社会人としてのスタート
大学を卒業した平野は希望の会社に就職し社会人生活をスタートした。
配属されたのは管理課。
課の新入社員歓迎会で平野は課長に「キミは大学の拳法部の主将だったそうだが正当防衛を除き絶対、ケンカしちゃいかんよ」と
言われた。
「はい、わかりました」と平野は答えたが、内心、(そんな事、当然だ)と思った。
ところが、課には平野より年下の先輩がいて、「おい、平野。酒つげや」と言ってきた。
ムカッとした思いが込み上げたが「はい、わかりました」と言って平野は年下の先輩のグラスにビールを注いだ。
しかし、それで終わりでは無かった。
年下の先輩は平野に「お前、大学の空手部キャプテンだったらしいが、俺は小学生の頃から、ずっと番長だったぜ。よく隣町の学校を潰していったゼ。ケンカにルールは無い。空手なんかケンカ強い奴には通用しないぜ」と言った。
ムカッとした思いが平野の表情に浮かんだ。
課長は察し、「酒の席だ。我慢しろ」と平野に小声で言った。
歓迎会がお開きになり、課長は「みんな明日はちゃんと出勤しろよ。じゃ俺は帰る」と言い、一人、駅に向かった。
平野も帰ろうとすると、「おい、新人、平野。二次会に行くから付き合え」と年下の先輩が言ってきた。
平野は「先輩。両親が待ってますので今日は失礼します」と言った。
「両親?そんなのどうでも良いから付き合え」と年下の先輩は言い、平野の胸ぐらを掴んだ。
(こうなったら仕方ないな)と平野は決断した。