協力者は・・・。
異世界の経済を立て直す。
協力者の元を訪れた主人公は、協力者の正体を聞いてびっくり!
森をしばらく歩くと、徐々に木々が少なくなり、段々と森が開けてきた。
その先に、フィナシアが言っていた赤い屋根の洋館が見えてきた。
洋館と聞いて、勝手にさぞかし、凄い豪邸かと思っていたが、
そこには、洋館というよりは、上品な民家という表現が似合う様な、
小さな館が建っていた。
ただ、その横には、不釣り合いな程、見事な庭が整備されていた。
そして、俺が小屋に近づくと、その美しい庭から、金髪の青年が声を
掛けてきた。
金髪の青年:「どなたですか?我が家に何か御用ですか?」
優しそうな瞳に、少し怪訝そうな表情を浮かべて、
私の足先から全身をマジマジと見つめている。
青年は、地球でいうところの中世ヨーロッパの衣装の様な服を着て、
手には小さなスコップを持っていた。
そうだよな。この世界で、この姿は、浮きまくりだよなと密かに思う。
金髪の青年:「どなたですか?」
先程より、少し怪しい者を見る目で、さらに言葉を掛けてきた。
外内:「すいません。わたくしは、外内 賢一郎と申します。
こちらにエファルトさんという方がいらっしゃると
思うのですが、お会いする事は出来ますでしょうか?」
金髪の青年:「トナイ ケンイチロウ?変わった御名前ですね。
私が、エファルトですが?どんな御用ですか?」
外内:「これは失礼致しました。実は、静寂の泉の精霊フィナシアに、
突然この国の財政を立て直してくれと頼まれまして。
とりあえず、エファルトさんに会って、協力をお願いする様に
言われたのですが」
エファルト:「なっ!あなたが精霊様のおっしゃっていた救世主様!」
突然、慌てた様な素振りで、地面に這いつくばり土下座の様な体勢に。
外内:「うわっ!やめて下さい!私はただのしがないサラリーマンです!」
エファルト:「サラリーマン?神の御名前か何かですか?」
外内:「違います!!まあ、何と言うか、職業のジャンルというか、
雇用形態というか・・・。説明しづらいな!」
エファルト:「何だかよく分かりませんが、私たちと同じ
人間だという事ですか?」
外内:「まあ、まったく同じかどうかは分からないけど、人間です」
同じ人間だというと、土下座をやめて立ち上がり、静かに語り始めた。
エファルト:「精霊様の言った通り、今この国は存亡の危機なのです!」
突然、力を込めた口調に変わり、こぶしを振りかざして、
エファルト:「異常気象による作物の不作で、食料難になり、物の価格は、
急激に上昇し、貧しい人達は、今日の食事もまともに
出来ない状態なのです」
先程とは違いまるで、選挙演説の様な口調で、力説する姿は、
はじめの優しそうな印象から、まったく違った雰囲気で、
少し圧倒されてしまった。
エファルト:「すいません!思わず力が入ってしまって!」
エファルトさんが、顔を真っ赤にして、思わず顔を両手で
覆い隠して恥ずかしそうに一度うつむいたが、
力強く前を向き直して、
エファルト:「こんな時に兄上は、城に引きこもり、国民に
重税を課しているとの事、このままでは、
国民は飢えで皆しんでしまい、
国は崩壊してしまいます!」
外内:「えっ!ちょっと待って!今、兄上って言いませんでした?」
エファルト:「えっ?はい、現国王【ニアス】は、私の兄ですが?」
外内:「え~!ちょっと待って!ということは、あなたは、
国王の実の弟って事ですか?」
エファルト:「はい、そうですけど。何か?」
外内:「いや、いや、いや!フィナシアはそんな事、
全然言ってませんでしたよ!」
あのちゃらんぽらん精霊め!エファルトさんが国王の弟なんて、
ちゃんと言っとけよ!!それなら、それで、接し方ってもんがあるだろ!!
俺は、襟元を正し、精一杯丁寧に、
外内:「大変失礼致しました。まさか国王陛下の弟君とは知らず、
申し訳ございませんでした」
エファルト:「お気になさる事はありません。私は国王の弟といっても、
政治は苦手で、家を飛び出して、ここで
のんびり暮らしているだけのただの、風来坊ですから!」
すると、館の玄関から、体格のいい男が、すう~っと出てきて、
俺を見るやフッっと姿が消え、次に姿が見えたかと思うと、いつの間にか、
エファルトさんの前に立ち、こちらに剣を向け、鋭い眼光で、こちらを睨み、
体格のいい男:「エファルト様に近づく異形も者よ!我が主には指一本触れさせぬ!」
どうやら、俺をエファルトさんを狙う、刺客か何かと勘違いしたらしい。
俺は、慌てて、両手を顔の前ぐらいにあげて、武器等を持っていない事をアピールして、
外内:「いや、私は、怪しい者ではありません。エファルトさんに協力を
お願いしに来ただけなんです」
女:「協力だと、そんな出で立ちで怪しくないとは、よく言えたものだ!」
いつの間にか、後ろから、首元にナイフが突きつけられ、
後ろ手に、左手が拘束されていた。
エファルト:「止めろ、二人とも!その方は、この国の救世主様だぞ!!」
エファルトさんが、二人を制止してくれ、俺は、解放された。
二人の護衛は、エファルトさんが王家にいた頃からの護衛で、
エファルトさんが王家を出る時にも、一緒に王家を抜け、
その後も行動を供にしている人達で、体格のいい男が、
元近衛兵の「デウォルド】、長い黒髪の女が、
元諜報部隊の【ルフィア】というらしい。
主の客人で、しかもこの国の救世主に刃を向けた事に恐縮し、
二人とも、エファルトさんに、、
「この命でお詫び申し上げます!」
と切腹騒ぎになったが、エファルトさんの
「もうよい!無駄に命を捨てる事は許さぬ!」
の一言で、なんとか事なきをえた。
異世界に来て、初めて言葉を交わした人達とこれから、どんな冒険?が待ってる事やら(笑)




