14/30
小学生の弟子
小中、高校生には色んなタイプの子供がいた。
一番、手を焼いたのは小学生の男の子だった。
とにかく言う事を聞かない。
口で注意してもダメ。
思わず、(叩いたやろう)と思ったが、父兄からの苦情が来ると面倒だから、それも出来ない。
子供の父兄に「ちょっと、お子さん。言う事、聞かないんで困るんですよね」と話した。
すると「それを何とか指導するのが先生の役目じゃありませんか」と母親に言い返された。
内心(辞めてくれないかな)と思ったが、(ま、これも試練だろう)と考えて、根気よく指導した。
何とか言う事を聞くようになったが今度はケガをした。
父兄が来て「ウチの子にケガさせて、どうしてくれますか?」と言われた。
「すいません。以後、気を付けます」と謝り、(これは仕事よりキツイわ)と思った。
この子は身体が柔軟で稽古内容の飲み込みも早く空手の才能はあった。
(まあ、仕方がない。良い所を伸ばしてやろう)と平野は思い、根気よく指導する事にした。