第三十三話 魔王の右腕
そして、私たちは一緒にうまく戦うために、一緒に実践訓練をしようとしたが、ミハイムは中々私たちと一緒に特訓してくれなかった。
というよりも、ずっと部屋にいなかった。
おそらく、町の図書館にでもいるのか、魔物と戦っているのか。
どうやら、彼が了承したのは、本当に本番の日に一緒に戦ってくれると事だけらしい。
それ以外の時は意図的に私たちを避けているのだろうか。
そんなある日、私たちに任務が下された。
それは、調査隊が、魔王軍の幹部の所在を見つけたらしい。
魔王の右腕、ハルステウラがとある洞窟の中に潜んでいるという事らしい。
それを、討伐するという任務だ。
今日は、ミハイムも学園全体に出された任務という事で、出陣だ。
武闘祭まであと二週間に迫った今日だが、ようやくミハイムと一緒に戦える。
ちなみにだが、イスハちゃんと、レイラは戦えるようにはなって来たものの、魔王の右腕と戦うのはやっぱり魔族としていやらしい。
そもそも私達に戦いに行ってほしくなさそうだった。
まあ、私からすると、国王的な物?
まあ、それだったら私死んでほしくないって思わないか。
そして出陣の時だ。
「ミハイムさん……よろしくです」
「……僕はあくまで君たちと群れるつもりはない。ただ、単独行動は危険だから君たちと行動するだけだ」
「うぅ、分かり……ました……」
「あーあ、オルフィがかわいそうじゃん」
「うるさい」
そう言って、ミハイムはずんずんと先へと進む。
単独行動は危険って言ったのは、ミハイムの方なんだけどな。
今回のハルステウラが潜んでいるのは洞窟の中田。その洞窟の中に立派なアジトを作っていたらしい。そのアジトの場所を、とある密告者が調査隊に教え、発覚しアtらしい。
その密告者がいなければ、永遠に見つからなかった可能性があるから。
そして大きな広場に来ると魔物が沢山いた。
どれもこれも狂暴そうな魔物だ。
各々周りの魔物とは全然レベルが違う。現に苦戦してる人が大半のようだった。
「でも、私は別だけど」
いくら魔王の血からが封じられているとはいえ、既にかつて魔王を討伐した時くらいの力は余裕で出せる。
私の力は日々増しているのだ。
「行くよ!!」
私はそう叫んで、剣で魔物達を次々に斬っていく。
一体を殺せば、次の一体。それを殺せば次の一体と言った感じで。
「くぎぎ」
魔物達が私を取り囲むようにして立つ。
その背後には見知った顔が。
「貴方もいたのね、ラベル」
「はっう、リスリィ。今回こそ君の命を取る」
ラベルの指示となれば危険だ。
密告したのもラベルの可能性もある。
魔物達から黒色のオーラがあふれ出る。
一気にそれらの魔素量が強化される、ラベルの強化魔法だろう。
これで簡単に倒せる相手ではなくなった。
だが、いくら強化されても元は雑魚だ。私に敵う相手ではない。
「そこをどいて」
一直線にラベルの方に斬り込みに行く。
ここで、ラベルを撃たなければ、また数千、数億の犠牲が出る。私はそれを許容するわけには行かない。
「怖いですねえ!!」
ラベルの足元から次々に魔物が出てくる。
しかも一レベル上がった魔物だ。
ラベルにとってここは一拠点だ。
最悪ここを放棄してもいい。
ラベルにとっては他に群雄割拠している魔王たちに従ってもいいわけだ。
つまりここで重要なのはハルステウラの首よりも、ラベルの首だ。
だからこそ、逃がすわけには行かない。絶対にだ。
「ラベル。あなたは許しません。ここでいま、貴方を討ちます!!」
「は、この魔物達を前にして言えるか」
その時、私の耳元を魔法がかすった。
「何?」
そして、魔物が大勢爆破された。
後ろを振り向く。すると、ミハイムが魔法を撃っていた。
「僕を忘れるな、ラベル」
「はは、君もいましたね。君は私が過去に蹂躙した村の子供でしたね」
ラベルがミハイムの村を襲ってた?
初耳だ。ラベルを初めて見たのは私なんじゃ。
「君には記憶障害を犯させていたはずですけど、おかしいですねえ」
「それは、お前を今見て気が付いた。お前がやったんだなって。なんで殺した?」
「私の正体に勘づかれそうになったからですよ。君のお父さんお母さんは魔導士だったのでね、まあ、それはいい、せっかく生き残ったのに、ここで殺されるとはね」
そして、ミハイムの前に大量の魔物が製造される。
「さあ、くたばりなさい」
「くっ」
ミハイムがまずい。
「ふん、俺も忘れるな」
ミハイムに襲い掛かろうとした魔物達をディアスが斬った。
「こっちは大丈夫だ。だから今はラベルを打ち取ってくれ」
「ええ、分かったわ」
「はあ、くだらない」
ラベルは更にたくさんの魔物を生み出し、そして消えた。
「どこに!?」
「私の任務はあくまでも足止め。それだけです。ではまた会いましょう」
不利と見たらすぐに逃げる。一見賢い応報だが、私はそれを良しとしたくない。
心底腹が立つ。
主への忠義よりも、自身の身の安全。
「ああ、安心しました。ラベル、貴方が本当のくそ野郎で」
そう、ミハイムが言う。怒りが込み上げているようだった。
今度は打つ。だが、今はこの魔物達を倒しながら、右腕ハルステウラを撃たなければ。
先程、時間稼ぎと言った。時間稼ぎという事はいまハルステウラが討ってくる手は二つ。
力を溜めているか、逃走しているかだ。
私的には後者が起きいと思う。
だからこそここは、攻め込むのが一番。
「リスリィ、ここは俺達に任せて先に行け。ここでの目的を忘れるな」
「ええ」
私はオルフィとミハイムの魔法をかいくぐりながら攻めていく。
今、ここでの戦闘は意味がない。
所詮は雑魚をいくら倒しても意味がないのだ。
親玉を倒さなければ。
しかし、三百年前に比べてだいぶ戦闘は複雑化しているようだ。
何しろ、敵の幹部ともいえる右腕が別で暗躍しているのだから。
前だったら、魔王城に忍び込み、魔王幹部を倒し、魔王を倒せば終わりだったのだ。
しかし、それにしても魔物のレベルは確実にあがっている。こいつら一体一体が過去の魔王幹部レベルはある。
ふう。となれば魔王の右腕は魔王ラベンヌ以上の力がある可能性もある。
となれば激戦は必至だ、
そもそも逃走している可能性もあるという事は念頭に置きつつ、私は向かって行く。
そして、扉が待ち受けていた。すでに魔力はそこそこ使った。
ああ、ラベンヌ戦を思い出す。
あの時私は、ぼろぼろにされたんだっけ。それを能力覚醒と、英雄剣の効果で逆転できた。
今回は英雄剣も、闇の魔力もない。
だけど、今日はこれまでの集大成。この時代で学んだことを発揮して倒してやる。




