第三十八話 拷問そして隣国へと
「こいつがラベルか」
レアネスが言う。
ラベルは小ぢんまりとしており、本当に数々の事件を引き起こした張本人には思えなかった。
「さて、お前は罪を犯した。その罪は重いぞ」
「はは、私は絶対に情報を吐きません。それほど重いのですよ」
「やれ」
レアネスの部下が、ラベルの脳に器具を取り付ける。
「今や、魔法での拷問が主流だ。今から拷問を行う」
その刹那、ラベルの脳内には残虐な映像が流れ出す。
仲間に八つ裂きにされる映像。
魔族の村を自ら殲滅していく映像などなどだ。どれも、現実さながらのリアル度で、発狂してしまうほどの映像であった。しかもそれが、一秒間に20分程度の密度で流れる。五分経てばもう6000分。時間に直して、100時間だ。
「はははあははっははは、そんなので狂うとでも。こんな地獄は何度も見てきましたよ。冗談は顔だけにしろ人間」
「魔力を流せ」
ラベルを前に、レアネスが命令する。すると、ラベルの目から血が流れ込む。そう、まさに地獄の苦しみとなるだろう。
地獄の光景を見せられながら、地獄の苦しみを受け、情報を吐くまで、解放されることのない地獄。
情人なら、物の一分で、苦しみのうち、情報を吐くだろう。
だが、ラベルは違う。
ラベルの精神は異常なのだ。
「くくく、あはははははは。これを私が情報を吐くまで延々と続ける気ですか。なら無駄ですよ。私は口を割りません」
そして有言実行通り、何日経っても情報を吐くことは無かった。
★★★★★
「勇者リスリィよ。よくぞラベルを捕らえた。この活躍を焼死、特別S級を称する」
特別S級。確かレアネスさんしかもらった人がいないと有名な奴だ。
この瞬間、私はこの学園のナンバーツーになったのか。
光栄な事だ。
とはいえ、今までもそうだったみたいだけど。
そう、別に称号が与えられても、私にとってはほとんど関係が無い。
私の目的は地位ではなく、魔王討伐のさなか、平安な日々を目指すという物なのだから。
そしてあっという間に、闘技会の日は来た。
別の勇者学園の支部と戦うのだ。
そしてこの日のために、ミハイムを仲間にしたのだ。
あの日からいくつか小さな依頼をこなしているが、大魔王リスタルは姿を現さない。
あいつはピンチの時にだけ出るのかな。
私としては、大魔王は永遠に出てこなくていいのだが。
まあ、それは置いといて、私とオルフィと、ディアスとミハイムの四人だ。
その人数で隣国へと向かう。
「今日は勝てると良いな」
「勝てるでしょ」
ディアスの言葉に対してそう返す。
「なんだよそりゃ」と、ディアスは言うが、
魔王の右腕ハルステウラを倒し、ラベルまで捕らえた。
そんな私たちが今更負ける道理はないだろう。
逆に負ける要素が見つからない。
このパーティなら、全ての敵をなすすべなく破壊しつくすことも可能だろう。
「リスリィ、君にはがっかりだ。いくら何でも試合前から勝てるでしょは、礼儀が鳴っていない、相手を見くびると負けるぞ」
「あれ、ミハイムってそんなキャラだっけ?」
最初は出場は嫌がってたような。
「僕は負けたくないんだよ。何であっても。だから、君も手を抜いたら許さない」
「はいはい」
分かってるって、勿論私は負けるつもりはない。
絶対に負けるわけには行かない。私はこう見えて負けず嫌いなのだ。
「ただの余祝だよ。言霊ってあるでしょ? 勝てるって言ったらそれが実現するんだよ」
「そんなオカルトな……」
ディアスがあきれた様子を見せる。
「じゃあ、ぼろ勝ちしたら、どうしてくれる?」
「どうもしないが」
「じゃあ、信じてよ」
私の言葉が嘘だというんならさ・
「二人とも……喧嘩は……やめて」
オルフィが困った様子で言ってきた。
確かに今言い争いするわけには行かない。
「いやー、お待ちしておりました」
中に入ると、学園町と思わしき人物が話しかけてきた。レアネスさんとは違う。
だいぶおじさんだった。髪の毛も剥げている。
「今日は我が精鋭と戦ってくれるとのことで楽しみです」
「ええ、こちらこそ楽しみです」
そう言ってディアスは学長と握手を交わした。
その後複雑な話をされたが、それはディアスが対応してくれた。
ディアス、中々やるじゃん。
それで、私たちは本日泊まる寮へと戻った。寮と言って特別対応だ。
部屋は豪華で大きなベッドもある。
まあ、そりゃそうだよね。
試合は明日だ。
それまではゆっくりと休もう。
「なあ少しいいか?」
寝ようとしたときに、ディアスが来た。
「明日の試合どう思う?」
「明日の試合? どうかしたの?」
「何か匂わないか? 今日のあの学園長の感じは」
「……何か仕組んでるってこと?」
「ああ、杞憂だと良いがな」
ディアス。中々意味深なことを言うなあ。
でも、主に学園長と話していたのはディアスだ。
その勘が当たらなかったらいいんだけど。




