……許せない」
オルフィの目つきが変わった。いつものかわいらしい物から憤怒をはらんだ物へと。
オルフィの放つ高速の魔法の弾はメドリアの首元に命中し、一瞬メドリアの動きが鈍った。
「これなら」
私はそのまま手に持っていた剣で一気にメドリアの図体を斬りに行く。
だが、皮膚が硬くて、うまく斬れない。
「攻撃が貧弱だな」
まずいと思った時にはすでに遅く、拳で殴られていた。
「うおおお!」
二撃目が来る。私は上手く剣で合わせようとするが、間に合わない。
だが、その拳は私に当たる前にレアネスさんが防ぎ、さらに背後からディアスの攻撃が当たる。
それに合わせて背後から魔法弾が飛んできてメドリアに当たる。
「おいおい、そりゃあ、卑怯じゃねえの? 卑怯だろがあ」
そう言ったメドリアは一気に地面に拳を向け、地面をえぐる。
その衝撃波で、私たちは吹っ飛ばされる。
(力を溜めての一撃とはいえ、なんて威力。直撃してたら死にかねない)
しかも、問題点がある。この周りには魔素が少ない。
私の全力が出せない。
っえ、ぼーとしてるわけには行かない。私も戦闘に参加しなくては。
「フレイムバースト!!」
炎弾をとばし、目の前で爆破させる。
「これは何だあ」
そして、背後に回り、視界が消えたメドリアに対し、ゼロ距離で魔法弾を飛ばす。
その衝撃でメドリアは解くまで飛ばされる。
「よし!」
ディアスが喜ぶ。
だけど、これで終わるわけがない。手応えが無さすぎる。
「いてえじゃねえかよ」
体はぴんぴんしている。内的なダメージは残ってるだろうが、私の全力でこのダメージなんて。……化け物だ。
「決めた。女、お前をまずに殺す」
メドリアは一瞬で距離を詰めてきた。
拳が飛んでくる。
頭に向かってくる拳。私は咄嗟にかがんでギリギリで避けられた。
だけど、次が来る。
これは避けられない。
私は拳の衝撃を避けるように拳に合わせて後ろにのぞける。
直撃した。
「はあはあ」
痛い。ダメージが大きい。
「レオネスさん頼みます」
私は背後に回って、攻撃に回る方が良い。
そしてディアスとレアネスさんに前衛を任せる。
だけど、遠距離からの魔法は効果が薄い。
やっぱり接近して撃たないと。
それに、魔法だけで言えば、ミハイムやオルフィの方が強いのだ。
「なあ、見ているだけかよ、女あ」
「お前の相手は俺だ」
二人がぶつかり合う。だが、二対一、強いては四対一なのに中々攻撃を当てられない。
メドリアの体力は減ってる様子はないが、レアネスさんと、ディアスの体力は減ってきている。
「ここらが潮時か」
そう言ったレアネスさんは剣を引き抜いた。あれは英雄剣。
今日も持ってきたのか。
レオニスにはそこまでの力を貸してくれなかった剣だけど、それでも、剣を持った彼は、力があふれると言ったようなことを言っていた。
きっと、大魔王の器以外にも力を与えてくれるのだろう。
「行くぞ!」
剣を持ったレオネスさんの剣がメドリアに突き刺さる。
その一撃が、ぶつかり合って、衝撃がこちらまで飛んでくる。
中々熱い戦いだ。先ほどよりもきちんと戦いになっている。
でも、これじゃあだめだ。
決定打がない。
私も魔導士として、援護をしっかりとしなければ。
「ファイヤーバーン!」
炎を飛ばし、爆発させる。
だけど、メドリアはひるむことなく攻撃を続けている。
(いいのか? 今のお前ではあいつの助けに慣れんぞ)
大魔王。再び現れたか。でも、私は今その甘言に乗るわけには行かない。
最近では魔王の生まれ変わりと一割れているものが現れてきている。
その人たちと同一視されたら困る。
闇の魔力を使うわけには行かない。
ただ、そうこうしているうちにどんどんとこちらの状況は悪くなっていっている。
レアネスさんとディアスの体力はどんどんと失われてきている。
そうだ、闇の魔力を使わなくたって、私にもできることはしっかりとある。
魔法の援護? いや、かく乱だ。
私自身魔法の使い方は、しっかりと学んでいる。
レアネスさんとディアスの邪魔をせずに魔王の妨害をする方法。
今まさに、魔王が拳をディアスに振ろうとしている。あれが当たればディアスへの大ダメージは避けられない。
「ここだ!!」
私は煙幕を張る。
魔王の拳はディアスの横二〇センチのところの空気を切り取った、
ふう、危ない。
「みんないったん退避しましょう」
このまま戦ってて勝てる相手じゃない。策を練らなければ。
「こいつをこのまま放っておくんですか? せっかくここまで来たのに」
「一旦引くだけだよ、ミハイム。あなたたちの仇は絶対に私が取らせてあげる」
「……一応隊長的なのは俺なんだが……まあいいだろう。皆引け、そして二人はリスリィに合わせて魔法を放つんだ」
「はい!」
「……うん!」
煙がばらまかれ、魔王の視界が奪われている。その隙に私たちはいっせいに逃走する、
「しかし、本当に強いな。魔王メドリア」
「そうだね」
「しかし、事前情報では魔法の類を得意としているという情報があった。やはりあいつは影武者だ」
あれが影武者。となれば本体はどれほど強いのか、想像もつかない。
だけど、目下の目的は変わらない。一先ずはあの偽メドリアを撃破しない事には本物にはたどり着けない。
「あまりアタッカーっていうか、剣士を増やしても意味がないと思うんだよね。剣士というよりは、魔法でかく乱するというか」
「でも、並大抵の攻撃ではダメージを与えられませんよ」
「そこなんだよね」
それが一番の問題。
私的には、ものすごい魔力の使い手よりも、フィジカルで勝負するタイプの人が苦手。
何しろ、小細工が通用しない。
あの守備力を突破するなんて政党法じゃ、絶対に無理だ。
となれば弱点を見つける必要がある。
あれ、でもあいつが、魔王メドリアじゃない可能性があるんでしょ?
なら、本当にあいつを倒す必要ある?
じゃあ、
「本物を倒しに行きませんか?」
そう、私は提案した。




