第四十四話 魔王城へ
確かにあいつは個々の力は強くはない。
でも、だからと言って一瞬であの数を……。
「負けてられるかよ」
ディアスも走り出す。なら私も!!
私も一気に戦場へと駆け出した。
その勢いでみんなで敵を狩り尽くしていく。
スコーピオンもその襲撃の勢いに耐えきれず、あっという間に全滅した。
「所詮は初見殺しだな」
そう、レアネスさんは呟いた。
そして三日目。新たな魔物が出現した。
それは、アリ地獄だ。地面に忍び込み、砂の下にて、獲物を狙っている。
しかも厄介なのは、砂嵐を上にまき散らしているという事だ、
そのせいで、近づいたら最後。その中に埋められてしまう。
となれば距離を取って戦うしかない。だが、あのアリ地獄は、地上には出ていない。
地面の下にもぐっているのだ。となれば、攻撃を当てるのが非常に難しい。
「じゃあ」
私は上に水の矢を打ち上げる。そして、それぞれのアリ地獄に向け放つ。
コントロールもスピードも捨てる。そしたら純粋な威力のみが残るのだ。その威力で、アリジゴクたちは四散した。
「よし!」
これで、今回も無事に倒せた。
「ナイスだリスリィ」
レアネスさんに褒められた。
気持ちがいい。
ふう、歩みを進める。
「きゃあ」
地面が空いた?
どういうこと?
まさか。
「アリ地獄」
砂の中を潜って私のところまで来たのね。しかも一瞬で地面を開閉させる能力。
さっき仕留めそこなったのか。
そうだった、こいつは魔力を持っている。
となれば不思議な力を仕えても何ら不思議ではない。
「油断した」
「リスリィ」
ディアスが叫ぶ。
「私よりも地面警戒して。次か来るかもしれない」
「分かりました」
そう言ったミハイムが、浮遊魔法を使う。
「さて、私は」
足がかじられててめちゃくちゃ痛い。
足がもぎ取られてしまうかもしれないくらいの痛みだ。
しかも近距離だから、むやみに魔法を使う事もできない。私の足がアリ地獄に捕らわれている以上、魔法を使ったら私の足ももぎ取られてしまう。
ならば、足から微量な魔力を放出する。私の足の先はアリ地獄本体なのだから。
「ウォーター!!」
足から微量な水をものすごい勢いで放つ。
あまりやったことは無いが、案外行けるものだ。
その影響でアリ地獄が私の足から離れた。
私は手から水を出し、とどめを刺してから上に再浮上した。
「ふう」
中々厳しい相手だった。
かなりしんどい。
まあでも、これで決着はついた。
上に上がってみると、みんなアリ地獄に捕らわれていた。
レアネスさんやディアスも含めて。
私とミハイムとオルフィだけだ。
「ねえ、みんな聞いて」
「はい」
「……はい」
「こいつらは水が逆転だと思う。だから地面に水をしみこませたらきっとこいつらは返ってくれるわ」
そもそも砂漠とは水が失われた世界だ。そこに住み込む時点で、水が苦手だと自白しているようなものではないか。
そして、水でしみこませれば、その奥に押し込められる。
その後は、実質的な水のバリアの様な物を張れば、大丈夫だろう。
「行くよ」
「命令に従うのもしゃくですが、……やりましょう」
そして私たちは一気に水を土に湿らせる。すると、アリ地獄たちは目の色を変えたように一目散に去って行った。
「ふう」
ここまでやれば大丈夫かなつと。
その後は水の幕を張りながら進んでいく。
そしてその後も進むこと暫く。
ついに魔王城があるとされる砂丘へとたどり着いた。
「ここを下に降りれば、魔王城ね」
あの時を思い出す。今回の魔王もきっと強いのだろう。
緊張する。だけど、今回は沢山の人がいる。きっと大丈夫だろう。
「まずは計画を立てる。さもなければ、罠にかかるからな」
なんだか、この話は聞いたことがあるような。
まあ、気のせいだろうか。
レオネスとレアネスさんが似ているからこう思ってしまっただけだろう。
「俺たちは沢山いる。だが、魔王は強大な生物だ。波の戦士が戦ったって戦力にはならない。だからこそ、俺達は魔王討伐組と、囮役に分かれる。そして、魔王討伐組は少人数で行きたい。そのメンバーは、俺、リスリィ、ディアス、オルフィ、ミハイムだ」
五人。アタッカー三人魔導士三人か。
そして私が兼任。
魔王討伐だけに精鋭を使ったら周りが疎かになる。ッという訳で、私達連携の取れる四人と、レアネスさんか、理にかなっている。
そして魔王討伐時の話もした。
今回の魔王は基本的に近距離メインの魔王らしい。だから、いかに前衛が魔王を引き連れて、その間に術死が魔法をたたき込むかという事だ。
「行くぞ」
そして私たちは中へと入っていく。




