第二十九話 決着、そして2年後
「二人とも中々強かったね」
私は二人にそう言った。
二人とも中々の実力だった。まさに私を恐怖させるくらいの実力だ。
「でも、勝てなかった」
そう、ディアスが地面に足を打ちつけながら言う。
「俺は弱い」
「うん……二対一なのに……実力が違い過ぎた」
そう二人は自分を卑下するようなことを言う。
私からしたら二人とも十分に強いと思うのに。
「そんなことは無いと思うぞ」
そこに、レアネスさんが割り入って来た。
「お前たちは強い。それは俺が断言する。実際に、見事なコンビネーションだったと思う。それにリスリィは俺と同じくらいの実力があると思っている。だからこそ、負けたとはいえ、十分戦いになったことは誇っていいと思うぞ」
「でも、私はリスリィに勝ちたかった!! 強いから勝てなくてもいいやなんて思いたくないんだもん」
そう強く言うオルフィ。
その声には彼女の気持ちが詰まっている。そう私は感じだ。
「私は強くなりたいの。魔王メドリアを殺すために。そのためには……リスリィと互角に戦える実力が欲しい」
「まだいうか。規格外と戦ったんだ。それにお前たち二人の実力の伸びはかなりのものだ。別に卑下することは無い」
「……うん」
そしてそれから二年がたった。
私たちは必死にラベルの計略にあらがい続けた、だが、中々ラベルは手強く、尻尾を中々掴ませてくれなかった。
この半年で、300人もの生徒が殺され、10万人が殺されている。
私たちは早速その対策を練らなくてはならない。
彼はどこの魔王にも所属していない。が、魔王の味方には立っている。彼は魔王に反対する者は容赦なく殺し、様々な国を混乱させ、国を落とす。
彼の手によって既にこの二年で二つの小国が魔王の手に落ちた。だが、彼はその国を自身の国にすることなく、また別の国を落とそうと努力しているらしい。
その影は誰にもつかめない。
そしてその頃には、二人ともA級に昇格していたとは言っても、もはや飾りの様な物だ。
私がS級なのだから。
「さて、三人には行ってもらいたい場所がある」
レアネスさんが言った。
「ドラゴンの討伐だ」
「どういうことですか?」
「実はだな。このあたりで沢山の竜が現れている。そしてその中で一番強い竜。とは言っても全員コモドドラゴンだがな」
コモドドラゴン。基本的にそこまで強いドラゴンではない。所謂ドラゴンの出来ぞこないみたいなものだ。
「そいつが魔物の群れを引き連れ暴れているのだ。その討伐を頼みたい」
望むところだ。だけど。
「それに、ラベルは関わっているのですか?」
そこが重要だ。
ラベルの関り如何で難易度が変わってくる。もし、ラベルが出張ってくることがあれば、それはまさに命の関わってくるものになってくるのだから。
「大丈夫だ、とは完全には言えないが、少なくと今のところはそう言う話は聞いていない」
という事は、一先ずは心配はしなくてもいいという事。だが、安心もしていられない。
奴は神出鬼没に表れ、大勢の命を奪って言っているのだから。
「ディアス、オルフィどうする?」
「勿論行くに決まってるだろ」
「うん」
二人はそう頷いた。そして私たちは早速討伐に出立した。
魔物の群れがいるのは、近くの荒野だ。今はまだ人的被害は出ていないらしいが、近くに村があるため、放置していると、不味いことになってしまう。
だからこそ、すぐに手を打つ必要があるのだ。
私は早速魔物達に向かって、炎の球を一気に飛ばしていき、その炎に合わせて私も突撃していく。
そして炎と私の剣で、どんどんと魔物達を倒していく。
「ディオス、そっち任せた」
「おうよ」
ディアスは私の仕留めそこなった魔物を見事に討伐した。
だが、一匹ディアスの手にもかからなかった魔物が、オルフィの方へと向かってくる。
「撃墜……します」
オルフィは魔法を放ち、魔物を焼き殺した。
これで、このあたりの魔物は全員討伐したはずだ。
だが、まだ終わりではない。
「さて、大玉がこいつね」
その大玉。まさにドラゴンだ。コモドドラゴンだなんて言っていたが、その存在感は他を圧倒する。
腐ってもドラゴン。中々の実力を持っていそうだ。
恐らく、軽い気持ちで突撃して行ったら、殺されてしまうほどに。
「りゅあああああああ」
来る!!
私は身構え、持っている剣に魔素を込める。
私はディアスと二人で斬りかかる。
「援護……します!!」
そう言ったオルフィが炎の弾丸を飛ばす。それが当たったことで、一瞬の怯みをドラゴンが見せた。
チャンス!
その隙に私とディアスが、斬りかかりに行く。
だが、その隙も一瞬だったようで、ドラゴンはすぐに立ち直り、私とディアスを鍵爪で狙ってくる。
「ディアス、私が食い止めるから、その間に斬って」
「おうよ!」
私は氷の槍を製造した。それで鍵爪を受け止め、勢いを殺した後、私はドラゴンの下へと潜る。
上からはすでにディアスが剣で狙っている。だが、ドラゴンの鱗は固い。ディアスの魔素量なら心配いらないだろうが、念には念を込めてだ。
「はあ」
ディアスの剣がドラゴンの鱗を突き破るが、致命傷を与えることはできでいないようだ。
ディアスの剣じゃ命を刈り取れない。ならば、二点集中攻撃じゃ、どう?
「……アイスソード!!」
氷を纏った剣で、下から突き刺していく。
ドラゴンは、冷えた斬撃に弱いのだ。
そして私はオルフィの方をちらっと見る。
「任せて……アイスレイン」
氷のつぶてが、ドラゴンの弱ってた体に直撃した。ドラゴンは苦しむが、オルフィは攻撃の手を緩めない。
そのままオルフィの魔法は、ドラゴンの命を奪った。
「はあはあ、みんなお疲れ」
「ああ、お疲れ、リスリィ、オルフィ」
「ディアスも……頑張った」
そう言ってオルフィは水を渡す。私たちはそれをごくっと飲み干す。
一仕事を終えた後の水は最高だ。
結局、今日はラベルが出て来ることは無かったわね。良い事だけど。
「そう言えば明日時間あるか?」
「え?」
明日なら時間はあるけど。
「明日一緒に出掛けないか?」
出かける?
「オルフィは?」
「オルフィなら明日用事があるだろ?」
「う……うん。明日はちょっと取りたい授業があるから、ごめん」
そう言ってオルフィは頭を下げた。
「じゃあ、二人だな」
でも、なんで明日なんだろ。しかも二人で。
「おめかしして行けよ」
「どういうこと??」
意味が分からない。まさかデートにでも行こうかと。
いやいや、ディアスに限ってそんなことがあるはずがない。
何しろ、ディアスは剣で生きる漢なのだから。




