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大魔王の器の少女。三〇〇年後の世界で無双する  作者: 有原優


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第三十話 奴隷

 翌日。私は服をきちんと着て、出かけた。とはいっても、私はおしゃれになんて無頓着だ。

 何しろ、おしゃれしてお出かけとかそう言うの考えたことが無かったから。

 だって、考えてみて、今は所謂戦時。しかも、私には戦闘しか能がない。顔は整っている方だとは思っているが、それでもその顔をさらに際立たそうなんて考えたことがない。


 そこまで考えて一つの事実に気が付いた、


 あ、私。戦闘用の服、つまり制服しかない。


 少しショッピングをしに行かなければ。




 ★★★★★


 結局、何も分からないまま、よくわからない服を買うことになった。

 店員さんに似合う似合うと連呼されたワンピースと帽子を買った。

 でも、とにかく店員さんに服似合うわと、言われたおかげで自己肯定感はきちんと上がってはいるのだが。


 そして翌日はその服を着て出かけることにした。待ち合わせ場所は学院の前。



「来たよ」


 そう、私は待っていたディアスに話しかける。

 ん、彼は少しだけおしゃれをしているようだったが、そこまでは変わっていない。

 これは、おしゃれな服選びを私なりに真面目に頑張った私が馬鹿を見る結果になるのだろうか。

 まあ、ディアスもおしゃれなタイプではないし、これが、ディアスなりのおしゃれなのだろうか。


「じゃあ、行こうか」

「ええ」


 私たちは歩き出す。


 そう言えば私はあまり休日にお出かけしたことが無かった。

 主に任務がない日は、特訓をするか、部屋でごろごろするかの二択だった。


 町並みはこの町に来た時にしか見たことがなかった。

 けど、それにしても、


「相変わらず奴隷が多いわね」


 やっぱり奴隷商人たちを見ると、嫌気が指す。

 だって、あいつらは人のことをただの道具とみているのだもの。

 余談だが、奴隷商人が扱っているのは、借金苦で苦しむ人たちもいる。これは、借金のかたに自分を売るしかなかった人がいるからだ。。


 だが、それと同様に、売られてるのが、魔族の子供という例もある。

 その背景にはここ数年で魔族が増えたという事が挙げられる。

 魔族は基本魔王領に所属している。だが、その際人間側が魔王の陣地に攻め込む際に、魔族が見つかることがある。

 その際に魔族の親は殺し、子供は魔封枷をはめて、奴隷にするという事なのだ。

 私は魔族が嫌いだ。ラベルと同じ種族だから。

 だが、子に罪はないと思うのだ。


 彼らは主には自身では罪は犯してないのだ。

 そう言う意味で言えば、人間と魔族。同じだろうにと思う。

 とはいえ、人と魔族の戦争なのだから、仕方ないのかもしれないが。


「なーに見てるんだ? 行くぞ」

「あ、うん」


 私はディアスについていく。

 しまった。思った以上に思索に耽っていたようだ。


「今日は、少しここに行きたい」


 そこにあったのは、奴隷専門店だ。

 今まさに私が嫌ってたところじゃん。

 てか、おめかしってこのため?

 確かに、奴隷専門店は、高貴な人が行くイメージがあるのだけども。


「どうしてここに?」

「ちょっとな」


 そう言ってディアスは入っていく。

 ねえ、なんで?

 

「俺は、ここに召使のメイドを探しに来た」


 中の美少女奴隷たちを見て、決め顔でいうディアス。


「最低……」


 私は思わずそう呟いた。

 最低の思考だ……。


「なんでだよ。別にいいだろが」

「まさかおめかししてと言ったのもこのため?」

「悪いかよ。お前なら色々と知ってるだろと思ったんだよ。内なる魔力とかそう言うのが」

「強い方が良いの?」

「そりゃな、希少な奴隷を安く買いたい」

「……やっぱりそう言う事ね」


 最低すぎる。

 きっと、脳内にはエロい妄想があるんだわ。

 実際に、美少女奴隷が、性欲発散のための道具として買われたという話もよく聞くのだ。


「やっぱりってなんだよ。つうか、そんな目で見るなよ」


 私は今軽蔑の目でディアスを見ている。


「逆になんで、それに私を誘ったのよ」

「オルフィが来るわけないだろ」

「私もこういう事だと知ってたら来てないわよ」


 むしろ、私なら来ると思ってたところが腹が立つ。


 せっかくおめかししてきたのに。馬鹿みたい。


「とりあえず、珍しい魔力があるのは、この子だね。内なる潜在的な魔力が凄いから育てたらすごいことになるかも」


 そう私はディアスに告げた。


「とりあえずこれで、私の仕事は終わったよね」


 そう言って私は傍の椅子に座った。私が頼まれた仕事はここまでだ。後は。ディアスに勝手にやってもらおう。

 本当に、本当にばかみたいだった。


「おい」と、ディアスは私の肩に手をかけてくるが、もうそんなこと知ったこっちゃない。私はそんなディアスの手を跳ねのけるのだった。


 冷静に考えたらそこまで怒るようなことではない。

 先程はああ入ったが、ディアスがただ欲望のためだけに奴隷を使うとは思えないのだ。それを考えればどこの馬の骨か分からないようなおじさんが買うよりも断然今の形の方が良いのだ。


 ただ、なんとなく嫌だったのだ。釈然としないし。

 ただ、あくまで私にそこまで口出しする権利はない。

 黙ってみているしかない、

 

 さて私は私でどうしよう。このままここに座ったままというのもつまらない。

 私は私で見て回ろう。


 勿論買う予定などないのだけども。

 すると、早速一人の奴隷が目についた。


「これは……」


 その子は、片目がつぶれており、眼帯で隠していた。

 そして汚い見た目だった。

 恐らくだが、人間たちの侵攻の際に、親をかばって、怪我をしたとかそんなのだろう。

 そして、両の手が後ろに縛られていて、首枷や、腹枷など様々なありとあらゆる拘束具で拘束されていた。

 それこそ、何も抵抗のできないように。一切動けないように。


 だが、その目は死んでいない。人間を恨んでいる様相が見えた。


 だが、それは私には関係のない話だ。

 私と住む世界が違う。私がこの子をスルーしても私の人生には何ら変わりはないだろう。

 だが、私はこの子が気になって仕方がない。

 才能がありふれているという事でもなさそうだが、

 どうしようか。

 買ってもいいけど。


 いや、先程否定しておいて、何を言ってるんだ、私は。

 だけど、一つだけ思う事がある。このまま放っておくよりも、私が買った方が、この子は絶対に幸せな人生を送られるだろう。

 それにこの傷。恐らく私、もしくはオルフィなら直せるだろうし。


 結局熟考の末に、買おうと決心した。


「あの、この子はどういった奴隷なのですか?」

「そうだな。簡単に言えばこいつは食わせ物だ」

「食わせ物……」

「そうだ。こいつはいわば特殊な能力を持ってるんだ」

「特殊な……能力?」

「そうだ。こいつは、他人の心を読むことが出来る。そのおかげで、人には絶対に名ついちゃくれねえ。実際ここまで厳重に拘束されている理由にはそれがあるからな」

「なるほど……」


 つまり、人には懐かないという事か。

 あの人間を憎む目もそう言う事なのか。


 それに、人の心が読める。それってなんとなく、使えそう……。


 私はこの子を道具扱いする気は毛頭ないが、それでも、人の心を読めるという事は、私の身に危険が迫ったときに使えるっていう事だ。


「決めました。私、この子を買います」

「辞めといた方が良いと思うがな。俺は忠告したぞ」

「ええ」


 そして私は大量のゴールドを支払い、彼女を買った。

 

「大丈夫。私は味方だよ」


 そう言って、彼女を引き取る。彼女は虚ろな目をしている。

 やはりなにも信用してなさそうな目だ。

 この子は私たち人間にひどい目にあわされてきたのだろう。

 私は決して魔族の肩を持つつもりはないが、それでも、この子には同情する。

 過去の私の影をこの子には見ることが出来るのだ、


 過去の私も、大魔王の魂を宿しているというだけの理由で、虐められてきた。

 その私に。


「貴方は私が買うわ」


 そう、私は彼女に告げる。


「人間なんて、くだらない。たとえ、大魔王の」

「だめ」


 私は慌ててその口をふさぐ。

 この子は知っているのか。そうか、思考が読めるという事はそう言う事なのか。

 その事を知られたら私は抹殺されてしまう。



「ん、リスリィお前、結局買ったのか?」


 その様子を見てたらしいディアスが私に訊く。


「気になったからよ。別に元来の奴隷みたいな扱いをすることもないわ」

「その割には、拘束されたままだが」

「今は、鍵を持ってきてもらっている最中だから」


 今はまだ手足は先程のままの拘束だ。

「ふーん。しかし、結構厳重な拘束を施されてるんだな」

「みたいね。でも、大丈夫。すぐにこんなむさくるしい、拘束から解放してあげるから」

「……私が裏切るとか思ってないの?」


 訝しげに訊いてきた。


「大丈夫。あなたは裏切らない。それにね、首枷で私はいつでもあなたをしびれさせることが出来るみたいだから」

「……そうみたいだね。はあ」


 あからさまなため息を吐く彼女。


「名前は?」

「レイラ」

「そう、これからよろしくね」


 そう私は彼女に語り掛けた。それに対しレイラはそっぽを向いた。

 まだ信用はしてもらえないか。でも、こういうのは根気が必要だ。

 彼女と仲良くなるために頑張っていこう。


「それで、ディアスは?」


 彼は二人の奴隷を連れてきていた。


「二人?」

「ああ、良いだろ」


 確かに二人いる。一人は魔族の子供で、もう一人は人間のメイド服を着させられた10歳くらいの少女だ。


「ディアス……変態だね」

「変態行為はしねえから安心してくれよ」


 そう、必死に首を振るディアス。

 面白い。

 さて、本当にしないのならいいのだけれど。


「それじゃあ、帰ろうか」

「そうね」


 そうして私たちは寮に戻った。


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