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大魔王の器の少女。三〇〇年後の世界で無双する  作者: 有原優


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第二十七話 特訓

「本当にいいんですか?」


 ディアスは疑問を口にした。今目の前に立っている人物は、この学院の学長であるはずのレアネスだったからだ。


「ああ、俺がお前たちを鍛えてあげよう」


 そんな彼が、お前たちを鍛えてあげようと言ったら、そんな疑問が出るのは当たり前と言えよう。


「でも、俺たちはまだ特別扱いされるほどの実績があるわけでは無い気がするんですが」


 それに、ディアス達はまだ末端の戦士、学長自ら教鞭を振るうほどの生徒ではないはずだ。


「そうだな、君たちはまだ弱い。だが、リスリィのパーティメンバーだ。彼女は強い。……だが、今にも壊れそうな危うさがある」


 ディアス達の考察と一緒だ。

 リスリィは、孤独になってはいけない。そう、思っている。


「だからこそ、俺は彼女には、仲間がいるべきだと思っている。それがお前たちだ。お前たちが彼女を支えてやる必要がある、……それにな、お前たちは、分かっていてほしんだ。あいつの恐ろしさを」


 恐ろしさ。その言葉に、ディアスは思わず唾を飲んだ。

 この人は、リスリィに一瞬感じたあの邪気の話をしているのだろうか。


「リスリィは、全力を出せば、俺に渡り合えるほどの力を持っていると考えている。何らかの理由で、その力をいかんなく発揮は出来ていないようだが。……だからこそ、あいつを敵に回してしまったら俺たちは終わる。魔王メドリアや、ラベルのもとについてしまったら、人類は魔王に勝てるわけがない、いつかこの国が亡ぶかもしれない」

「リスリィが、敵に回るわけがない」


 オルフィが怒りをにじませたような声で言う。

 いくらリスリィが強い理由が、闇深い理由だったとして、リスリィが実は魔王側の人だったとして、オルフィにはリスリィが敵に回る未来は見えない。

 そんなことがあれば、それは孤独に打ち負けた時だけだ。

 だが、そんなことはさせるつもりは無い。

 リスリィと仲良くしていたいと思っているのだ。


「リスリィを馬鹿にしないで」


 それを言ってるのが、この学院の最高権力者だったとしても、オルフィには許せる言葉じゃない。

 リスリィを馬鹿にする人は、オルフィにとって許せない。


「それは分かっている。あくまでも仮定だ。だが、ないとは言えない。あの、ラヌアスという男の件もある」


 人でありながら、叛逆を企てている男だ。近国で、国を取ろうとしている。


「危ういと言っただろ。今は彼女を信じている。あの子の本性は分かり切っていないが、今は敵じゃない。味方だ。少なくとも、あの子を敵に回すことのないようにしたいというだけだ。孤独を感じないように、隣で彼女を支えてほしい。それだけだ」

「……分かりました」


 ディアスはそう言った。オルフィは少し風区な表情をしていた。


(まるで、リスリィを危険人物みたいに扱って)


 それが、オルフィにとって何より気に入らなかった。それはまるで、力があるものは。罪とでも言っているようだった。

 その理論で言えば、レアネスが一番の危険人物になるはずなのに。


 とはいえ、ここでレアネスに楯突いてばかりなら、教えを乞うことが出来ない可能性も出て来るのだ。

 それはオルフィの利する所ではない。


 早速その日から二人の訓練は開始された。


 レアネスは流石学長という事もあり、教え方は的確だった。

 実際ディアスの実力はどんどんと上がっていく。


 オルフィもその間レアネスと、魔法に携わる教師に教わっていった。

 実技と、坐講と。様々な物を。

 勿論目標はリスリィに勝つことだ。


 二人ともどんどんと実力が上がっていき、ついに運命の日が来た。

 二人とも、実力はどんどんと伸びていった。


「これならば、二人でリスリィに勝てるかもしれない」


 決闘直前に、レアネスは言った。


「だが、あくまでも可能性だ。まだ勝率は二割に乗ったかどうかだ。あまり慢心することの内容にな」

「分かった」

「分かり……ました」


 オルフィにとって、今日リスリィに負けるわけには行かない。

 絶対に、勝たなければ。



「ディアス、がんばろうね」

「おう!!」


 そして二人は決戦場へと向かう。


 ★★★★★


 決戦当日になった。

 私は会場に行く。オルフィとディアスに勝つために。

 だが、そこで思ったことが。


「人多すぎない?」


 今日は、ただの決闘のはずだ。なのになんでこんなに人がいるの?

 決戦は、学院が保有している円形のコロシアムでやるはずだが、その観客席に沢山の人がいる。

 普段からこんな感じだったっけ。


 いや、前までの決闘は観戦者がいても100人くらいだったはず。

 という事は、


 私は向こうの観客席にいたレアネスさんをにらむ。

 ディアスやオルフィがここまで大事にするわけがない、となればあの人が犯人に違いないのだ。


「まあ、いいわ」


 そして私は会場を出て、屋台に行く。

 試合までは三十分ある。それまでゆっくりとしておこう。


「あ」

「あ」


 オルフィと会った。


「リスリィ……」


 なんとなく気まずい。

 これから戦う相手とここで会うとは。


「オルフィ……今はあまり喋ない方が良い?」


 今は一応敵同士だ。なれ合わない方が良いだろうか。


「大丈夫だよ」


 だが、オルフィは意外にも、私と話す道を選んだ。

 まあ、別に私は今オルフィと話しても、緊張感を保てるからいいのだけど。

 だって、別にラベルと命の取り合いをするわけじゃないし。



「オルフィは鍛えてきたの?」

「うん。リスリィに勝てるくらいまで鍛えて来たよ。絶対にリスリィには負けないから」

「楽しみにしてる」

「ん」


 そう言ってオルフィがソーセージを差し出してきた。食べ欠けだ。


「食べていいの?」

「うん」


 そう言ったオルフィのソーセージをかじる。

 中々美味しい。


「オルフィ何してるんだと!!」


 ディアスが飛び出してきた。しかも鬼の形相で、


「敵となれ合うなよ」

「でも、リスリィは友達」

「いいだろ」


 そう言ってディアスはオルフィの手を引っ張って連れ去っていく。

 決闘を提案したのは、オルフィなはずだけど。



 そして、ディアスは最後に一言。


「俺たちは負けないからな」

「望むどころよ」


 そしてついに時間が来た。

 戦闘開始だ。

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